この記事では、巻き爪について、原因・対処法などを記載していく。
目次
「巻き爪」とは
巻き爪とは、爪の端が内側に巻き込み、「C」の字のように丸まったり、折れ曲がったりした状態を指す。
巻き込んだ爪の端が皮膚に当たったり、刺さったりすることで、痛みが生じる。
巻き爪が起こる原因
巻き爪は様々な原因で起こるが、その多くには私たちが普段何気なく行っている生活習慣が影響している場合がある。
例えば以下など。
- 深爪にしがち
- 靴はデザイン重視で選ぶ
- がに股やあるいは内股で歩く
- 足の指を使わず、ペタペタと歩く
- あまり歩かない
- 足の爪の周りや足指の間を洗う習慣がない
・・・など。
また、「外反母趾」や「開帳足(足の横アーチが崩れて足の指が横に広がる)」どの足の変形も、巻き爪の原因になる場合がある。
足の爪は、立ったり歩いたりして足指に体重をかけたときに地面からの力がかかることで、まっすぐ平らな状態に生えてくる。
しかし、前述のような生活習慣があると、足指の上や横から過剰な力がかかる、あるいは、足指に適度な力がかからない、といった状態になる。
すると、爪がまつすぐに伸びなくなって巻き爪になるのという訳だ。
つまり巻き爪は足によくない生活習慣が積み重なった結果として起こることが多い、〃生活習慣病〃と表現しても良いのかもしれない。
逆に言えば、足によい習慣を心がければ、巻き爪を予防・改善できる。
爪の周りに「痛み」があったら要注意
軽い巻き爪の場合はそれほど痛まないこともあり、巻き爪が起こっていることに気付いていない人もいる。
しかし、長時間歩いたあとなどに、親指の爪の周りが痛くなったことがある場合は、巻
き爪が起こっている可能性がある。
また、爪がそれほど巻き込んでいなくても、皮膚への当たり方によって痛みが強い場合や、逆に、爪がくるりと巻いていても、皮間に刺さっていなかったり食い込んでいなければ痛みが軽い場合もある。
正しい爪のケア・間違った爪のケア
ここからは、「正しい爪のケア」と「間違った爪のケア」について記載していく。
正しい爪のケア
爪の切り方:
指先と同じか少し長めに、まっすぐに切る(スクエアカット)
・爪の先をまっすぐに切り、両端の角を少しだけ丸く切る。
・爪が指先の皮膚を完全に覆っていることが大切。
・足の爪を切る頻度は3~4週間に1回が目安。
・爪切りは刃先がまっすぐなタイプが使いやすい。
以下は、実際に爪を切っている動画なので、非常に参考になる。
3分程度の動画なので、時間のある方は観覧してみてほしい。
爪の整え方:
爪やすりは、横方向に動かすときは、両端から中央に向かってそれぞれ一方向に動かす。
縦方向の時は、生え際側から爪の先側へ動かす。
爪ヤスリはガラス製のものを使うと、使用後に洗いやすいので清潔を保てる。
足に合った靴を選ぶ:
靴が巻き爪に影響している場合もある。足指を締め付けたり足先に当たったりする靴は巻き爪の原因になる。
靴を選ぶポイントは以下の通り。
・踵がしっかりしている(踵が固定されると、歩行が安定する)。
・靴の中で足指が動く(歩行するときに、しっかりと足指を使える)。
・足の甲が適度に押さえられている(足が前に滑らないので、足指がしっかりと動く。ひもやベルトで調節できるものが良い)。
・足指の付け根が曲がりやすい(足指でしっかりと地面を蹴りだせる)。
足指をしっかり使う歩き方をする:
足指に体重がきちんとかからない状態が続くのも、巻き爪の原因になる「足指をしっかり使う歩き方」を意識しよう。
意識するポイントは以下の通り。
・2本のレールが左右の足の下にあるイメージで、その上をまっすぐに歩く。
・かかとから着地し、足の裏、足指と順に体重移動して、足指で地面を蹴りだす。
・腰は反らさず背筋を伸ばし、腕は真後ろに振る。
間違った爪のケア
深爪(爪の先と両端を短く切り過ぎる):
爪の先を指先より短く切り、両端も指の形に合わせて円く切った状態。爪の先の白い部分を残さないようにすべて切ろうとすると「深爪」になりがち。
深爪にすると、地面からの力に爪が対応できず、徐々に爪の周りの皮膚が盛り上がって爪が皮膚に埋もれてくる。
その結果、爪がまっすぐ伸びにくくなる。また、皮膚に食い込んで痛みと腫れを起こす「陥入爪(かんにゅうそう)」の原因にもなる。
