この記事は、ダニングクルーガー効果について解説している。

 

ダニング・クルーガー効果とは

 

ダニング・クルーガー効果は、心理学者のダニングとクルーガの2人で提唱したもので、以下を指す。

 

「能力の低い人が、自らの発言や行動を実際よりも高い評価を下してしまう(優劣の錯覚)」という認知バイアス

 

ダニングクルーガー効果は「能力の低い人ほど、自分が出来る人間だと思ってしまうバイアス」ということが分かる。

 

『能力が高い人』も「優劣の錯覚(自身を過小評価してしまう)」に陥ることがあるが、ダニングクルーガー効果は『能力が低い人』の優劣の錯覚にフォーカスしたバイアスを指す。

 

メタ認知

 

もちろん、能力が低い人ことだけがダニングクルーガー効果を引き起こすわけではなく、以下も要因の一つだと言われている。

 

メタ認知能力の低さ

 

メタ認知とは「認知を認知する」という言いで、もう一人の自分であったり客観的な自己と言われていたりする。

 

メタ認知能力とは:

第三者目線で自分自身の状態を判断する能力のこと。メタ認知により、自分の考えの矛盾に気づくことも出来る。

 

例えば自分が起こったりイライラしているときに「自分が今怒っているな、なんで怒っているのだろう?なんでイライラしているのだろう?」という感じで自分の感情・行動・思考などを俯瞰的に観察できる能力がメタ認知だ。

 

実験から分かったこと

 

様々なテストを行った結果、能力の低い人ほど自分の点数を高く見積もる傾向にあった。

 

ある実験結果によると、能力の低い人間は以下のような特徴があることが分かった。

  • 自身の能力が不足していることを認識できない
  • 自身の能力の不十分さの程度を認識できない
  • 他者の能力を正確に推定できない

 

株式投資でもそうで、初心者の人であまり勉強しないで株式投資して勝ってしまうと調子に乗ってしまう可能性がある。

そして、必勝法を見つけたとか専業になってしまっても良いなどと思ってしまう傾向にある。

 

無知の知

 

ダニングクルーガー効果を示唆する名言は、世界中に存在し、例えば以下などがある。

 

世界が抱える問題は「愚かなものが自身に満ち溢れていて、賢いものが疑念を抱いていること」だ。

by バートランド・ラッセル(イギリスの哲学者)

 

そして、最も有名なのはソクラテスの「知らないことを自覚する」という趣旨の逸話を端的に表現した『無知の知(不知の知)』だろう。

 

「もう全部分かった」というのは「何もわかっていない」のと同じ

 

プラトンの著書『ソクラテスの弁明』にその記述があります。知らないことへの自覚が語られる箇所を紹介します。

 

彼と対談中に私は、なるほどこの人は多くの人々には賢者と見え、なかんずく彼自身はそう思い込んでいるが、しかしその実彼はそうではないという印象を受けた。

それから私は、彼は自ら賢者だと信じているけれどもその実そうではないということを、彼に説明しようと努めた。

その結果私は彼並びに同席者の多数から憎悪を受けることとなったのである。

しかし私自身はそこを立ち去りながら独りこう考えた。

とにかく俺の方があの男より賢明である、なぜかといえば、私たちは二人とも、全についても美についても何も知っていまいと思われるが、しかし彼は何も知らないのに何かを知っていると信じており、これに反して私は、何も知りもしないが、知っているとも思っていないからである。

されば私は、少なくとも自ら知らぬことを知っているとは思っていないかぎりにおいて、あの男よりも知慧の上では少しばかり優っているらしく思われる。

 

『ソクラテスの弁明』は訳本がたくさん出ていますが、下記の本がおススメだ。

 

 

 

また、以下はメチャクチャ分かりやすく本を要約してくれているので、興味がある方は、是非聞いてみてほしい。

 

 

 

結局、知らないことを知っていると考えるよりも、知らないことを知らないと考えている方が優れているという考え。

 

自分の知っている限りのことを知っているだけで、まだまだ知らないことがあるわけで、知らないことを知らない故に、全てのことを知っていると思い込んでしまっている。

 

知らないことを知らないだけ。

 

無知であることを自覚(メタ認知)することで、新たな学びを行うことを促進し、その結果無知を克服し成長できる。

 

 

本物の勉強を始めると、誰もが体験する感覚があります。

それが「勉強すれば勉強するほど無知になっていく」という感覚です。

一般的には勉強をすれば頭がよくなっていく感触を掴めますが、それを続けていくと逆に無知になっていくように思えるのです。

自分の無知を恥じながら勉強するようになったら、それは本物の勉強をしているということです。

勉強を始めた頃は、頭の中に「知っていること」と「知らないこと」しかないので、「知らないこと」が「知っていること」に変化すると、頭がよくなっているように思えます。

ところが勉強を突きつめていくと「知らないことすら知らない」ことが山ほどあることに気づくのです。「知らないことすら知らない」というのは、自分が知らないということを、自分自身がまだ気づいていない領域です。

勉強をすると「知らないことすら知らない」ことが、「知らないこと」に転換されます。すると頭の中で「知っていること」の比率が低下しますから、「勉強するほど無知になる」という現象が起きるのです。

それは良い傾向ですので、無知が増大していくような勉強が理想の勉強だと心得、さらに邁進すると良いでしょう。

日本人が一生使える勉強法 (PHP新書)竹田 恒泰より~

 

 

ダニエルクルーガー効果の対策方法

 

ダニングとクルーガーは、認知バイアス是正のため以下の「対策方法」も提唱している。

 

メタ認知を鍛えるためにも、ぜひ活用してみてほしい。

 

常に学ぶ姿勢を持つ

文字通りの意味。

 

最初が肝心

きちんと勉強してから始める。

これは知識を深める意味合いがあるが、無知を知るという意味合いが強く、これによ投資で勝ってもビギナーズラックな可能性を考えることが出来る。

 

急がない

衝動的に下した決断には注意が必要。

結論を急ぐ人の方が自信過剰になりやすい。

自身の下した決断は誤っていないか、本当に合っているのかを疑ってかかるのが良い。

 

自信を持つべきタイミングを知る

自信は大切で、時には根拠のない自信が重要となる場面もある(臆病になり行動を全く起こせないのも問題だ)。

しかし、その自信を持つためには、それまでの膨大な経験・知識などの下地を持っているが故の自信であるべき。

 

【注意】無謀な行動も否定すべきことではない

無謀な挑戦であっても「メタ認知が出来ている」のであれば、決して否定すべきものでは無い。むしろ、どんどんと「戦略的に無謀な挑戦を繰り返すこと」が結果を生むことは非常に多い。

 

 

理学療法士・作業療法士に当てはめても面白いかも

 

いかがだっただろうか?

 

ぜひ、株式投資をする際には「ダニエルクルーガー効果」も頭の片隅に入れて、メタ認知の訓練をしてみてほしい。

 

この考えを理学療法士・作業療法士に当てはめてみても面白いかもしれない。

 

ダニエルクルーガー効果に陥っているセラピストはいないか?

 

そんな目線で探してみるのも、面白いかもしれない。

 

 

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⇒『認知バイアスの種類