たちは今この瞬間を生きているようでいて、実は、頭のなかでは過去や未来のことを考えていることが多いといわれている。
例えば、ふと過去の失敗を思い出し、「自分は社会人失格だ」と落ち込んだり、「昨日は言いすぎたかな」と悩み始めたりしたことはないだろうか?
あるいは、未来のことについて、「うまくいかなかったらどうしよう」などと考え始めたりもする。
でもって時として、それらは頭のなかで大きくなり、やがてその考えにのみ込まれていってしまいまうことがある。
特に、過去の後悔や失敗、未来への不安といった負の感情については、いつまでも頭のなかでグルグルと考え続けてしまい、なかなかやめることができない。
これも、多くの人が経験したことがあるのではないだろうか?
しかし、このように頭のなかで繰り返されるものは主観的な「妄想」にすぎない。
にもかかわらず、この「妄想」が私たちのストレスを大きくしたり、増やしている可能性があったりする。
マインドフルネス瞑想法とは?
マインドフルネス瞑想法は、ネガティブ感情を鎮静化させることでその反芻(はんすう)を抑え、悪循環から抜け出す際に有効とされる呼吸法である。
※「マインドフルネス呼吸法」や、単に「マインドフルネス」と呼ばれることもある。
呼吸法には様々な方法が開発されており、場所を選ばず簡便に出来る手段として、古代の時代から呼吸を使った精神を穏やかにする技法は重宝されてきたと言われている。
呼吸法には初心者向けの簡単なものから上級者向けの複雑なものまで様々存在するが、マインドフルネス呼吸法は初心者向けの呼吸法に該当し、仕事などで生じたストレスやネガティブ感情を低減する効果も実証されているメソッドである。
また、日常において不安やイライラを感じた時や、ネガティブな感情の悪循環に入り始めた瞬間でも活用できる。
特に、ネガティブ感情の悪循環にお散りる前にマインドフルネス呼吸法を活用すると、負の無限ループから楽に抜け出すことが可能になると言われている。
マインドフルネス呼吸法のやり方
マインドフルネス呼吸法のやり方は以下の通り。
- 背筋(せすじ)を伸ばして、椅子に座る。背筋以外の体の力は抜く。手は太ももに置くか、お腹の前で軽く重ねる。
- 目を軽く閉じる。または半分開けて、斜め下を見ていても良い。
- 自然に呼吸をつづける。お腹や胸が膨らんだり縮んだりするのを感じながら、心の中で「膨らみ、膨らみ・・・」「縮み、縮み・・・」と実況する。
呼吸について細かく言及しているものもあるが、あまり執着しなくともよい。
呼吸は自然に体がしたいようにさせるのがポイントだ。
※呼吸に執着することで、自分が心地よく感じれなくなったりする。
※同様に、呼吸のリズムも一定でなくとも良い。
マインドフルネス実施時の、その他の補足
雑念について:
マインドフルネスは、雑念(過去や未来についてあれこれ考えてしまうなど)を払拭できていることが理想である。
しかし、最初はどうしても雑念が出てくるし、それは自然なことだと考えよう。
※雑念が出てきたことにただ気づくことが大切で、「あ、雑念が出てきたな」を気づいたの後に、再び呼吸に意識を戻していけばOK
1日の頻度は:
上級者では一度にかなりの時間をマインドフルネスに費やす人がいるようである。
ただ、初心者が急にそこを目指すと挫折する。
なので、まずは毎日10分程度を目安に行い、慣れてきたら徐々に増やしていこう。
1日(1回)の時間よりも、毎日継続する方が初心者には大切となる。
マインドフルネスの意義
マインドフルネスな状態を目指す妄想によって起こる、「心ここにあらず」の状態を『マインドワンダリング』と呼ぶ。
※マインドワンダリングに費やされている時間は、生活時間の約半分を占めているともいわれている。
一方で私たちは、グルグルと考え続けているときに、ハツとわれに返ることがある。
この瞬間、妄想から抜け出して現実に戻ることができ、自分が妄想にのみ込まれていたことに気付くのだ。
でもって、この「気付き.目覚めの状態」を『マインドフルネス』と呼ぶ。
過去や未来への妄想がつくり出すストレスを軽減するには、「心ここにあらずの状態から抜け出し、〃今″この瞬間の現実に戻ること」が大切なのだ。
マインドフルネス瞑想は「今に心を向ける」という意味がある
マインドフルネス瞑想には、以下の2つの方法が含まれる。
- 集中する瞑想
- 気を配る瞑想
集中する瞑想:
集中する瞑想の一つである呼吸の瞑想は、マインドフルネス瞑想の基本で、呼吸をしているときの体の感覚に意識を集中させる。
気を配る瞑想:
気を配る瞑想としては、音に耳を澄ます瞑想がある。
様々な音を含む周囲の音のなかから、順番に、一つの音に意識を集中したり、その対象を切り替えていったり、すべての音に同時に意識を向けたりするものだ。
多くの場合、集中する瞑想から気を配る瞑想へと練習を進めていく。
マインドフルネス瞑想を行うと、体の感覚や感情に関係している島と呼ばれる脳の部位の働きが高まるとされている。
ただし、効果を求めると、焦ってしまい、「ありのままを受け止める」という状態から遠のいてしまう。
なので、効果を求めないよう心がけ「今の自分の体験に気付く練習」と思って行うことが大切だ。
最初は期待したほどの効果が出ないと感じるかもしれないが、これから変化する自分を楽しみにしながら、淡々と継続していこう。
散歩に出かけて瞑想するのもお勧だ。
音に耳を澄ます瞑想は、屋内だけでなく、屋外でもできる。
つまり、(前述したように椅子に腰かけた状態で実施するだけでなく)散歩に出かけ、時折、公園のベンチに座りながら、聞こえてくる音に意識を向けたり、切り替えたり、同時に聞くようにしてみるのも良い。
重要なのは「(過去・未来ではなく)今ここ」に目が向けれていることだ。