ラットの末梢神経障害は人の神経障害と同様の疼痛感覚障害を生じる。
麻酔下でラットの坐骨神経に4本の腸糸を緩く縛る手術を施行後、坐骨神経の支配領域である後肢に痛覚過敏、アロディニア、自発痛(もしくは知覚鈍麻)が生じた。
※腸糸は神経に直接触れる程度で、神経を圧迫もしくは結紮するものではない。この腸糸は時間経過に伴い、水分を吸収することで徐々に神経を絞め付けると考えられている。
刺激に対する痛覚過敏は、手術2日後から2か月続いた。
アロディニアは非侵害刺激に対する反応や、後肢を挙上した警戒的な姿勢から観察された。
自発痛は自発的な侵害防御反応の頻度や欲求行動の低下から示唆された。また、このモデルラットの1/3で皮膚の異常冷汗もしくは温感を認めた。
※この報告から、この術式は慢性痛、特に神経因性疼痛のモデル作成法として定着し、CCI(Chronic Constriction Injury)モデルあるいはBennettモデルと呼ばれており、
また、このモデル報告の後、坐骨神経になるL4-6のうちL4,5を結紮するモデルや、坐骨神経の半周結紮モデルなどが提唱されている。
Bennett GJ and Xie YK:A peripheral mononeuropaty in rat that produces disorders of pain sensation like those in man.Pain 33:87-107,1988
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