この記事ではFIM(機能的自立度評価表)における『認知の5項目』に関する採点基準を解説していく。

 

FIMにおける認知項目について

 

FIMにおける認知項目は以下の通り。

①コミュニケーション(communiction)

※コミュニケーションは『理解(comprehension)』と『表出(expression)』に細分類される。

 

②社会的認知(social cognition)

 

③社会的交流(social interaction)

 

④問題解決(problem solving)

 

 

認知項目における「コミュニケーション(理解・表出)」と「問題解決」の関連性は以下の通り。

 

・理解(単に言葉を聞き取ることを指す。つまり、聞き取った内容の解釈は含まれない)

・問題解決(聞き取った言葉を解釈・思考する)

・表出(単に言葉に出すこと。話の内容は問わない)

 

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理解の採点基準

 

FIMの認知項目の一つである理解の採点基準について記載していく。

 

FIMにおける『理解』とは

 

一般的に『理解』とは、相手の言葉を聞き取るだけでなく、その言葉を解釈するまでが含まれることが多い。

 

ちなみに、広辞苑における「理解」の意味は以下の通り。

 

①物事の道理をさとり知ること。意味をのみこむこと。物事がわかること。

 

②人の気持ちや立場がよくわかること。

 

一方で、FIMにおける「理解」の範囲は以下の通り。

 

「とにかく聞き取れているかどうか」

 

つまり、「聞き取った内容を、解釈・判断する」といった点までは含まれない。

※解釈などは後述する『FIMにおける問題解決』に該当する。

 

 

FIMにおける「理解」の評価範囲

 

前述したように、『理解』の範囲は「相手の言ったことを耳に入れ、それを日本語として聞き取るところ」までを指す。

 

『理解』には、聴覚あるいは視覚によるコミュニケーションの理解が含まれる。

 

そのため、最も普通に行っている理解の方法(聴覚or視覚)に印をつけて評価する。

※両方を等しく使っている場合は両方に印をつける。

 

 

FIMにおける「理解」の採点基準

 

7点・6点:

複雑抽象的な内容を聞き取ることができることが、7点・6点の基準となる。

「複雑抽象的な内容」とは以下を指す。

  • 集団会話
  • 最近の出来事
  • 信仰
  • ユーモア
  • 計算
  • 金銭面

・・・・・・・・・・・・・などに関する事柄

 

ちなみに6点(修正自立)における補助具としては以下が挙げられる。

  • 補聴器(聴覚による理解を補助)
  • 絵カード(視覚による理解を補助)
  • 文字板(視覚による理解を補助)
  • 言語カード(視覚による理解を補助)

・・・・・・・・・・・・・・・など

 

あるいは、「難聴な高齢者で補聴器をつけたがらないケース」であっても「大声で話しかければ完全に通じる」のであれば(環境の調整が行われた)ということで6点(修正自立)となる。

 

※ただし、繰り返し大声で伝えたりと「介護者の労力・手間がかかる」のであれば5点以下となる。

 

 

5~1点:

複雑抽象的な内容を聞き取ることが出来ないと5~1点と採点される。

また、聞き取る内容は(7・6が複雑抽象的な内容なのに対して)、「基本的欲求」が中心となる。

基本的欲求とは『生理的欲求』の事であり、具体的には以下の通り。

  • 食事(食べ物・飲み物・喉の渇きなど)
  • 排泄(トイレへ行きたくないか、排泄状況)
  • 睡眠(眠れたか・眠たくないか)

 

また、5~1点は促し(FIMにおける運動項目の「介助」に該当)が必要な場合を指し、「促し」の具体的な内容は以下の通り。

  • ゆっくり話す
  • 繰り返す
  • 間を置く
  • 視覚やジェスチャ
  • 特定の語句を強調
  • 「はい」「いい え」を用いる
  • 文字を書く(筆談)

 

「文字を書く(筆談)」と、修正自立の項目で記載した「文字盤・絵カード・言語カード」といった自助具に関しては微妙に感じる人もいるかもしれない。

※補聴器は自助具として分かりやすいのだが・・・・

 

個人的には、前者は「紙とペン(補助具)だけでは成り立たず、促しとして一手間(文字を書く)が必要」なのに対して、後者は「自助具だけで解決できる」といったように理解している。

 

