この記事では『腎臓(kidney)』に関して、役割などをザックリと解説している。
腎臓とは??
腎臓は血液の「ろ過装置」であり、不要な水分と成分を尿にして排泄する機能を有している。
腎臓は尿を作って排泄することで、からだの約6割といわれる体液の量や質を一定に保っていく。
※例えば、心臓から送られてくる血液に含まれている余分な老廃物や塩分をとり去ったりする。
腎臓という「ろ過装置」できれいになった血液は、腎静脈から大静脈を通り心臓に戻る。
また、腎臓は血圧を調整するはたらきもあったりする。
腎臓の構造
腎臓は脊柱の左右に一つずつ存在し、肋骨に隠れるような場所にある。
長さが約12cm・幅は約6cm・厚さが約3.5cmの「そらまめのような形」をした臓器である。
腎臓の入り口には血管や尿管が出入りし、外側は丈夫な被膜におおわれています。
腎臓に流れ込んでいる腎動脈からは「心臓が送り出す全血液の量の約四分の一」が常に送り込まれている。
尿は皮質と髄質で作られ、乳頭や腎杯を経て、腎孟に集まり、尿管を通って膀胱へ運ばれる。
ネフロンは腎臓一つに100万個
腎臓には糸球体という毛細血管の束があり、この糸球体はボーマン嚢という尿細管に囲まれている。
でもって、糸球体とボーマン嚢が1組になったものを『腎小体』と呼び、腎小体と1本の尿細管からなるのが『ネフロン』という単位である。
ネフロンのはたらきは、以下の通り。
『腎臓に送り込まれた血液をろ過して尿を作ること』
ネフロンは腎臓の左右合わせて約200万個あります(約200個じゃないよ)。
ちなみに、通常働いているネフロンは、そのうちの6~10%にすぎないといわれている。
だから、例えば腎炎などの病気になって、ネフロンの機能が失われても、残りのネフロンで補えたりもできるらしい。
ここまでの解説を動画で理解
動画の方がイメージしやすい部分も多いと思うので、ここまでの解説についてもっとイメージを膨らませたい方は以下の動画も参考にしてみてほしい。
もっと噛み砕いた動画は以下になる(関西弁で解説してくれる)。
塩分を取りすぎるとなぜむくむのか?
むくみというのは、体液が血管の外にしみ出て、血管と細胞の間の間質という部分にた
まってしまうために起こる。
塩分をとりすぎると、私たちは水分を飲みたくなる(口渇感が減少する高齢者は除く)。
水分をたくさんとると、血管の中に吸収され、血液の量が増える。
前述したように腎臓には大量の血液が流れ込むが、塩分の処理能力が1日に9g程度しかない腎臓は、大量の血液と塩分のろ過が追いつかなくなってしまう。
そうなると、以下の様な機序でむくみが起こってしまう。
- 尿の量は減り、余分な塩分や水分は行き場を失ってしまう。
↓
- 余分な水分は血管からしみ出してきて、細胞と血管の間の間質に溜まる。
↓
- むくみとなって表れる。
一般的には、腎臓が健康であれば、多少多めに塩分をとっても、むくんだりはしないと言われている。
従って、むくみが出るということは、すでに腎臓が弱ってきてい可能性を示唆する徴候になり得る。
※しかし、むくみの原因は腎臓の機能障害だけによって起こるわけでは点は誤解しないでいただきたい。
尿量が多い原因の分類
健康な成人であれば、多少個人差はあるが、4~6時間に1回程度の排尿で、1日
に5~8回くらいトイレに行くというのが平均的な回数だと言われている。
でもって、1日に10回以上トイレへ行くとなると、何らかの問題が潜んでいる可能性も考えておいたほうが良い。
※もちろん多飲が原因の多尿なら特に問題はないのだが。。。
ここでは以下の2つに分けて原因を考えていく(これらの原因はあくまで一例)
- 1回の尿量は少ないのに、頻回にトイレへ行きたくなる:
1回の尿量は少ないのに、頻回にトイレへ行きたくなる場合(頻尿)、膀胱や前立腺、尿道などに炎症や結石・腫瘍などの泌尿器系の病気が原因として一番多く考えられる。
