この記事では、歩行時の筋活動についてまとめている。
筋活動は目的により収縮形態を変化させる
自然歩行時に活動する下肢筋には、主に立脚相に活動する筋と遊脚相に活動する筋がある。
また、歩行時の筋は目的によりその収縮形態を変えて活動する。
つまり、減速作用には遠心性収縮、加速作用には求心性収縮、安定作用には等尺性収縮という収縮形態をとる。
歩行時の筋活動
この記事では以下の筋にフォーカスし、歩行時の筋活動を解説している。
- 脊柱起立筋・腹筋群
- 大殿筋
- 中殿筋
- ハムストリングス
- 下腿三頭筋
- 前脛骨筋
脊柱起立筋・腹筋群
体幹の伸筋の脊柱起立筋と屈筋の腹直筋は、ともに2つの活動時期がある。若干のズレはあるがほぼ同時期で、この同時収縮により、体幹の矢状面上の安定性が高められると考えられている。
また、腹直筋は股関節屈筋の収縮時期と一致し、骨盤や腰椎を安定させていると考えられる。
大殿筋
遊脚相終期の股関節屈曲の減速のために遠心性に収縮し、立脚相初期には強く求心性に収縮し、股関節伸展を維持する。また立脚相における大殿筋の収縮は、二次的に膝関節の伸展にも作用する。
※遊脚相終期から立脚相初期に活動
中殿筋
遊脚相終期に活動を始め、立脚相の特に片脚支持期に最も活動する。中殿筋の活動は、歩行時の前額面上の骨盤の安定にとって重要である。
※遊脚相終期から立脚相の片脚支持期に活動。
ハムストリングス
遊脚相終期の膝関節伸展の減速のための遠心性に収縮し、立脚相初期まで活動して股関節の伸展を補助し、大腿四頭筋との同時収縮で膝関節を安定させる。
※遊脚相終期から立脚相初期に活動
下腿三頭筋
立脚相全体にわたり活動するが、踵離地期から足指離地期で強く収縮する。
この活動は身体の前身運動に重要であり、「プッシュオフ」と言われている。
※立脚相全体で活動
前脛骨筋
一度、踵離地期に強く遠心性に収縮して足関節の底屈を制御し、その後、遊脚相では求心性に収縮することでトゥクリアランスを確保する。
※立脚相・遊脚相を通じて活動
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