この記事は、『病的反射検査』についてまとめた記事である。
『反射』自体については、記事の最後のリンク先『反射検査(深部・表在・病的反射)まとめ一覧』も合わせて観覧してみてほしい。
病的反射のポイント
病的反射は、腱反射や表在反射の異常と組み合わせることで、神経病巣の局在や原因を診断することに役立てることができる。
代表的な神経障害における反射異常の一例としては以下な感じ(あくまで一例)。
- 「バビンスキー反射(病的反射)陽性」+「腱反射亢進」+「腹壁反射(表在反射)減弱」
↓
錐体路障害
- 「病的反射陰性」・「腱反射表在反射の減弱ないし消失」
↓
末梢神経障害
- 「病的反射なし」「腱反射が両側性に亢進」・「腹壁反射は活発」
↓
ヒステリー性障害
病的反射の種類
病的反射検査の種類としては以下などがある。
・ホフマン反射
・トレムナー反射
・ワルテンベルグ反射
・バビンスキー反射
・クローヌス
ホフマン反射
ホフマン反射の意義:
一側のみ陽性の場合、錘体路障害を疑う。
ホフマン反射の方法:
座位 or 背臥位
被検者の手関節を軽度背屈位にさせる。
被検者の中指IP関節とDIP関節の間を検者の示指と中指で挟む。
検者の母指で、被検者の中指DIP関節を屈曲方向に素早くはじく。
ホフマン反射の判定基準:
陽性の場合、母指の内転と屈曲が認められる。
トレムナー反射
トレムナー反射の意義:
一側のみ陽性の場合は、錘体路障害を疑う。
トレムナー反射の方法:
座位 or 背臥位
被検者の手関節を軽度背屈位にさせる。
被検者の中指PIP関節とDIP関節の間を検者の示指と中指で挟む。
検者の母指で、被検者中指DIP関節を伸展方向に素早くはじく。
トレムナー反射の判定基準:
陽性の場合、母指の内転と屈曲が認められる。
ワルテンベルグ反射
ワルテンベルグ反射の意義:
一側のみ陽性の場合、錘体路障害を疑う
ワルテンベルグ反射の方法:
座位 or 背臥位
被検者の手を軽度回外位にし、手指を軽度屈曲させる。
検者は示指と中指を伸ばし、被検者の示指~小指の末端に垂直となるように置く。
検者の示指と中指の上から打腱器で叩く。
ワルテンベルグ反射の判定基準:
陽性の場合、母指の内転と屈曲が認められる。
バビンスキー反射
バビンスキー反射の意義:
陽性の場合は、錘体路障害を疑う。
バビンスキー反射の方法:
背臥位。
被験者の足底部を、打腱器の柄を用いて、踵から足指方向に外側縁を擦る。
バビンスキー反射の判定基準:
陽性の場合、母趾の伸展と足趾の開扇現象(母趾が背屈し、他の指は開いていく現象)が生じる。
バビンスキー反射の動画は以下になる。
クローヌス
クローヌスの意義:
クローヌスは、反射が著明に亢進したことと同じ意義があり、以下の2つが有名である。
・膝クローヌス
・足クローヌス
陽性の場合は錘体路障害や筋緊張の亢進を疑う。
クローヌス(clonus)が持続せず数回で終るのを『pseudoclonus』と呼び、これも軽度の錐体路の障害によることが多い。
クローヌスの方法:
①膝クローヌスの方法
⇒被検者の下肢を伸展させ、検者は被験者の膝蓋骨を母指と示指でつかみ強く尾側へ押し下げる。
②足クローヌスの方法
⇒被検者の足部を足底から上方へ強く押し上げる。
クローヌスの判定基準:
①膝クローヌスの場合
⇒大腿腿四頭筋の攣縮が出現し、膝蓋骨が上下に連続的に攣縮する。
※以下の動画50秒からが膝クローヌス。
②足クローヌスの場合
⇒下腿三頭筋の攣縮が出現し、足が上下に連続的に攣縮する。
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