この記事では、手段的ADLの評価尺度である『Lawtonの手段的ADL評価尺度』について記載していく。
ADL(日常生活活動・日常生活行為)という用語自体の解説は、以下を参照してほしい。
⇒『ADL(日常生活活動・日常生活行為)とは? 定義や評価法を整理しよう』
Lawtonの手段的ADL評価尺度とは
手段的ADLについては、重要な項目が年齢・性別・生活環境(家庭内での役割・住居の状態・生活スタイル)などによって異なる。
よって、凡用性をもった評価スケールの開発は容易ではないが、以下などが用いられることが多い。
・Lawtonの手段的ADL評価尺度
・老研式活動能力指標
・JST版活動能力指標
Lawtonの手段的ADL評価尺度の詳細
Lawtonの手段的ADL評価尺度には、手段的ADLにおける以下の8項目が含まれる。
- 電話の使用
- 買い物
- 食事の支度
- 家事
- 洗濯
- 移動手段
- 服薬の管理
- 財産管理
でもって、男女間で評価項目(質問内容)が異なる点が、他の指標とは大きく違う。
※女性は8項目すべてに回答するのに対して、男性はそのうち5項目(電話の使用・買い物・移動手段・服薬管理・財産管理)についてのみ回答する(総得点も男性で低くなる)。
男女で評価項目が異なる理由としては「手段的ADLへの関わりが一般的に男女で異なっている」などが挙げられてる(例えば一般的に、男性は食事の支度や洗濯をあまりしないなど)。
ただし、最近では男性が積極的に家事をすることは珍しくなく、独居男性高齢者も増えている。
なので、性差を勘案することは必ずしも妥当ではないとの意見もある。
Lawtonの手段的ADL評価尺度 の実際
本尺度では、各項目について3~5段階の活動が「できる」か「できない」かで問われる(できれば1点・できなければ0点)。
※前述したように、男女で評価(質問)する数が異なる。
項目 |
得点 |
||
男性 |
女性 |
||
電話の使用 |
1.自発的に電話をかける。知らない電話番号は自分で調べる。 |
1 |
1 |
2. 知っているいくつかの番号にのみ電話をかけることができる。 |
1 |
1 |
|
3.電話を受けることはできるが、自分からかけることはできない。 |
1 |
1 |
|
4.電話を使用することは出来ない。 |
0 |
0 |
|
買い物 |
1.必要な買い物はすべて自分一人で出来る。 |
1 |
1 |
2.安価な買い物は一人で出来る。 |
0 |
0 |
|
3.全ての買い物に付き添いを必要とする。 |
0 |
0 |
|
4.買い物は全く出来ない。 |
0 |
0 |
|
食事の支度 |
1.献立・調理・配膳は適切に一人で出来る。 |
実施せず |
1 |
2.材料があれば適切に調理ができる。 |
0 |
||
3.調理済み食品を温めて配膳する。配膳するが栄養が適切でない。 |
0 |
||
4.調理・配膳は人にしてもらう。 |
0 |
||
家事 |
1.自分で家屋の維持ができる。重労働のときのみ手伝ってもらう。 |
実施せず |
1 |
2.皿洗いやベッドメーキングのような軽作業のみ出来る。 |
1 |
||
3.日常の軽作業は出来るが、適切な清潔さの維持は出来ない。 |
1 |
||
4.すべての家事に援助を必要とする。 |
1 |
||
5.家事は全く出来ない。 |
0 |
||
洗濯 |
1.自分の洗濯は自分で出来る。 |
実施せず |
1 |
2.靴下、ソックスの様な小物は洗濯できる。 |
1 |
||
3.洗濯はすべて人にしてもらう。 |
0 |
||
移動手段 |
1.公共交通機関を利用して一人で外出できる。自分の車を運転する。 |
1 |
1 |
2.タクシーを利用して外出するが、他の交通機関は利用できない。 |
1 |
1 |
|
3.介護者がいるときに公共交通機関を利用して外出する。 |
0 |
1 |
|
4.他の介護があるときのみタクシーまたは自動車を利用して外出する。 |
0 |
0 |
|
5.外出は全く出来ない。 |
0 |
0 |
|
服薬管理 |
1.正しい量の薬を、決められた時間に責任をもって服薬できる。 |
1 |
1 |
2.分包して渡されれば、正しく服用できる。 |
0 |
0 |
|
3.自分の責任をもって服薬出来ない。 |
0 |
0 |
|
財産管理 |
1.財産管理は自立している。 |
1 |
1 |
2.日用品の購入は出来るが、銀行へ行く、高額な買い物には援助が要る。 |
1 |
1 |
|
3.通貨を使用することは全く出来ない。 |
0 |
0 |
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