この記事では、徒手的操作時に大切となる体の使い方・重心移動などを『歩行肢位』という用語を使って解説していく。

 

歩行肢位とは

 

関節モビライゼーションなどの徒手療法やPNFなどの運動療法を実施するにあたって、いかにボディーメカニクスを応用して体重移動で操作できるかは大切なポイントとなる。

 

そして、その様な操作をするにあたって活用されやすい療法士の姿勢に「歩行肢位」というものがある。

 

歩行肢位1
歩行肢位とは、左の画像の様に「前後へ足を開いた状態での立位姿勢」を指す。

 

歩行肢位でいることで、前方への体重移動を関節を可動させる力に変換したり、後方へ体重移動することで関節をけん引する力に変換できたりする。

 

また、歩行姿位では前後方向への体重移動だけでなく、(場合によって)前方へ体重移動しながら重心を落としたり、後方へ体重移動しながら重心を落としたりといったボディーメカニクスも活用していく。

 

歩行肢位2
 
前方へ体重移動する。
 
重心を落とす+前腕長軸に可動方向を合わせることで関節モビライゼーションなど。

 

 

 

 

 

歩行肢位3

 

後方へ体重移動する。

 

前腕長軸に可動方向を合わせながら関節の離開など。

 

重心を落としながらの体重移動などPNFでも活用される。

 

 

 

 

この様な体重移動を活用することで以下の利点がある。

 

  • 接触手が感覚に意識を集中しやすくなる。
  • 療法士が無理な力を入れなくて済むので、自身の体を傷めにくくなる。
  • 徒手操作が容易になり、微妙な力加減の調節ができる。

・・・・・・・などなど。

 

関節モビライゼーションを実施する際は、歩行姿位での可動を心がけるとともに、可動する方向に前腕の長軸を合わせることで適切な刺激を入れやすくなる。

 

 

関連記事

 

歩行肢位は様々な徒手療法で活用されるが、ここでは関節モビライゼーション・PNFに関する記事をリンクしておくので、これらの記事も参考にして理解を深めて頂ければ幸いである。

 

モビライゼーションとは!定義/適応・禁忌/方法を紹介

PNFの臨床活用するためのポイントを解説

 

 

また、徒手理学療法とは全く関係ないが、バランステストやバランストレーニングで活用される肢位として『タンデム肢位』があり、そちらは以下を参照(肢位つながりということで・・・)。

 

タンデム肢位(タンデム歩行)をバランス練習に活用しよう