この記事では、過活動膀胱の基礎知識と、その改善方法について記載していく。

 

目次

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過活動膀胱によって切迫性尿失禁の原因となる

 

「急に強い尿意が起こり、我慢しきれなく尿がもれる」というケースの失禁を『切迫性尿失禁』と呼ぶ。

 

※尿失禁の分類は以下を参照

⇒『尿失禁(尿もれ)などの排尿障害まとめ

 

そして、切迫性尿失禁の原因の一つこそが過活動膀胱である。

 

また尿もれが無くとも、強い尿意を感じてトイレによく行く(=頻尿)の人も、過活動膀胱が原因と考えられている。

 

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過活動膀胱とは?

 

過活動膀胱とは、突発的に尿意が起こり我慢が出来なくなる「尿意切迫感」を主症状として、一般に頻尿を伴い、場合によっては切迫性尿失禁が起こる病気である。

 

 

頻尿とは?

 

「尿が近い、尿の回数が多い」という症状を頻尿といいます。一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。

 

しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。

~日本泌尿器学会HPより~

 

具体的に過活動膀胱かどうかチェックしたい場合は以下を参照。

~過活動膀胱診療ガイドライン[第2版]より~

 

症状

点数

頻度

    朝起きた時から夜寝る前までに排尿を何回くらいしたか

7回以下

8~14回

15回以上

    夜寝てから朝起きるまでに、排尿を何回くらいしたか

0回

1回

2回

3回以上

    急に排尿したくなり、我慢したことはあったか

なし

週に1回より少ない

週に1回以上

1日1回くらい

1日2~4回

1日5回以上

    急に排尿したくなり、我慢できずにもらしてしまったことはあったか

なし

週に1回より少ない

週に1回以上

1日に1回くらい

1日2~4回

1日5回以上

 

以下の1と2の両方に該当する人は過活動膀胱と診断される。

  • 1⇒テスト③が2点以上
  • 2⇒テストの合計点数が3点以上

 

過活動膀胱の重症度は以下の通り。

  • テストの合計点数5点以下⇒軽症
  • テストの合計点数6~11点⇒中等症
  • テストの合計点12点以上⇒重症

 

 

過活動膀胱のほとんどは原因不明?

 

本来、排尿は脳からの指令でコントロールされている。

 

そのため脳卒中などで脳が障害を受けると脳と骨盤底筋群を結ぶ神経回路に問題が生じ排尿を上手くコントロールできなくなる。

 

一方で、上記の様に必ずしも原因が明らかなケースばかりではなく、前述してたチェックリストに引っかかる人達の多くは原因不明であり、かなりの割合で「加齢に伴い膀胱が勝手に収縮して尿がもれるタイプ」だと考えられている。

 

※原因疾患がはっきりしている場合においても、何割かは「加齢による影響」も加味されていると思われる。

 

 

過活動膀胱に対する治療(リハビリ・理学療法も含む)

 

過活動膀胱に対する治療をするにあたっては、自身だけで判断せず泌尿器科への診察をお勧めする。

 

そして、診察を受けた上で、薬物療法と並行して実施する治療として推奨されているリハビリ(理学療法)は以下となる。

 

  • 膀胱訓練
  • 骨盤底筋群のトレーニング

 

 

膀胱訓練

 

過活動膀胱で頻尿の人は、尿意を感じても実際には膀胱に尿が十分溜まっていないことが多いとされている。

 

従って、少しの時間は排尿を我慢できる。

 

そこで、尿意を感じてから5分間、トイレに行くのを我慢する。

 

※5分が無理なら、最初の内は2~3分など短時間から開始してもOK。

 

※それが出来たら徐々に我慢する時間を増やしていく。

 

これを続けると、膀胱の尿をためる働きが回復しやすくなるとされている。

 

 

骨盤底筋群に対するリハビリ(理学療法)

 

骨盤底筋群に対するリハビリ(理学療法)に関しては、以下で詳しく解説しているので是非参考にしていただきたい。

 

骨盤底筋群が尿もれ(尿失禁)の予防に重要な件