この記事では『胸郭出口症候群』に対する整形外科的テストを記載していく。

 

ちなみに、胸郭出口とは以下で構成される。

  • 鎖骨
  • 第一肋骨
  • 前・中斜角筋
  • 鎖骨下筋
  • 小胸筋

 

でもって、これらの部位での腕神経叢、鎖骨下動・静脈の圧迫や牽引により諸症状が生じ、これらの総称が『胸郭出口症候群』である。

 

胸郭出口症候群の詳細は以下の記事で解説しているので、興味がある方は参考にしてみてほしい。

⇒『胸郭出口症候群って何だ?

 

 

胸郭出口症候群に対する整形外科的テスト(鑑別テスト)

 

胸郭出口症候群を鑑別する整形外科テストとして、この記事では以下を記載していく。

・アレンテスト(Allen test)

・モーリーテスト(Morley test)

・ハルステッドテスト(Halsted test)

・アドソンテスト(Adson test)

・ライトテスト(Wright test)

・エデンテスト(Eden test)

 

 

この中で「アドソンテスト」「ライトテスト」「エデンテスト」は以下の記事でも解説している。

⇒『アドソンテスト・ライトテスト・エデンテストを紹介(胸郭出口症候群)

 

アレンテスト(Allen test)

 

ここまで、各筋・骨性の絞扼に対するテストを紹介してきたが、これらは単独の問題ではなく、複数の問題が関与していることも多い。

でもって、アレンテスト(Alleln test)は小胸筋と斜角筋をともに緊張させることにより橈骨動脈の拍動変化を評価するテストとなる。

 

 

Wright testの肢位(一側上肢のみ)で、さらに頸部を反対方向へ回旋させ橈骨動脈の拍動を確認する。

反対側の回旋により、橈骨動脈の減弱がみられれば陽性と判断。

 

 

以下はアレンテストの動画になる。

 

 

 

モーリーテスト(Morley test)

 

モーリーテスト(Morley test)も、アドソンテストと同様に斜角筋にフォーカスしたテストではあるが、(アドソンテストのような筋伸張ではなく)徒手的なや斜角筋圧迫によって拍動の変化を評価するテストである。

 

検者は患者の後方に立つ。

座位になっている患者の橈骨動脈を触知しつつ、鎖骨上窩の斜角筋上部を圧迫する。

脈が触れなくなったり、局所の疼痛と上肢の放散痛を訴える場合は陽性と判断。

 

以下はモーリーテストの動画である。

 

ハルステッドテスト(Halsted test)

 

各筋・骨性の絞扼に対するテストが存在する一方で、、これらは単独の問題ではなく、複数の問題が関与していることも多い。

でもって、ハルステッドテスト(Halsted test)は肋鎖間隙と斜角筋との影響を評価するテストになる。

 

座位で頸部を伸展させ反対方向へ回旋させる。さらに上肢を下方へ牽引し、橈骨動脈の拍動を確認する。

この検査の途中で動脈拍動が消失する場合に陽性と判断。

 

 

以下はハレステッドテストの動画になる。

 

 

 

アドソンテスト(Adson test)

 

アドソンテスト(Adson test)は斜角筋の緊張を強めることで、橈骨動脈の拍動変化を評価するテストである。

 

座位で上肢を他動的に伸展・外旋位に保ち、頸椎伸展位で疼痛側に頸部を回旋させ、深呼吸(呼気)状態で息を止めさせ橈骨動脈の拍動を確認する。

斜角筋の緊張による橈骨動脈の脈拍の減弱を認めれば陽性となる。

※イラストでは、検者が後方に位置しているが、前方に位置して療法の橈骨動脈を一度に触知すると左右差が確認しやすい。

 

※動画も含めた検査は以下で紹介

⇒『アドソンテスト・ライトテスト・エデンテストを紹介(胸郭出口症候群)

 

 

ライトテスト(Wright test)

 

ライトテスト(Wright test)は小胸筋の緊張を促すことで、橈骨動脈の拍動変化を評価するテストである。

 

検者は患者の斜め後方へ位置する。

座位で肩関節を90°外転・90°外旋させた肢位で橈骨動脈の拍動を触知。

橈骨動脈の拍動が減弱すれば陽性となる。

イラストは一側のみでテストをしているが、両側を一度にテストする場合もある。

 

 

 

ちなみに、両上肢をライトテストの肢位にして、3分間ほど手を開いたり閉じたりを持続させるテストもある(3分間テストと呼ぶ)。

この際に、疲労感や疼痛で運動継続が不可能な場合を陽性とする。

3分間テストは、最も信頼性が高い徒手検査とされている。

 

※動画も含めた検査は以下で紹介

⇒『アドソンテスト・ライトテスト・エデンテストを紹介(胸郭出口症候群)

 

 

エデンテスト(Eden test)

 

エデンテスト(Eden test)は、鎖骨と第1・2肋骨間による「骨間(肋鎖骨間隙)の狭小化」による絞扼を評価するテストになる。

 

座位で胸を張らせ、両上肢を後下方に牽引する(これにより肋鎖間隙の狭小化が助長する)。

この状態で橈骨動脈の拍動を確認し、橈骨動脈の脈拍の減弱を減弱を認めれば陽性となる。

 

※動画も含めた検査は以下で紹介

⇒『アドソンテスト・ライトテスト・エデンテストを紹介(胸郭出口症候群)

 

 

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⇒『胸郭出口症候群って何だ?病態・症状・リハビリ(理学療法)など解説!

 

⇒『斜角筋症候群・肋鎖症候群・過外転症候群 って何だ?

 

⇒『アドソンテスト・ライトテスト・エデンテストを紹介(胸郭出口症候群)