この記事では、パーキンソン病の症状を「4大徴候」から、その他多岐に渡る症状を網羅して解説している。

 

国家試験にも出題される、パーキンソンの四大徴候

 

パーキンソン病の主な徴候として有名なのは以下の4つである(国家試験に出るレベルな知識)。

  • 振戦
  • 固縮
  • 無動
  • 姿勢反射障害

 

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振戦

 

パーキンソン病の振戦は『安静時振戦(安静時の4~6Hzの規則的な不随意運動)』が特徴で、睡眠中には消失する。

 

 

丸薬を丸める動作に似ていることから、丸薬丸め運動(pill-rolling movement)と呼ばれる。

また、動作時にある姿勢をとったときに認める姿勢時振戦の合併もある。

 

以下は安静時振戦(丸薬丸め運動)の動画になる。

 

 

ちなみに、『安静時振戦』はパーキンソン病に特徴的な振戦だが、『企図振戦(運動時、特に運動終了直前に生じる振戦)』は小脳疾患(運動失調)で特徴的な症状である。

企図振戦(きとしんせん)の有無は鼻指鼻試験などで確認でき、興味がある方は以下の記事も合わせて観覧してみてほしい(企図振戦の動画もアリ)。

⇒『運動失調(失調症)の評価法まとめ一覧

 

それと、パーキンソン病における振戦の特徴は『安静時振戦』だが、これは「パーキンソン病では安静時だけ振戦が起こる」ではなく「パーキンソン病では安静時でも振戦が起こる」という意味である。

※例えば歩行中や随意運動中に振戦が増強することはよくある。

 

 

固縮

 

患者の筋を他動的に伸展する際に感じる抵抗で、持続性の抵抗を感じる鉛管様固縮と断続的な歯車様固縮がある。

  • 前者の方が特徴的
  • 初期には左右差が確認できる場合も多い

 

 

無動・動作緩慢

 

動作が緩慢で自発運動の減少として観察される。

 

寝返りや起き上がりが困難となり、小声で表情は乏しく仮面様顔貌を呈する。

 

歩行時など最初の一歩が出にくくなる。すくみ現象が徐々に出現する。

 

すくみ足がある場合でも、障害物をまたぐことは可能で、この現象を矛盾運動(kinesie paradoxale)と呼ぶ。

 

※その他、歩行は出来ないが、階段はスラスラと登れるなどの矛盾運動も生じることがある。

 

このような外部刺激(external cue)を利用すると歩行や動作練習が効果的であると報告されている。

 

例えば、テープを貼ったり、棒を置いて、それを跨いでもらうように指示すると、すくみ足が改善するなど。

 

 

 

あるいは、以下の様な『パーキンソン病用ステッキ』を使用するなどが、すくみ足が効果的な場合がある。

※ハードルバーを跨ぐようにすることで、歩きだせる場合がある。

 

 

 

姿勢反射障害

 

進行とともに立ち上がりや方向転換時にバランスを崩すようになる。

評価としては、患者の背部に立ち、検者が患者の肩をもって後方へ引き(pull test)などが挙げられる。姿勢反射障害があると姿勢を支えきれずに後方へバランスを崩し、突進する(retropulsion)。

※pull testは『UPDRS(パーキンソン病の評価指標)』に含まれる。

 

実施する際は、オリエンテーションとして事前に後方外乱を与えること、バランスを保持するため足を後ろに出してもよいことを説明し、一度練習では弱い外乱を与える。

 

実際に評価する際には、重心を支持基底面から外すのに十分な負荷を与え、ステップ反応が出るのか、ステップ反応は出るが介助がなければ立ち直れないのかを評価する。

重症例では一歩も足が出ないこともあり、転倒リスクの評価としても有用である。

 

静的立位バランスとして「静止立位での動揺立位保持時間」や「functional reach test(立位での体幹回旋を含む重心移動)の評価も併せて行う。

 

 

パーキンソン病の症状は多岐にわたるよ

 

前述した振戦・無動・固縮・姿勢反射障害がパーキンソン病の主症状と言われている。

 

ただし、上記以外にも以下のように症状は多岐にわたる。

 

  • 歩行障害
  • 姿勢異常
  • 自律神経症状
  • 睡眠障害
  • 精神症状
  • 認知症
  • 疼痛

・・・・・など。

 

でもって、ここから先は上記症状に関して解説していく。

 

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歩行障害

 

パーキンソン病における歩行は、歩幅が小さく、上肢の振りが乏しいのが特徴と言える。

※「手を振って歩いてみて下さい」と指示すると同側の手足が一緒に出てしまう人もいたりする。

 

