この記事では『足部・足関節』へフォーカスして、特徴を解説した記事になる。
「足関節」と「足部」について
「足関節」と「足部」は、以下の様な解剖学的特徴を有している。
足関節について
足関節は、脛距関節、腓距関節および遠位脛腓関節の3関節から構成され、内外の側副靭帯、関節包および骨間靭帯によって支えられる。
※足関節は距腿関節と呼ばれることもある。
足関節の運動軸は腓骨の下端と脛骨の下端を結ぶ線を通り、運動方向は背屈と底屈である。
※足関節の可動域は背屈20°・底屈50°である。
足部について
足部は26個の骨から成り立っているが、指節の運動を除外すると、実際上の関節運動は距骨下関節(距踵関節)とショパール関節、リスフラン関節の3関節で行われる。
さらに機能的には、距骨下関節とショパール関節が同時に運動し、距骨のまわりを残りの足部が回転する運動(足部の内がえしinversionと外がえしeversion)がある。
①実際上の動きのあるのは距骨下関節とショパール関節、リスフラン関節である。
②距骨下関節とショパール関節は1つの関節のように動くことが多い
関連記事⇒『“ショパール関節”・“リスフラン関節”って何だ?解説するよ』
距骨下関節の運動軸は、水平面から上方に42°傾斜し、足の長軸から16°内方に向いている。
※ただし、この軸(距骨下関節の軸)に関しては諸説あり(後述するイラストでは足長軸から23°内方に向いている)。
ショパール関節では回内、回外、内転、外転、リスフラン関節ではわずかな底背屈の可動域がある。
足のアーチについて
足部は、縦アーチと横アーチを構成しているといわれるが、むしろ「伏せたお碗を半分に切った構造」をしていると考えたほうが理解しやすい。
お碗の頂点が距骨であり、切った面が縦アーチに相当し、頂点から外側への湾曲が横アーチに相当する。足根間関節はお碗に生じたひび割れとも考えることができる。
このひび割れのためにお碗の形が崩れるのを防ぎ、アーチを支えているのが、靱帯と筋、筋膜である。ひび割れとそれを支える筋などがあることによって、足のお碗は状況に応じてその形を変えることができ、荷重時に局所に圧の集中することを防ぎ、アーチに弾性をもたせている。
足関節および足根間関節は強固な靱帯で結合されている。
足底筋膜は踵骨からでて、足趾基節骨に付着しているので、足指が背屈されると緊張し、縦アーチ全体を高める作用をする。この作用は『巻きあげ機作用』とよばれる。
※画像左が「巻き上げ現象」、画像左は「巻き上げ現象」を模型化したもの。
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⇒『巻き上げ現象(Windlass mechanism)って何だ?』
足アーチの支持機構は複雑ではあるが、根本的には膝関節などの人体の他の関節と変わりはなく、まず骨の関節面の形状が運動の方向を決め、靭帯がさらに運動の方向と範囲を制限するが、実際の能動的な運動を行い、肢位を決めるのは筋の作用である。
歩行と足関節・足部の運動
実際の歩行での足関節と足部の動きは、たとえ平地の直進の場合でもかなり複雑であり、たんに足関節の底背屈と足指の屈伸のみで歩いているのではない。
※図は「踏み返しの機能軸」を示している。
※「踏み返しの機能軸」は進行方向に垂直ではなく、約60°外側を向いている。
ぴったりした足底接地、前方への無駄のない踏み返しをするために、足関節と足趾関節以外にも、距骨下関節、ショパール関節、リスフラン関節などが関連しながら動いており、さらに下腿長軸の回旋すら行われている。
また、これらの動きをコントロールする足の諸筋(extrinsic foot muscleとintrinsic foot muscle)の活動も行われている。
この間の縦アーチの高さは踵接地から足底接地までは低く、その後は高くなる。
各運動に関与する筋を分かりやすく解説
最後に、足長軸・距踵関節軸・距腿関節軸を基準にした各運動に関与する筋を分かりやすくイラストで紹介して終わりにする。
以下のイラストで、何となく各運動や筋について整理してみてほしい。
背屈筋:
前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋・第三腓骨筋
底屈筋:
下腿三頭筋・後脛骨筋・長趾屈筋・長母指屈筋・長短腓骨筋・
回外筋:
前脛骨筋・後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋・(下腿三頭筋)
回内筋:
長母趾伸筋・長趾伸筋・第三腓骨筋・長短腓骨筋
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⇒『“ショパール関節”・“リスフラン関節”って何だ?解説するよ』