促し(介助)の量の目安に関しては以下の通り。

①結果的に何パーセント(FIMでいうところの)「理解(聞き取り)」が出来たか

②(FIMでいうところの)「聞き取り」に要した介助者の労力や手間

※例えば、ジェスチャーを繰り返し、時に筆談も組み合わせるなどの工夫が必要だと点数は低くなる。

 

高次脳機能障害を含めて注意が散漫であったり、難聴(補聴器の効果が無いなど)であったりなケースでは、点数が低くなりやすい。

 

 

「理解」の採点例

 

<促しなし>(複雑な内容)

7点(完全白立):

⇒基本的欲求,複雑な内容の理解がスムーズにできる。補助具不要。

 

6点(修正自立):

⇒基本的欲求は問題ないが、複雑な内容の理解は時間をかけるとできる補助具が必要。

 

<促しあり>(複雑な内容)

5点(待機的介助):

⇒完全な文章レベル(筆談)で基本的欲求の理解はできる。促しはほとんど不要。

 

4点(最小介助):

⇒短文レベル(筆談)での基本的欲求はほとんどできる。少し促しが必要。

 

3点(中等度介助):

⇒文章・単語レベル半々で基本的欲求は半分以上理解できる。促しは、半分近く必要。

 

2点(最大介助):

⇒単語レベルで基本的欲求の理解は半分以下。促しは、半分以上必要。

 

1点(全介助):

⇒基本的欲求の理解はほとんど不可能。促しに反応ない。

 

 

「表出」の採点基準

 

FIMの認知項目の一つである「表出」の採点基準について記載していく。

 

FIMにおける「表出」の評価範囲

 

FIMにおける『表出』は文字通り「言葉に出すこと」を指す。

 

なので、採点範囲は以下の通り。

 

『自分が言おうとしたことを口に出し、それを相手に聞き取らせることができるか』

 

『表出』には、「声を使った表出」と「声を使わない表出」に分けられる。

 

そのため、最も普通に行っている理解の方法に印をつけて評価する。

※両方を等しく使っている場合は両方に印をつける

 

 

FIMにおける『表出』の採点基準

 

「表出」の採点基準は、ほとんど「理解」と同じだが、念のため記載していく(ザッと読み飛ばしてほしい)。

 

7点・6点:

複雑抽象的な内容を表出できることが、7点・6点の基準となる。

「複雑抽象的な内容」とは以下を指す。

  • 集団会話
  • 最近の出来事
  • 信仰
  • ユーモア
  • 計算
  • 金銭面

・・・・・・・・・・・・・などに関する事柄

 

ちなみに6点(修正自立)における補助具としては『会話増幅装置(小声の人でも、声が大きくなる機械)』が挙げられる。

 

5~1点:

複雑抽象的な内容の表出が出来ないと5~1点と採点される。

 

表出の内容は(7・6が複雑抽象的な内容なのに対して)、「基本的欲求」が中心となる。

 

基本的欲求とは『生理的欲求』の事であり、具体的には以下の通り。

  • 食事(食べ物・飲み物・喉の渇きなど)
  • 排泄(トイレへ行きたくないか、排泄状況)
  • 睡眠(眠れたか・眠たくないか)

 

また、5~1点は促し(FIMにおける運動項目の「介助」に該当)が必要な場合を指し、「促し」の具体的な内容は以下の通り。

  • ゆっくり話すよう促す
  • 繰り返し話すよう促す
  • 間を置くよう促す
  • 視覚やジェスチャーを促す
  • 特定の語句を強調を促す
  • 「はい」「いい え」を用いるよう促す
  • 文字を書く(筆談)を促す

 

促し(介助)の量の目安に関しては以下の通り。

①結果的に何パーセント「表出」が出来たか

②「表出」に要した介助者の労力や手間

 

 

「表出」の採点例

 

<促しなし>(基本的欲求)

7点(完全自立):

⇒基本的欲求、複雑な内容をはっきりと流暢に表出できる。

 

6点(修正自立):

⇒基本的欲求、複雑な考えをほとんどの場面で表出できる。わずかな困難を伴うが、促しは不要で補助具が必要。

 

<促しあり>(基本的欲求)

5点(待機的介助):

⇒完全な文章レベルで基本的欲求の表出はできる。促しはほとんど不要。

 

