感情のコントロールを人がどれだけ上手く行えるか調べる、次のような実験がある。

 

脳のスキャナーに横になった被験者に、爆発で重傷を負った人の体や切断されて血まみれになった腕など、衝撃的な映像を見せる。

 

その際、画面に「注目」という文字が現れた時は、被験者はその場面に感情移入するように努め、

画面に「再評価」という文字が現れた時は逆に、その場面から受ける感情が少しでもネガティブなもので無くなるよう、自分の感情をコントロールしなくてはならない。

 

たとえば、「あの切断された腕は本物のようにみえるけれど、実はプラスチックで出来た偽物だ」と自分で自分に語りかけてみるのだ。

 

これらの作業をしている時の脳の様子をスキャンすると、両者で顕著な違いが浮き彫りになった。

 

「注目」の支持を受け、感情的な側面に注意が集中している時は扁桃体が活性化し、

一方で「再評価」の支持を受けた時には前頭前野が活性化し扁桃体の活動は弱まっていたのだ。

 

じつを言えば私たち人間は、たいがい無意識にではあるが、こうした感情のコントロールを行っており、こうしたコツを身につけている。

 

そして、こうしたメンタル的な技術には個人差があり、些細な危険に出会っただけでパニックに陥る人もいれば、このうえなく苦しい状況下でも落ち着きと集中を失わずにいられる人もいる。

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