セリエは身体に生じるストレス反応を下記の3つの時期に分類した。
- 警告反応期(ショック相+反ショック相)
- 抵抗期
- 疲弊期
警告反応期(ショック相+反ショック相)
警告期は下記の『ショック相』と『反ショック相』に分けられる。
ショック相
生体にストレス刺激が加わると、最初に体温、血圧、血糖が低下するとともに、神経系、筋肉の働きも減少し、いわゆる『金縛り』の状態になる。
関連記事⇒『セリエのショック相の具体例』
反ショック相
警告反応期における反ショック相は、キャノンの実験で示した「闘争・逃走反応」、すなわち動物が外敵に遭遇した時に感情を表出するとともに、自らの得生命を守るための原始的な自己防衛本能に該当する。
このような反応によって、ショック期から直ちに体制を立て直すのである。
また、反ショック相では、単に行動を起こすだけでなく、交感神経や副腎(皮質・髄質)の機能が高まり、ステロイドホルモン・ノルアドレナリン・アドレナリンが産生されることで、ストレス刺激に対応する。
このような仕組みによって、『ショック相』とは反対に、体温、血圧、血糖は上昇し、神経系、筋肉などは活発に活動する。
※上記の活動に血液を優先させるため、消化器官の血流は減少する。
関連記事⇒『セリエの反ショック相(闘争・逃走反応)の具体例』
抵抗期
警告反応期の後に、さらにストレス刺激が加え続けられると抵抗力が増し、それを維持する時期が続く。
疲弊期
しかし、ストレス刺激が強すぎたり、長く続きすぎたり、ほかのストレス刺激が新たに加わったりすると抵抗力は弱まり、この時期を『疲弊期』と呼ぶ。
『警告反応期の反ショック相』と異なり交感神経ではなく副交感神経の機能が相対的に強くなり、ノルアドレナリンやアドレナリンの放出が減少するために血圧が低下し、顔面も蒼白になる。
消化液の分泌が増大し、胃腸の運動も亢進して、お腹がきりきり痛む可能性もある。
そして、生体はストレス刺激に負けて疲弊し、死に至ることすらある。
心身症やうつ病などの精神障害が起きやすいのが疲弊期と言われている。
ストレス刺激にさらされる期間や強さによって、このストレス反応は警告反応期で終わったり、ときには警告反応期と抵抗期を飛び越えていきなり疲弊期になることもある。
ストレス刺激に対する抵抗力は、ストレス刺激の強さやそれにさらされる期間、さらにほかのストレス刺激が加わるか否かによって左右されると言われている。
ストレス刺激に満ち満ちている現代社会で生活している我々は、何らかのストレスを常に受け、また持っている。
可能な限り、疲弊期に入る前に何らかの処置をこうじたいものである。
関連記事⇒『セリエの疲弊期における意見の相違』