また、病状の進行とともに、『(前述した、歩行開始の1歩目の足が出ずらい)すくみ足』や、歩行途中で加速歩行となる『突進現象』が観察されるようになる。

 

パーキンソン病における歩行障害に関しては以下の記事で(他疾患の異常歩行目くめて解説しているので合わせて観覧してみてほしい)。

⇒『跛行(はこう)とは! 異常歩行(歩行障害)の全種類・原因を網羅する

 

 

姿勢異常

 

(肘関節、股関節膝関節を屈曲し)前傾姿勢が多であることが多い。

その他、体幹側屈するピサ症候群(Pisa syndrome)や頚部が前屈する首下がり(dropped head syndrome)がある。

 

言葉で表現するより、以下のイラストが分かり易いかもしれない。

 

①⇒胸椎後湾

 

②⇒骨盤後傾

 

③⇒股関節屈曲

 

④⇒膝関節屈曲

 

⑤⇒足関節背屈

 

⑥⇒頸部前彎増強

 

⑦⇒肩関節内転

 

⑧⇒肘関節屈曲

 

⑨⇒手関節掌屈(+尺屈)

 

⑩⇒手指屈曲傾向

 

 

自律神経症状

 

起立性低血圧:

起立性低血圧や食事性低血圧がみられ、後者は食後30~60分に認められる。

起立性低血圧は、パーキンソン病の初期問よりは、歩行障害がっ出てくるような時期に同時に起こることが多い。

「椅子から立ち上がった時にクラットくる」といった立ちくらみが、起立性低血圧であり、これを予防する耐えに、直ぐに立ち上がらず足踏みをするなどして(足の血流循環を促した後に)立ち上がったり、立ちくらみが起こりそうな感覚がある時は、無理に立ち上がろうとせず、しばらく横になっておくなども一つの考えと言える

関連記事⇒『起立性低血圧 ―対処法や予防法も紹介するよ!

 

排尿障害:

排尿障害は過活動膀胱による頻尿を訴えることが多い(全身の筋肉の動きが鈍くなるため、尿道の括約筋の働きが弱まり頻繁に尿意をを感じ、トイレが近くなることがある)。

尿意を感じるのに、要が出にくく、残尿感を常に感じている状態となる。(ひどい場合には、1時間位1回の割合でトイレに行かなければならず、夜中も眠れず睡眠不足になる患者さんもいる。日内変動により夜間一人で起きれない場合は、家族も起こされるため家族も一緒に睡眠不足に陥ることもある)。

 

便秘:

便秘はほとんどのパーキンソン病患者において認めると言われている(ときに腸閉塞まできたしてしまうこともあると言われている)。

腸の蠕動運動を支配している腸管の神経細胞も、ドーパミン不足で機能しなくなることが分かっている。

対策としては、結局一般的な便秘対策とと同様な手法がとらえれる(つなわち、繊維質の豊富な食事、十分な水分摂取、適切な運動など)。

 

その他:

脂顔(oily face)は発汗障害の一つで、発汗分布が頸部より上に偏るために生じる。

流誕(いわゆる、ヨダレ)や嚥下障害をきたすことがあり、食事中の湿性嗄声や、食後に疲労、食事時間の延長、体重減少を認めるときは嚥下障害を疑い、対策を検討する必要があり、誤嚥性肺炎のリスクは高くなる。

 

 

睡眠障害

 

睡眠障害も、パーキンソン病患者によくみられる症状の一つである。

でもって、個人的に「睡眠障害」と聞くと「夜間眠れない状態」を想起しやすいが、実際は以下の様に様々なタイプがある。

 

  • 日中過眠(日中ウトウトする)
  • 突発性睡眠(突発的に眠ってすぐ目覚める)
  • 入眠障害(ベッドに入っても寝つかれない)
  • 中途覚醒(眠りが浅くて直ぐに目が覚める)
  • レストレス・レッグズ症候群(布団に入ると、足に異常知覚が生じてムズムズする)
  • レム期睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder)
    レム期睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder)とは:

    レム期に悪夢のなかで大声を出したり、手足をばたばたと動かしたりする異常行動を指す。

    ※個人的にも、訪問リハビリ先でご家族が「急に(寝たまま)大声を出したりするからびっくりする」とおっしゃっていたが、単なる寝言ではなく、パーキンソン病が関与しているのかもしれない。

 

 

精神症状

 

うつや、アパシー(無感情)、アンヘドニア(無快感)、不安感などの合併がある。

※幻覚や妄想を認めることがあり、幻視(人物や小動物などがみえる)の訴えが多い。

 

