この記事では、骨新生と骨吸収について解説している。
この記事を読んでもらうことで、なぜ「バセドウ病で骨粗鬆症になってしまうのか?」も理解できると思う。
骨新生・骨破壊・骨溶解・骨吸収
骨は骨新生と骨破壊を繰り返しながら常に代謝を繰り返している。
骨破壊は「骨溶解」「骨吸収」と同義である。
そして、「骨破壊・骨溶解」は何となく骨を弱くする(骨密度が低下する)イメージがあるので分かりやすい。
一方で「骨吸収」という用語は、何となく「骨にCaが吸収されて骨密度が高まる」とイメージ易いが、逆である。「骨吸収とは、骨からCaを溶解(骨破壊)する作用」を指すので間違わないように。
骨のリモデリング
成人骨格では常に3~5%リモデリングされる。
- 骨吸収期間約40日
- 骨形成期間約140日
上記の厳密な期間は文献によって異なるので重要ではないが、ポイントは以下となる。
骨は「壊す」と比較し「造る」の方が圧倒的に期間が長い
なぜバセドウ病で骨粗鬆症が起こるのか?
バセドウ病は「甲状腺ホルモンが過剰に分泌することにより、新陳代謝が亢進する病気」である。
そんなバセドウ病の症状の一つに骨粗鬆症があるのだが、ここまでの解説により、その理由が理解してもらえると思う。
バセドウ病で骨粗鬆症が生じる理由
何となく「新陳代謝が高まる」という用語は「新陳代謝が良い」というポジティブな表現で使われることが多いので、何となく「新陳代謝亢進⇒骨密度も高まりそう」というイメージを持ってしまう人もいる。
しかし前述したいように、新陳代謝が亢進して「骨新生と骨吸収(破壊)」のサイクルが早くなると、(骨吸収の方が優位なので)骨からカルシウムが抜けてしまう割合が高まってしまう。
これが、「病的な甲状腺機能亢進(バセドウ病)により全身の新陳代謝が活発になると、骨粗鬆症が進行する理由」である。
関連記事