4点(最小介助):

⇒短文レベルで基本的欲求の表出はほとんどできる。少しの促しが必要。

 

3点(中等度介助):

⇒文章、単語レベル半々で基本的欲求の表出は半分程度できる。半分近くの促しが必要。

 

2点(最大介助):

⇒単語レベルで基本的欲求の表出は少しできる。ほとんど促しが必要。

 

1点(全介助):

⇒基本的欲求は、ほとんど表出できない。促しに反応ない。

 

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社会的交流の採点基準

 

FIMの認知項目における『社会的交流』について記載していく。

 

「社会的交流」の定義

 

FIMにおける「社会的交流」の定義は以下の通り。

 

『治療の場、あるいは社会生活の場において他人と折り合い、他人とともに参加していく技能が含まれる。これは自分の欲求と共に、他人の欲求をどう処理するかを示している。』

 

 

「社会的交流」の評価範囲

 

他人に迷惑をかけずに、周囲と適切に交流ができるかどうかを評価する。

 

怒りっぽさのような陽性症状から、閉じこもりなどの陰性症状を取り扱う。

 

医療・看護・介護でなじみ深い具体例としては、以下などが挙げらえる。

 

  • リハビリ(理学療法・作業療法)を拒む
  • 夜間せん妄
  • かんしやくを起こす
  • 大声で不潔な言葉・悪態を言う
  • 過度に笑い、泣くこと
  • 暴力
  • 過度に引きこもること
  • 車いすで暴走すること

 

何となくイメージできるだろうか?

 

 

「社会的交流」の採点基準

 

認知項目における理解・表出・問題解決と異なり、採点基準における7・6点と5点以下の基準が分かれていない。

 

従って採点の際は、例えば「10回の交流のうち、何回適切な交流が出来るか」などでも判断してく。

 

具体的には、採点例を基準に何となくイメージしてみてほしい。

 

 

「社会的交流」の採点例

 

<介助者なし>

7点(完全自立):

⇒スタッフ、ほかの患者そして家族と適切に交流する。

 

6点(修正自立):

⇒ほとんどの場面では、スタッフ・ほかの患者そして家族と適切に交流する、あるいはわずかな困難を伴う。監視は必要ない。新しい状況では引きこもるが、時間がたてば適切に振る舞う。あるいはコントロールのために薬物を必要とすることもある。

 

<介助者あり>

5点(監視):

⇒慣れている場面で適切に交流できる。慣れていないと問題がある。

 

4点(最小介助):

⇒慣れている場面でも問題がある。

 

3点(中等度):

⇒介助マン・ツー・マンの場合は問題がないが、進んで周囲とは交流せず、じっと黙っている。

 

2点(最大介助):

⇒マン・ツー・マンの場合でも問題がある。しばしば非協力的、訓練拒否が多い。

 

1点(全介助):

⇒常時監視が必要。抑制が必要なこともある。日中問題がなくても夜間せん妄で周囲に迷惑をかければ1点。

 

 

「問題解決」の採点基準

 

FIMの認知項目における『問題解決』について記載していく。

 

「問題解決」の定義

 

FIMにおける「問題解決」の定義は以下の通り。

 

『日常生活上の問題解決に関連した技能が含まれる。これは金銭的、社会的、個人的な出来事に関して、合理的かつ安全にタイミングよく決断し、問題を解決するために行動を開始し、継続し、自分で修正していくことを意味する。』

 

 

FIMにおける「問題解決」の評価範囲

 

日常生活上の問題解決に関連した技能、状況判断能力を評価する。

複雑な問題例としては以下が挙げられる。

  • 金銭や内服薬の自己管理
  • 対人トラブルの処理
  • 退院計画に加わるなど

 

日常の問題例としては以下が挙げられる。

  • トイレが必要な時に人に頼む
  • 手助けが必要な時にナースコールをする
  • 歯磨きのやり方がわかる
  • テレホンカードの入れ方がわかる
  • 一人で車いすに移ろうとするのは危険だと気づける

 

 

FIMにおける「問題解決」の採点基準

 

7点・6点に関しては、前述した「複雑な問題に対する反応」で採点する。

 

5点以下に関しては、前述した「日常生活に即した問題に対する反応」で採点する。

 

