この記事では、後脛骨動脈の触診方法について記載していく。
後脛骨動脈が走行している場所
後脛骨動脈は以下の順に中枢から末梢へ走行する。
そして、後脛骨動脈の触診するのに最適なのは「内果の背(+尾)側」となる。
以下は「内果(黒丸)」と、その背側を走行する「後脛骨動脈(赤線)」を示している。
上記の後脛骨動脈の走行に沿うように、3指を(面を広くとるようにするため)寝かせて「内果の背側(+やや尾側)当てるとドクドクと拍動が触知できるはず。
※ただし、橈骨動脈や足背動脈と比べると触知しにくいともいわれているので、それくらいハッキリとした拍動をイメージして触診すると、分かりにくいかもしれない。
※グリグリと力を入れすぎたら逆に分からなくなってしまうので、拍動が感じられない場合は(触診部位があっているか以外に)手指に力が入り過ぎていないかをモニタリングしながら実施しよう。
内果の後方には色んな組織が走行するよ
内果の後方には以下の筋腱・動脈・神経などが密集して通っているので、ぜひ整理してみてほしい。
後脛骨動脈で脈拍触診する意義
脈拍触診で最も有名なのは橈骨動脈だ。
それ以外にも「総頚動脈」「大腿動脈」など、もっと脈が振れやすい部位も存在する。
そんな中で後脛骨動脈を触診する意義は以下になる。
末梢循環障害としては、例えば以下の疾患が該当し、これらの評価をする際は一つの指標として機能する。
- 糖尿病
- 閉塞性動脈硬化症
糖尿病に関しては以下の記事でまとめてある。
⇒『糖尿病はサイレントキラー!重症化する前からの対策が必須な件!』
ちなみに深部静脈血栓症も循環障害ではあるが、「静脈」の血栓症であることもあり、評価の指標にはならないとする意見もある(多少の意義があるとしている文献もあるが)。
※深部静脈血栓症への評価としてはHomans徴候などのほうが有名であり、詳しくは以下の記事で説明している。
後脛骨動脈・足背面動脈! 脈拍触診はどっちがおススメ?
後脛骨動脈の触診は、抹消循環障害の評価に活用できると前述したが、同様に活用できる部位に「足背骨動脈」がある。
でもって、後脛骨動脈と足背動脈では、「足背動脈のほうが皮下にあり触診しやすい」と言われている。
とはいえ、後脛骨動脈のほうが分かりやすい人もいるので、両方が触診できるに越したことはない。
※また「抹消循環障害で触知しにくい」のではなく、「自身の触診場所が誤っているだけ」な可能性もあるので、両方触診できるようにしておこう。
足背動脈の触診方法が分からない方は以下の「関連記事」を参考にしてみてほしい。
関連記事
足背動脈以外の脈拍触診部位として以下もあるので、合わせて観覧すると脈拍触診への理解が深まると思う。
⇒『足背動脈の触診場所は?この部位で脈拍触診する意義も解説』
ちなみに大腿動脈は「スカルパ三角」で触診可能で、スカルパ三角に関しては以下で解説している。