この記事では、『ヒュー・ジョーンズ(Hugh-Jones)分類』と『MRCの息切れ指標(mMRC:modified British Medical Research Council)』について解説している。

 

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息切れに対する「直接的評価法」と「間接的評価法」

 

息切れ(呼吸困難感)の分類には、日常生活における息切れの状態を問診で行う『間接接的評価法』と、患者自身が息切れの度合いを直接示す『直接的評価法』がある。

そして、各評価法として以下が活用される。

 

直接的評価法

  • 修正ボルグスケール(労作時の息切れを測定する際用いる)

※このスケールの詳細は以下を参照。

 

間接的評価法

  • ヒュー・ジョーンズ(Hugh-Jones)分類
  • 英国医学研究協議会(MRC)の「息切れ指標

 

ここから先は、間接的評価法である『ヒュージョーンズの分類』と『MRCの息切れ指標』について記載していく。

 

ヒュー・ジョーンズ(Hugh-Jones)分類

 

『ヒュー・ジョーンズ(Hugh-Jones)分類』は、主に日本で用いられており、呼吸器疾患患者の運動機能と呼吸困難の程度から重症度を評価する。

 

Ⅰ度(正常) 同年齢の健常者と同様に歩行・階段昇降が出来る。
Ⅱ度(軽度息切れ) 平地では同年齢の健常者と同様に歩行できるが、坂や階段は健常者同様には昇れない。
Ⅲ度(中等度息切れ) 平地でさえ健常者並みには歩けないが、自分のペースでならば1.6km以上歩ける。
Ⅳ度(高度息切れ) 休み休みでなければ45m以上は歩けない。
Ⅴ度(最高度息切れ)

話をしたり、衣服を脱いだり、身のまわりのことをするにも息切れがする。

 

 

MRCの息切れ指標

 

『MRCの息切れ指標(mMRC:modified British Medical Research Council)』は、世界的に用いられている呼吸困難感を客観的に表す質問票である。

 

Grade0 息切れを感じない。
Grade1 強い労作で息切れを感じる。
Grade2 平地を急ぎ足で移動する。または穏やかな坂を歩いて上るとき、息切れを感じる。
Grade3 平地歩行でも同年齢の人より歩くのが遅い。または自分のペースで平地歩行をしていても息継ぎのため休む。
Grade4 約100ヤード(91.4m)歩行したあと、息継ぎのため休む。または数分間歩行したあと息継ぎのため休む。
Grade5 息切れがひどく外出できない。または衣装の着脱でも息切れがする。

 

COPDでは呼吸困難感のために様々な行動が制限されることが多く、息切れの評価は重要である。

そして、日本ではヒュージョーンズの分類が用いられていることも多いが、国際的にはMRCの息切れ指標を用いるのが標準である。

 

関連記事

 

以下の記事では、呼吸困難の直接的評価である「ボルグスケール」について解説している。

⇒『主観的運動強度(ボルグスケール+修正ボルグスケール)の表+違い