パーキンソン病の進行によって発症する場合と、薬剤の副作用として現れる場合があるので、主治医と相談し見極める必要がある。

 

幻視や妄想への対応としては、その人の発言を「否定しない」「関心をそらす」などが有効である。

※これによって症状が大幅に改善するという訳ではないが、とくに「否定してしまう」と症状が悪化する場合があったりする。

 

ちなみにパーキンソン病患者の約40%にうつ症状が合併するという文献もある。

ドーパミンの分泌は、『報酬系」によって人を行動に駆りたてるために重要な役割を担っている。「パーキンソン病に至る回路」と「報酬系の回路」は別物だが、同じドーパミンの分泌具合によって調整されているため、パーキンソン病では報酬系にも多少の作用(意欲減退作用)を起こしてしまう可能性もあるのではと考える。

 

この点に関しては以下の記事も合わせて観覧してみてほしい。

⇒『報酬系その④:報酬系を活用しよう

 

 

認知症

 

思考の緩慢さ、問題処理能力の低下など皮質下性認知症を認めることがある。

ただし、パーキンソン病が原因による認知症は、病期が進んだ末期にならないと起こらないといった傾向がある。

また、アルツハイマー病のような「強い記憶障害」ではなく、物事を考えることがまとまとまらなくなるといった症状が主となる。

 

また、抗パーキンソン病薬(主に抗コリン薬)の副作用によって起こることもある。

抗コリン薬が原因の場合、脳の神経伝達物質であるアセチルコリンが不足し、物忘れや計算が出来なくなるといったものだ。

医師に相談して、抗コリン薬を辞めると2週間ほどで症状は無くなる。

 

ただし、パーキンソン病を患った高齢者の場合、加齢による認知症(記憶障害)なども混じっているので、原因が複雑化してしまう。

 

したがって(薬剤が原因である場合を除いて)、認知症予防目的に以下などを十分に意識することがポイントとなる。

  • 積極的に外出する
  • 友人や親せきと会う(他者との交流を持つ)
  • 趣味の活動に専念する

・・・など。

 

認知症に興味がある方は以下の記事も参考にしてみてほしい。

⇒『ご家族も必見! 『認知症』を語る上で欠かせない基礎知識を総まとめ

 

 

疼痛

 

有痛性ジストニア(不随意運動)による疼痛、運動制限に伴う筋痛や関節痛、頚椎や腰椎の変形に伴う神経根痛や末梢神経障害によるもの、中枢性疼痛(薬が切れたウェアリング・オフのときに手足や下肢が痛む)、アカシジアに伴うものなどがある。

 

つまり、パーキンソン病患者が訴える痛みの原因は痛みは一つではないので、原因の見極めも大切となる(っとはいっても複数の原因が重複していることも多いが。。)。

 

 

その他

 

嗅覚異常が早期より認められる。

また、易疲労性があることも特徴の一つである。

※易疲労に関しては、同年齢と比較し、加齢だけでは説明のつかない疲労がよくみられる(リハビリ時には、意欲が無いなどと決めつけず、疲れ易いという特徴を持っていることも覚えておこう)。

 

 

色んな症状まとめ

 

以下はここまで解説したものを含めてザックリと一覧にしたものである。

※引用:近藤智善:パーキンソン病の臨床症状ー診断のポイント.内科93:631,2004

 

要素的徴候 症状
固縮 左右差あり、歯車様>鉛管様
振戦 左右差あり、安静時
無動 あらゆる運動回数現象、スピード低下
姿勢反射障害 屈曲姿勢、側彎、突進
自律神経症状 便秘>低血圧>起立性低血圧、脂漏性顔貌
精神症状 うつ傾向、思考緩徐

 

 

運動障害 症状
顔貌 無表情・脂漏性(手入れによる)
発話 小声、単調、抑揚がない
嚥下 流涎(嚥下回数現象)、嚥下物の梨状窩貯留
立位での姿勢 腰、肘、膝、手の屈曲
歩行 小股、すり足、歩調の促進現象・突進、上肢の振り低下
姿勢反射 突進現象
体位変換動作 寝返り、立ち上がりなど姿勢変換障害
反復運動 振幅の減少、リズムの促進(指タップ、手回内外など)
動作全般 動作回数の減少、動作のスピードの遅さ

 

 

関連記事(パーキンソン病まとめ記事)

 

⇒『パーキンソン病とは?症状・診断基準(評価)・進行(stage)・治療(薬・リハビリなど)徹底解説!