この記事では、リハビリ(理学療法・作業療法)にとって大切な「ICFにおける健康状態・生活機能」について記載していく。

 

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健康状態

 

健康状態』とは、ICDHでは「疾病」とされていたものである。

 

しかし、「障害(生活機能に問題が生じた状態=生活機能低下)を起こす原因は、「疾患(つまり病気や怪我など)」だけでなく、妊娠・高齢・ストレス状態など、疾患以外の「障害を起こしうる健康上の問題」をも含むように拡大されている。

 

これは、健康に影響する因子の捉え方としての大きな変化と言える。

 

「第1回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会」では、大川氏は「生活機能と疾病」の違いについて以下のようにまとめている。

 

 

生活機能

疾病

基本的視点

どう生きるか

⇒社会の中で生きている個人

病気や症状がないか

⇒生き物としての人間

あつかう問題の複雑さ

多種多様

比較的均一

良くし方

目標とする望ましい状態は個別的・個性的なもの

(個人作・個別性が大きい)

異常を正常に治していく

(疾病レベルの正常状態は個人差が少ない)

予防・改善・向上の考え方

生活機能低下の因果関係と、予防・向上のキーポイントとは別のことが多い。

全体像の把握に立ってキーポイントをおさえる。

原因・病態生理・症候の異常を正常化

マイナスへの対し方

プラスを増やすことが大事

(マイナスを減らせばプラスになるとは限らない)

マイナスを減らすか他人の助けで補う

気づき方

本人自身でマイナス面に気づきやすい

(しかし専門家に相談できる内容との認識は少ない)

本人自身で気付くとは限らない(症状出現前に検診で発見出来ることもある)

本人の役割

本人・家族が主体で、その積極的関与が必要。

ICFモデルに立って自己決定権を発揮

尖音化は支援者

専門家中心

本人は良く理解して同意することが主選択の余地はあるが、大きくない。

 

※上記表に関して、ICDHにおける「疾病」はICFの「健康状態」に置き換えられたため、本来ならば「健康状態と疾病の違い」としての対比が望ましいと思われる。ただ、「この表で何が言いたいのか」は十分伝わるので、この記事に採用した。

 

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生活機能

 

「生活機能」(Functioning)とは人が「生きる」ことの3つのレベルである「心身機能・構造」、「活動」、「参加」を一つにまとめた包括概念のことである。

 

上記の3つのレベルは、「生物レベル・個人レベル・生活レベル」であったり、「生命レベル・生活レベル・人生レベル」であったりと表現されることもある。

 

「生活機能へアプローチする」と表現される場合には、必ずこれら3つの要素の包括的概念へアプローチすると捉えなければならない。

 

※生活機能に問題が生じた状態を「障害」と呼ぶ。

 

 

ICFの関連ページ

 

リハビリ(理学療法・作業療法)を考える上で、ICF(生活機能分類)による「人間を包括的に捉える視点」は重要になってくる。

 

そんなICFの基礎に言及した記事が以下になる。

 

ICF(国際機能分類)って何だ?

 

 

また、以下のリンク先には、ICFに関連した記事リストがまとめられているので、興味があればこちらも参考にしていただき、問題解決に役立てていただければと思う。

 

理学・作業療法士が知っておくべきICFのまとめ一覧