爪の端を斜めに切る:
爪は縦方向と横方向の線維が三層構造になっている。線維に対して斜めの方向に切ると、内側にまうるまりやすくなり、巻き爪の原因となる。
巻き爪対策に活用できるテーピング
巻き爪で痛むのは、丸まった爪の端が皮膚に食い込むことが原因である。
でもって、痛みがそれほど強くなければ「爪の端と皮膚の間にすき間を作るテーピング」で解消できる場合がある。
※巻き爪や陥入爪が軽度ならテーピングをすればすぐに痛みが緩和する場合があるのでえ、試しにやってみてほしい。
※テーピングをしながら爪を伸ばし、(前述した)正しい爪ケアを続けることで巻き爪が治るケースもある。
※伸縮性テープは入浴によって剥がれないが、衛生面も考えると、毎日交換する(濡れたら交換する)に越したことはない。
ここでは、以下のテーピングを紹介する。
- 足の指にテープを巻きつける方法
- 爪の周囲を覆う方法
※いずれも「伸縮性のあるテーピング用テープ(伸縮布粘着包帯など)」を使用。
足の指にテープを巻きつける方法
テープを爪の生え際から爪の先まで長さの長さと同じくらいの幅に切り、長さ1cm程度のものを1本、8cm程度のものを1本作る。
まず、1cmのテープを、痛みのある爪の横の皮膚、爪ギリギリの位置に貼る。
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1cmのテープの上に8cmのテープの端を重ねて貼り、皮膚を爪から引き離すように強く引っ張る。
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テープを引っ張りながら足指の腹と付け根に巻きつけて貼り、足の甲側にテープを留める。留めるときはテープを引っ張り過ぎない。
爪の両側に痛みがある場合は、反対側も同様に行う。
爪の周囲を覆う方法
テープを長さ5cm程度に切り、
真ん中で折り、
テープを伸ばしたときに爪が出る長さの切り込みを中央に入れる。
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切り込みから爪の先を出して、
爪の両側の先端と皮膚の間にテープをかませたら、
爪にかからないように切り込みを広げながら、爪の生え際側の皮膚に張る。
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爪の先側と爪の両側の皮膚を爪から引き離すように、
テープを強く引っ張りながら貼る。
コットンパッキング法(痛みを緩和する応急処置法)
爪の先の白い部分が2mm以上ある場合にできる応急処置法。
脱脂綿や不織布を米粒くらいの大きさに丸めて、対実のある爪の角と皮膚の間に挟む。
丸めた脱脂綿などは小さすぎると効果なく、大きすぎると痛むので、ちょうどよい大きさに調整する。
医療機関で行われる巻き爪の治療(巻き爪の保存療法)
セルフケアを行っても痛みが改善しない場合や爪の周囲に炎症が起きている場合は、爪の診療を行っている皮膚科や形成外科などを受診して相談しよう。
巻き爪の治療では、まずは保存療法を行い、十分な効果が得られない場合に外科手術が検討される。
また、巻き爪の治療には基本的に健康保険が適用されないため自己負担になる。
矯正治療を始めると、まもなく痛みはなくなるが、爪の成長速度には個人差がかなりあるため、爪が巻かずに生えてくるようになるのには、半年〜1年、場合によっては2年ほどかかる。生活習慣の改善と併せて、根気よく治療を続ける必要がある。
巻き爪治療の種類
医療機関では、丸まった爪の形を平らに矯正して痛みを緩和する保存療法が行われ、具体的には以下などの種類がある。
クリップ法:
軽症の場合は、爪の先の白い部分に形状記憶合金性のクリップをつけて矯正する。
クリップは1~2か月に1回交換する。
ワイヤー法:
重症の場合は、爪の先端に2か所孔をあけ、太さ0.4~0.5mmの金属製のワイヤーを通して矯正する。ワイヤーは1~2か月に1回交換する。
ガーター法:
炎症を伴う場合は、爪の端と皮膚の間に、細くて柔らかいチューブを差し込んで爪の食い込みを防ぎ、痛みを緩和する。炎症が治まるまで続ける。