「医療的な環境」や「医療従事者が自分に何かしてくれるという信頼感」はクライアントに症状軽減への期待感を発生させることが可能である。
文献的にも、初めに痛みの軽減を経験し、その後さらにそれを期待する被験者ではプラシーボによる一貫した痛みの軽減が、迅速かつ確実に条件づけされる(感作される)ことが示されている。
期待感はそれが学習されると、関連した刺激に対しても容易に一般化される。
肯定的な精神的態度や、特異的なものにしろ、類似したものにしろ、治療的介入が良い結果をもたらしてくれるという期待感は、医療を求める個人にとってはごく普通のことである。
そして、痛みの治療における初期の成功は、さらに前向きの方向で期待感を導き、結果的にそれに続く治療が将来的にも成功することに貢献する。
いったん痛みの改善が上手に達成されると、引き続き成功するという期待感がその後の治療でも中枢神経系に影響を与えて痛みを抑制する可能性が高い。
現段階では、そのような感作効果が痛み治療の成功にどの様に貢献しているのか確実なことは言えない。
しかしながら、治療におけるこの学習による期待感の効果を最大限に利用しようとするなら、痛みに対する治療は出来る限り迅速に効果的な鎮痛を与えること、それも最初の数回の治療回で確実に行うことが理想となる。