この記事では腸腰筋短縮テストである『オーバーテスト(Ober’s test)』について解説していく。

 

オーバーテスト(Ober’s test)

 

オーバーテストの方法・陽性所見・解釈は以下になる

 

方法

  1. 側臥位(テスト側を天井側とする)
  2. 療法士は「テスト側の股関節伸展位・膝関節90°屈曲位」でキープしつつ、テスト側の股関節を内転するにまかせ下降させる。

※骨盤が背側へ傾いてしまうと意味をなさないので、しっかりと固定する。

※非テスト側の下肢を屈曲させておくことで支持基底面が広くなり側臥位が安定する。

 

陽性所見

股関節を落下させ、内転10°未満で止まってしまう場合は陽性。

 

解釈

「大腿筋膜張筋+腸脛靱帯の短縮あり」と判断

 

※腸脛靭帯自体は伸張性のない組織なため、結局は大腿筋膜張筋の伸張性を評価しているといった側面が大きい。

 

10°未満というのはやや厳しい判断基準と言える。腸脛靭帯の機能異常がある場合においても内転10°くらい下降するケースは多い。つまり、オーバーテストが陽性か陰性かだけでなく、抵抗感や症状、代償運動の種類と程度など、付随して現れる所見の方が重要であったりする。

 

 

 

オーバーテストの変法(modified Ober’s test)

 

オーバーテストの肢位では、大腿直筋の制限や大腿神経の問題によって「膝関節90°屈曲が困難なケース」もあり、その場合は「オーバーテストの変法」として膝関節を(90°屈曲位ではなく)伸展位で股関節を内転していき、短縮の有無を評価する。

 

 

※この変法を「オーバーテスト」として記載しているテキストも多いが、いずれも正しい。

 

上記イラストは、若干体幹が後方へ倒れている印象を受けるが、実際は両上前腸骨棘がベッドに対して垂直になるようにする(要するに後方へ倒れないよう注意する)。

 

股関節内旋位になってしまっている場合は、大腿筋膜張筋が弛緩して股関節内転が可能となるためオーバーテストは偽陰性となるため、変法を用いる際はこの点に注意する。

 

以下がオーバーテスト変法の動画になる。

 

 

ちなみに、膝関節屈曲位と膝関節伸展位の違いを調べた研究結果、膝屈曲位で行うほうが大腿筋膜張筋は伸張されていたとの文献がある。

Umehara J et al : Effect of hip and knee position on tensor fasciae latae elongation during stretching : An ultrasonic shear wave elastography study ,Clin Biomech(Bristol,Avon)30 : 1056-1059,2015

また、股関節の内旋代償も膝屈曲位のほうが感知し易いので、変法のほうを個人的には好んで使用する(ストレッチングの際にも、こちらを採用する)。

 

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