問題解決の手段は、必ずしも「自身の力のみでの解決」ではなく、場合によっては「他者に頼むことがベストな問題解決」である場合もある。

 

 

問題解決の採点例

 

<介助者なし>複雑な問題の解決が可能

7点(完全自立):

⇒問題を認識し、適切な判断をくだす。複雑な問題を解決するための一連の方針を立て、実行する。そして誤りがあれば自分で修正する。

 

6点(修正自立):

⇒ほとんどの場面で問題を認識し、適切な決断をくだし、問題解決のために一連の方針を立て、実行する。あるいはわずかな困難を伴う。または複雑な問題について決断をくだし、解決するのに通常以上の時間がかかる。

 

<介助者あり>複雑な問題の解決ができない

5点(監視):

⇒日常の問題はほぼ解決できるが、時に解決できない。緊張するような状況または不慣れな状況でのみ、問題解決のために指示、または促し、監視が必要。

 

4 点(最小介助):

⇒日常の問題を時々解決できない。

 

3点(中等度介助):

⇒日常の問題の半分以上は解決できない。

 

2点(最大介助):

⇒問題のほとんどを解決できない。簡単な日常の活動を開始するのに半分以上の場面では指示が必要。安全のために抑制が必要な時もある。

 

1 点(全介助):

⇒日常の問題をまったく解決できない。

 

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「記憶」の採点基準

 

FIMの認知項目における『記憶』について記載していく。

 

「記憶」の定義

 

FIMにおける記憶の定義は以下になる。

 

『施設または社会現場において日常的な活動を行うときに認知と記憶に関連した技能が含まれる。これは特に言語的、視覚的情報を記憶し再生する能力である。記憶障害は課題の遂行だけでなく学習も障害する』

 

 

FIMにおける「記憶」の評価範囲

 

日常的な活動を行う時の認知と記憶に関連した技能を評価する。

これは情報を記憶し再生する能力であり、以下の3つを評価する。

 

①日常で行うことを記憶している

・普段の日常でどんなことをしているか

・リハビリの開始時間は何時か

 

②見慣れた人を認識できる

・自分の家族

・リハビリスタッフ・看護師・介護士の顔

 

③他人の依頼、指示を実行する

・リハビリ内容(車椅子のブレーキを止める・足踏みをするなど)

 

※FIMにおける「記憶」は上記の3つだけが採点範囲であり、これ以外の情報(例えば、生まれた県はどこか、果物にはどんな種類があるか・・・」など)は範囲に入らない。

 

 

FIMにおける「記憶」の採点基準

 

前述した3要素を基準に採点していく。

 

7点:

3要素に全く問題が無ければ7点

 

6点:

何らかの物品(例えばノートなど)を使って記憶している

 

5点以下:

促しの有無にかかわらず、最終的に記憶できたかと促しが必要だったかの悪い方を用いて評価する。

 

採点の例としては、3要素のうち1要素が問題なければ2点(33%問題なし)、2要素が問題なければ3点(67%問題なし)といった感じ。

 

 

記憶の採点例

 

<介助者なし>

7点(完全自立):

⇒見慣れた人を認識し、毎日の日課を覚えている。他人からの依頼を繰り返し聞き返すことなく実行する。

 

6点(修正自立):

⇒見慣れた人を認識し,毎日の日課や他人からの依頼を記憶するのにわずかな困難を伴う。周囲のものから促しやメモが必要な時がある。

 

<介助者あり>

5点(監視):

⇒日課表を見て、ほとんど忘れず行動できる。しかし慣れていない状況では促しが必要な時もある。

 

4点(最小介助):

⇒日課表を見ればほとんど一人で行えるが、見るのを恐れることがあり、4回に1回の頻度で促しを必要とする。

 

3点(中等度介助):

⇒日課の時間・順序について記憶があいまいになるが、半分以上の場面を認識し記憶している。見慣れた人の名前は出ないが認識できる。1つの依頼・指示はできるが、依頼・指示が2つ以上になると繰り返す必要がある。

 

2点(最大介助):

⇒見慣れた人の顔を認識できるが、依頼・指示にはこたえられない。1つの依頼・指示でも半分以上の時間は促しが必要。

 

1点(全介助):

⇒ほとんど記憶できない。他人からの依頼,指示にもこたえることができない。

 

 

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