この記事では高齢者が注意すべき熱中症について記載していく。

 

また、最後には熱中症の「日射病」と「熱射病」の違いについても言及しておく。

 

熱中症とは

 

熱中症とは、「暑熱による身体の障害の総称」を指し、熱中症の中に「熱射病」や「日射病」も含まれる。

 

暑熱による重度な障害としては、発汗停止、高度の体温上昇、錯乱・せん妄などの精神症状などで、時には生命の危険を伴うこともある。

 

また、以前は「熱中症」という言葉は世間では用いられず、世間では「熱射病」や「日射病」という言葉のほうが一般に浸透していた。

 

しかし最近では、「熱射病」や「日射病」よりも、それら暑熱による身体の障害を総称した「熱中症」という言葉のほうが用いられるようになっている。

 

熱中症のメカニズム

 

長時間高温の環境におかれると、体温調節中枢が発汗や血管拡張などで最大限の放熱を行っても体温を下げられず、熱が体内にこもってうつ高体温な状態となる。

 

そして、その状態が続くと、血管拡張で血圧がさがって大量の発汗でナトリウム欠乏性脱水となり、脳をはめ全身の血液循環が減ってボーっとし、嘔吐・全身のだるさ・めまいや意識障害が起こる。

 

更に高温の環境が続くと、体温調節中枢が破綻し、汗も出ず、多くの臓器が障害されて死にいたることすらある。

 

熱中症の症状

 

熱中症の症状を軽度・中等度・重度に分けると以下の通り。

 

軽度な

熱中症

・めまい

・ふらつき

・筋肉痛や筋肉のつり(こむら返り)

・大量発汗

・・・・・・など

※汗が皮膚から蒸発することで体から気化熱を奪うことが出来る。

※ただし、後述するように湿度が高いと汗は蒸発しないため、発熱で体温が下がらず中等度以上な脱水をきたし易くなる。

 

中等度な

熱中症

・頭痛

・吐き気・嘔吐

・だるさ

・脱力

・集中力・判断力低下

・・・・・・・・・・など

 

重度な

熱中症

・意識障害

・手足が動かない

・痙攣

・かなりの高温(40℃以上)となり皮膚は乾ききって熱い

・・・・・・・・・・・など

 

 

 

熱中症が起こる環境

 

私たち人間は恒温動物なため、熱の産生と放散のバランスを調整して、体温を一定の温度に保つ必要がある。

 

ところが、熱バランスが崩れて体温が上昇し、一定の温度を超えることにより、(前述したような)様々な身体不調が発生してしまうことになる。

 

そして、このような熱バランスの障害は、高温・多湿な状況下で起こりやすい。

 

つまりは、(温度だけでなく)湿度も熱中症における重要な条件となってくる。

 

高温下で体温が上昇し続けると、人間は汗をかいて体内の熱気を気化熱として放散させるようなシステムが働く。

 

しかし、多湿の状況下では、大気中に水蒸気が多く含まれ飽和に近い状態になっている。

 

すると、汗をかいても蒸発出来ないので、熱が体内にこもってしまう。

 

つまり、高温かつ多湿という条件が重なると、人間の体温は上昇し続けてしまう。

 

 

熱中症に注意!! 日本の夏は湿度が高いよ

 

ちなみに、熱中症は季節病であり、特に7月・8月に多く発生する。

 

日本の夏は暑い(高温)のみならず、太平洋高気圧という比較的湿った強力な高気圧が日本全体を包み込んでしまうためにため、体温が上昇し易く、熱中症も起こり易い。

 

一方で、「高温ではあるが湿度は低い」という特徴を持っている諸外国では、熱中症も(日本よりかは)起こりにくく、ジットリとして気持ち悪い暑さも感じにくい。

 

※例えば、私が真夏にグアム旅行へ行った際は、確かに暑さは感じたが、日本の様な不快な暑さではなかった。

 

 

高齢者の熱中症は屋内で起こる

 

体温調節機能が低下した高齢者は熱中症になりやすいと言える。

 

また、高齢者は若者のように炎天下の中で活動して熱中症になるよりも、屋内で熱中症になることが圧倒的に多い。

 

その他の特徴として、高齢者の場合は若者の様に急に発症せず、数日開けて徐々に悪化する熱中症もよくある。

 

若い人と違って、高齢者は持病の悪化や合併症が起きる可能性があり、応急処置だけでは回復できず命にかかわることもある。

 

従って、猛暑が続いた後の食欲低下、脱水症状など暑い環境にさらされた後に出た体調不良は全て熱中症を疑った方が無難である。

 

 

熱中症の予防

 

  • こまめな水分補給

    高齢者は一度に少量な水分しか摂取しない(あるいはしたがらない)ケースもあり、その様な際は15分おきに摂取してみる。

 

  • 外出時は、帽子や日傘、必要に応じて冷却タオルなどを使用

 

  • アルコールやコーヒーを避ける(利尿作用があるため)

 

  • エアコンを活用する(どうしてもエアコンが苦手なら、部屋を閉め切ったりせず、扇風機も活用する)。

 

 

特に猛暑な日は十分な水分(+塩分)を補給する。

 

高齢者はエアコン嫌いな人もいるが、十分な説明をする。

 

※どうしても聞く耳を持ってくれない場合は、エアコンなしでも熱中症をおこさないような環境の工夫を提案する。

 

 

熱中症が起こった際の対策(予防にも有効なものを含む)

 

熱中症が起こった際の対策としては以下が挙げられる。

※熱中症予防に有効なものも含まれる

 

  • めまいやふらつきがあれば、しゃがむ(座る)などで転倒を防ぐ

 

  • 涼しいところに移動

 

  • 皮膚を濡らして皮膚からの熱放散を増やす

 

  • 氷嚢などで動脈を冷やす(首・脇の下・足の付け根など)

    ※体温調節中枢が機能しない「うつ熱(熱が体内にこもって高体温な状態になること)」に解熱剤は効かないので外部から冷やすことが大切。

 

  • 水分で補給

    ※スポーツドリンクなどナトリウムを含むものが望ましい。

 

  • 病院受診(意識障害がある場合は救急車を呼ぶ)

 

 

日射病・熱射病の違い

 

最後に、日射病と熱射病の違いについて記載して終わりにする。

 

熱中症とは「暑熱による身体障害の総称」と述べたが、ここででは熱中症の中の「熱射病」や「日射病」の違いを記載していく。

 

 

日射病:

日射病とは、体温の上昇を伴わず、太陽光線を直接浴びて頭痛やめまいなどの比較的軽度の症状を呈すものを指す。

 

※猛暑の中で帽子もかぶらず屋外で長時間活動をしていると日射病を起こしてしまう可能性がある。

 

 

熱射病:

熱射病は体温の著明な上昇を伴い、熱放散の悪い状況下で汗をかいて脱水状態になるものである。

 

具体的には、真夏に窓を閉め切っているにもかかわらずエアコンを付けずに過ごすなどで、頭痛や意識障害、けいれんなど比較的重度な症状を呈するものを含む。

 

上記なシチュエーションは想像しにくいかもしれないが、高齢者ではエアコンが苦手で、尚且つ(なぜか)窓を閉め切っている人達も存在するようで、私も訪問リハビリで目の当たりにしたことがある。

 

本人は汗だくになりながらも平気そうだが、こちらは頭痛が起こってくることもあり、そもそも自覚症状がなければ良いという問題でもないため、環境の調整を依頼して事もある。

 

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