この記事では、「反応重視型学派」であるマリガンコンセプトを、「総合学派」の概念である関節不安定性とも絡めながら考察していく。

 

マリガンコンセプトと関節不安定性

 

関節不安定性(Instability)の状態をオモチャの電車で例えると、車輪の幅が広すぎて上手くレールに適合されておらず一側へ車体が傾いたまま走行している状態をイメージすると分かりやすいのではないだろうか?

 

その様な電車は、手で押して傾きを修正した状態を保持してあげると安定して調子よく進みますが、手を放してしまうと再び傾いて不安定となる。

 

この例を、今度は筋骨格系のコンセプトに置き換えるとするならマリガンコンセプトが非常に分かりやすいと思う。

 

マリガンコンセプトとは、セラピストが徒手的に機械的な刺激を加えて関節の位置異常を修正した状態を保持し、その状態でクライアントに自動運動をしてもらうテクニックが多く存在する(SNAGSやMWMSなど)。

 

そして、臨床ではSNAGSやMWMSで疼痛や可動域制限に対して良い反応を示す症例は、関節不安定性が生じているケースが多い印象を受ける。

 

また、これは脊柱における疼痛に関して言えば『疼痛は過少運動性が生じた分節よりも、不安定性が生じた分節に現れやすい』とする説にも合致するのではと考える。

 

もちろん、マリガンコンセプトは『反応重視な学派』なため、関節が硬いか・不安定かなどに関係なく、シンプルに可動域や疼痛に良い反応が得られたかどうかで判断していくのが基本となる。

 

しかし個人的には「大きな力でglideしていないにもかかわらず容易に好反応を示す場合は不安定性が示唆されるのでは」と考えている。

 

また、即自的効果はクライアントの治療に対する期待値を上げるうえで重要な要素ですが、「即自的効果のみに終始するケース」に関しては、以下のようにマリガンは警鐘を鳴らしている。

 

『もしわずかな改善が見られても、患者さんがクリニックにいる間、効果が持続しないようであれば、その治療テックニックを続けて使用すべきではありません。患者さんに効果が持続しないことをいつまでも続けることは正当化されません。

マリガンのマニュアルセラピーより~

 

まとめとして、個人的には関節が不安定性かどうかを評価する際に、関節副運動テストを補完する手段としてマリガンテクニックを用いて試験的治療をしてみることは、非常に有用なのではと考えてる(特に脊柱)。

 

 

関節不安定性に対するアプローチ

 

このように不安定性が示唆される関節(マリガンテクニックにおいて、大きな力でglideしていないにもかかわらず容易に好反応を示すケース)に対して、マリガンテクニックは根本的な解決方法にはならない。

 

なぜなら、オモチャの電車が手で傾きを正せば安定して走行できる反面、その手を離せば再び傾いて不安定になるのと同様に、持続的な効果が期待できないケースが多いからだ。

 

では、どんな方法が根本的な解決につながるかというと、マリンガンコンセプトとしては、以下の方法が挙げられる。

①テクニックと同様なセルフエクササイズを定期的に実施する。
②テクニックの効果を持続させるべく、テーピングを施行する。

 

 

①に関しては、効果の機序を専門的に説明することが出来ませんが、個人的には『関節を正しい位置に修正した状態で反復・定期的に動かすことで、正しい位置へ関節がなじむ』というニュアンスでとらえている。

 

②に関しては、キネシオテーピング的なコンセプトでは無く、あくまで『テープの力で関節の位置を矯正させた状態を保持する』という意味合いで用いる。

 

※ただし個人的には、テープに関節包内運動を制御するほどの作用を持たせることは難しく、尚且つ剥がれやすいため臨床での活用は非現実的な印象を受ける。

 

また、これら以外には筋によりStabilityを高めたり、運動連鎖を考慮しつつ他部位へ介入することで不安定な部位へのメカニカルストレスを軽減させるといった考えがスタンダードだと言われている。

 

また、Stabilizationエクササイズなどの神経・筋再教育は即自的な効果というよりは、ある程度エクササイズを継続してもらわなければ効果が得られない場合も多いため、その点を十分クライアントに説明しておく必要がある。