この記事では、「膝蓋骨(パテラ)のモビライゼーション」と題して、膝蓋大腿骨関節のモビライゼーションについて「動画+補足」と言う形で紹介していく。

 

※以降の記事では「膝蓋大腿関節モビライゼーション」を「膝蓋骨(パテラ)モビライゼーション」と略して記載。

 

膝蓋骨(パテラ)のモビライゼーション

 

まずは、膝蓋骨の滑りモビライゼーション動画を観覧してみてほしい。

 

※実際は、『関節モビライゼーション』というよりは、(モビライゼーションが必要かの評価でもある)『関節副運動テスト』といった側面が強い。

関連記事⇒『関節副運動テストを補足します

 

※ただし、力を強めれば(グレードを3にすれば)モビライゼーションにもなるので紹介していく。

 

※あるいは、弱い力でも持続的に伸張刺激を加えると、軟部組織に過剰な負担を加えずリリース出来ることもある。

 

 

動画では、膝蓋骨を多方向へ動かすことで、関節副運動をチェックしている。

 

膝蓋骨の動きをチェックして、「問題のある特定の方向」へ関節モビライゼーションが必要な場合は、母指球や水かき部分などの(広い面)を使用しながらモビライゼーションを施行する(指尖などの点での圧は不快感を伴う場合がある)。

 

 

膝蓋骨(パテラ)モビライゼーションの注意点

 

膝蓋骨(膝蓋大腿関節)のLPPは膝伸展位(~軽度屈曲位)である。

 

したがって、(動画の様に)背臥位で下肢を伸ばしてリラックスしてもらった状態で関節副運動テスト・モビライゼーションを施行する。

 

しかし一方で、膝蓋骨モビライゼーションの対象者が、必ずしも膝関節(脛骨大腿関節)の伸展制限が無いとは限らない。

 

つまり、軽度な屈曲拘縮を呈している場合においては「単純に足を伸ばしてもらった肢位」では(膝下がベッドから浮いてしまっているので)リラックスできない。

 

※リラックスできていないと、正しい関節副運動が評価できない。

※もちろん膝蓋骨モビライゼーション時も動きがブレる。

 

従って、(膝窩とベッドの隙間を埋めるように)丸めたタオルを膝下へ入れ込んであげることでリラックスしてもらう。

 

もしかりに、筋緊張によって膝蓋骨の動きが制限されている場合は、膝蓋骨モビライゼーションとは異なったアプローチが必要な可能性もある。

 

これらの事からも、(重複するが)評価(治療)をする際にはリラックス出来ていることが必須条件となる(これにより、制限の原因が関節原性なのか、それ以外なのかの鑑別をしていく)。

 

※(術後などで瘢痕化した組織による膝蓋大腿関節の運動制限など)必要に応じて、フリクションマッサージといった他のテクニックも併用する。

 

 

膝蓋骨モビライゼーション8パターン

 

動画では滑りモビライゼーション(というか関節副運動)が示されている。

 

ただし、「滑りモビライゼーション」だけでなく、「(評価+)傾斜モビライゼーション」も存在する。

 

つまり、膝蓋骨における関節モビライゼーションは以下の8パターンが存在する。

 

滑りモビライゼーション:

  • 頭側
  • 尾側
  • 内側
  • 外側

 

傾斜モビライゼーション:

  • 頭側
  • 尾側
  • 内側
  • 外側

 

※滑りモビライゼーションに関しては、母指球を使用することを推奨したが、傾斜モビライゼーションに関しては指尖(母指の指腹)を使用しないと難しいため、原則から外れる。

 

以下は、「極端な」傾斜モビライゼーションを示したイラストとなる。
膝蓋骨モビライゼーション

 

 

膝蓋骨モビライゼーションが膝関節にもたらす作用

 

前述した膝蓋骨における8つの関節副運動が膝関節にもたらす作用を考える上でのポイントは以下となる。

 

・膝蓋骨の頭側滑りは、膝関節伸展に必要な構成運動である。

・膝蓋骨の尾側滑りは、膝関節屈曲に必要な構成運動である。

・膝蓋骨の内側・外側滑りは、膝関節の屈・伸や、脛骨の内・外旋に必要な副運動である。

・膝蓋骨の傾斜は、膝関節の屈・伸や、脛骨の内・外旋に必要な副運動である。

 

従って、膝関節の機能障害を考えるうえでは、脛骨大腿関節のみならず、膝蓋骨(膝蓋大腿関節)の評価・治療も重要となってくる。

 

 

関連記事

 

膝蓋骨(膝蓋大腿関節)の機能障害は、内側広筋の萎縮も伴って、膝蓋骨の外側変位や不安定性を伴う膝蓋大腿関節の痛み(要は膝前面の痛み)を起こすことがある。

 

そんな膝関節の痛みに対する考え方は、以下の記事も併せて観覧してもらい、知識を深めてもらいたい。

 

 

パテラセッティング(クアドセッティング)って効果ある?

 

エクステンションラグ(extension lag)と内側広筋は関係ないよ

 

 

また、関節モビライゼーション自体の包括的な解説は以下も参考にしてみてほしい。

 

モビライゼーションとは!定義/適応・禁忌/方法を紹介