人間が他の動物と違うのは、目の前に危険がせまっていなくてもストレス反応が起きるところだ。

 

人間は危険を予測し、記憶し、概念化する。

 

そして、この能力が私たちの生活を複雑にしている。

 

神経学者のブルース・マキュアーンは「心は非常に強力なので、恐ろしい状況に陥っていると想像するだけで、ストレス反応が起こる」と述べており、言い換えれば私たちは想像するだけで(良くも悪くも)興奮状態に陥ってしまうということになる。

 

一方で、マキュアーンの指摘には、もう一つ重要な側面がある。

 

それは私たちが、その興奮状態から抜け出ることも出来るということである。

 

つまり、精神が体に影響を及ぼすように、体も精神に影響を及ぼすことができるということである。

 

この様に考えると、「体を動かすことで精神状態を変える」という概念は理にかなっていると言える。

 

結局、闘争・逃走反応の目的が、人間を行動に駆り立てることである以上、体を動かすのはストレスの悪影響を防ぐ自然な手段なのだ。

 

ストレスに対処するために運動するのは、人類が過去数百万年かけて進化する過程で行ってきたことなのだ。