この記事では『報酬』について解説していく。
報酬とは
報酬に関して、広辞苑では下記のように説明されている。
しかし、神経科学では下記のように、広範囲に解釈している。
~カンデル神経科学~
つまり金銭や物品以外であっても、人に褒められたり、頼られたり、尊敬されたりといった要素も報酬に含まれる。
報酬の種類
報酬は、以下の3つに分類できる。
- 生理的報酬
- 金銭的・物的報酬
- 社会的報酬
でもって、いずれの報酬であったとしても、ドーパミンが放出されて報酬系が活性化することが分かっている。
そして私たちは、これらの報酬を受け取ることをモチベーションとして、力強く行動することができるのである。
ここから先は、前述した「3種類の報酬」に関して深堀解説していく。
①生理的報酬
生理的報酬とは以下の通り。
例えば、断食や不眠を強要させるなどの拷問をした上で、これら生理的報酬を満たすことを条件に自白を迫ると、相手は「口を割る」という行動に出やすい。
彼女とのデートなども生理的報酬に該当する。
②金銭的・物理的報酬
金銭的・物的報酬は以下の通り。
物質としては些細なプレゼントや、高級車・ブランドバックなど高価なものまで様々が含まれる。
ただし、食べ物などは、時と場合によっては生理的欲求に該当する場合もあるのでグレーゾーンである。
③社会的報酬
社会的報酬は以下の通り。
仕事でどんなに頑張っても、それに見合う金銭的報酬が必ずしも得られるわけではない。
しかし、私たちは得られる金銭的報酬とは別の動機で、仕事に励むことが出来る。
そして、この場合の「金銭的報酬以外の報酬」には社会的報酬が含まれる。
社会的報酬には、他者に認められる・尊敬されるなどが該当し、リハビリを提供した際にクライアントから得られる「感謝」や「笑顔」も社会的報酬と言え、「よし!仕事頑張ろう」という行動への動機づけになり得る。
報酬を得るためにドーパミンが分泌し、これらの過程が私たちを行動に突き動かすとするならば、「これらの報酬が得られやすい環境」というのは、成長する上で適した環境と言えなくはない。
相手の欲求に合わなければ報酬になり得ない
3種類の報酬は下記のようにマズローの欲求階層説に当てはめることができる。
- 生理的報酬→「生理的欲求」
- 金銭的報酬→「安全の欲求」
- 社会的報酬→「所属と愛の欲求」と「(他者からの)承認欲求」
すなわち、相手の現在の階層欲求に応じた報酬が与えられれば、それが動機付けとなり、行動に移せるということになる。
例えば、
お腹が空いている人であれば、食べ物が報酬に(生理的報酬)。
家族に頑張りを認めてもらいたいと思っている人であれば、認めてあげることが(承認欲求)報酬になり得る。
逆に、相手の欲求階層に合致していなければ、報酬として十分な機能を果たさないことがある。
例えば、お腹が空いていない人には、食べ物は報酬になり得ず、
家族から既に賞賛を受けている人には、家族の更なる賞賛は、報酬としては弱いかもしれない。
関連記事⇒『マズローの欲求階層説 あなたの欲している欲求はどれだ!?』
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この記事における「社会的報酬」を深堀した記事は以下になる。
合わせて観覧すると、『報酬』に関する理解が深まると思う。