この記事では、神経ダイナミックテストの一つであり、神経系モビライゼーションにも応用される「ULNT1」について記載していく。

 

ULNT1とは

 

ULNT1とは、「腕神経叢緊張テスト」あるいは「Elvey’s test」とも呼ばれる正中神経に対するテストである。

 

※ちなみに正中神経はC5~T1で構成されている。

 

ULNT1の適応は、頸~上肢の症状(神経要素が疑われるとき、あるいは神経要素を除外しようとするとき)である。

 

 

ULNT1の手順

 

ULNT1の手順(テスト側が右と仮定して記載)

 

  1. 開始肢位

    患者は背臥位で脊柱を中間位にして、右肩が治療台の端にくるようにする。(後に肩甲帯を下制しなければならなので、肩がベッドから少し出るようにする)。

     

    枕は通常用いない。用いる必要のある時は、再評価時も同じ枕を用いるなどで、頭頸部のアライメントを統一させる。

     

    PTはベッド側を向き、自身の左大腿の内側が患者の右肩に位置するように立つ。

     

  2. 右肩甲帯の下制

    PTの左大腿で患者の右肩甲帯を注意深く下制(+/-前方突出・後退)する。→痛くないか聞く

     

    ※これは神経・筋の緩みを取るのが目的なため、伸張させるほどの力は加えなくて良い。

     

    下制させた状態が少しでも戻ってしまうと以降の評価に影響を及ぼすため、以降の評価時も常にPTの左大腿を肩甲骨下制方向に固定するよう押し当てておく。

     

  3. 肩関節110°外転

    (肘関節90°くらい屈曲位な状態で)肩関節を内外旋中間位のまま110°まで外転させる。

    ⇒痛くないか聞く。

     

  4. 肩関節外旋

    右肩甲骨下制・肩関節110°外展位のまま、肩関節を外旋回させる。

    →痛くないか聞く

     

  5. 肘伸展

    肘を伸展させる。

    →痛くないか聞く

     

  6. 前腕回外・手関節伸展

    前腕外旋回位(痛くないか聞く)→手関節背屈(痛くないか聞く)→手指伸展(痛くないか聞く)

    ※一つ一つのコンパーメンと毎に必ず反応(感覚・可動域)を確認する

     

  7. 対象者の頚部を最初に右(テスト側)へ側屈し、次に左へ側屈する

    もし疼痛が出現した場合、頚部を同側に側屈して疼痛が緩和されるかor頚部を反対側へ側屈して疼痛が増強させるかを評価することで、筋原性か神経原性かを評価することができる。

    必ず一つ一つ実施するごとに疼痛の有無を確認し、疼痛が出現したらそれ以上遠位の評価は行わないこと。

     

     

    ※動画では先に左側屈(疼痛増強動作)をしてから右側屈(疼痛緩和動作)を実施している。

     

  8. 組織鑑別

    ・近位症状:手関節伸展の解放

    ・遠位症状:頸部の対側側屈

 

 

ULNT1の正常反応

 

  • 肘窩深部の伸張感あるいは痛みと、前腕前部と橈側への放散(対象者の99%)および手橈側への放散(80%)。

 

  • 母指から中指までの限局したうずき感(tingling sensation)

 

  • 対象者のうち数%に肩前面部の伸長感

 

  • 検査側と反対側への頸部の側屈により、正常人の約90%で反応が増強。

 

  • 検査側と同側への頚部の側屈により、正常人の約70%で検査の反応が減少。
    正常な対象者100人の検査結果では、肘関節伸展制限は16.5~53.2°だったという報告がある。

 

 

ULNT1の備考

 

正中神経のほか橈骨神経・尺骨神経、腕神経叢、脊髄神経、頸椎神経根が動くが、主として正中神経に作用するため、正中神経領域の症状が誘発される(Kenneallyら1988)。

 

 

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