その他、心因性の頻尿もあり、これは夜眠っているときにはトイレに起きないことが一つの判断基準となる。
あるいは、脳出血などの中枢性疾患でも頻尿が起こることがある。
- 1回の尿量が多く、尚且つ頻回にトイレへ行きたくなる:
1の尿量が多い場合には、糖尿病や崩尿症、腎臓疾患などの病気が考えられる。
ただし、上記以外にも原因不明なものも多く、例えば骨盤底筋の機能障害によって頻尿がおこったりすることもある(でもって、骨盤底筋トレーニングによって改善することもある)。
これらに関しては以下の記事も合わせて観覧することで理解が深まるかもしれない。
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尿の色によって健康状態が分かる
健康な人の尿の色は透明で、淡い黄褐色をしている。
でもって、水分を多量にとると、尿の色はさらに薄くなり、逆に、汗がたくさん出たりする一方で、水分が不足すると尿の色が濃くなる。
そして、からだに何らかの異常が生じると、尿の色に出ることがある。
そんな「尿の色の変化」によって、以下のような病気や異常が疑われるので、注意して観察してみてほしい。
- 尿の色がほとんどない:
(前述して様に)尿の量が多いと色が薄くなる。
水分のとりすぎ、あるいは尿崩症などの病気が考えられる。
- 尿の色が暗褐色:
ウロビリノーゲンが多く含まれており、肝臓の疾患や熱性疾患が考えられる。
- 尿が赤い:
血液が混じっているため尿が赤くなる。
結石や腫瘍・腎臓疾患などが考えられる。
- 尿が乳白色に濁る:
白血球が多量に出てきたり、膿が混じっているために濁る。
尿路の疾患や腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などが考えられる。
腎臓の代わりに血液をろ過する人工透析
腎臓は体内の血液のろ過装置だと何度も前述した。
でもって腎炎などで腎臓の機能が落ちてしまい腎臓がほとんどたらかなくなてしまうと血液をろ過できなくなる。
つまり、からだの中に尿から排泄すべき老廃物がたまっていき、ついには尿毒症となって命にかかわたりする訳だ。
そうなると、「腎臓以外で血液をろ過する必要性」が出てくる訳で、それを可能とするのが「人工透析装置」である。
重複するが、人工透析装置とは、腎臓の血液ろ過の肩代わりをする装置、いわば人工腎臓です。
ただし、人工腎臓といってもお腹の中に機械を埋め込むわけではない。
現在もっとも一般的に行われているのは、血液透析といって、患者さんの腕から血液を取出し、それを透析用の機械を通してろ過し、余分な水分を取り除いて血液をまた体内に戻す方法だ。
透析装置のある病院に週数回通って、1回に数時間かけて透析を行う。
また、他のCAPD(腹膜透析)といって、お腹の中に滅菌透析液を入れ、腹膜を通して余分な老廃物や水分を取り除く方法も行われていたりする。
この方法であれば病院に行ずとも、自宅や会社などで自分でできるというメリットがありそうではあるが、1日に4回ほど自分でお腹の滅菌透析液を交換する必要があるといった点がデメリットとなる。
余談として、腎臓は血液のろ過以外に血圧の調節をしたり、ホルモンを作るなどの機能も有しているのだが、現在の人工透析ではろ過の役割しかできないところに限界がある。
尿検査で何が分かるの?
病院では、簡易検査の一つとして『尿検査』一度もしたことが無い人はいないだろう。
そんな『尿検査』では、いったい何が分かるのだろうか?
尿検査はザックリと解説すると以下の通り。
「尿を調べることで、本来混じってはいけない成分が混じっていないか、逆に排泄しなければならないものがきちんと排泄されているかなどをチェックしている。これによって、からだの機能が正常にはたらいているかどうかということがわかる。」
尿検査には以下などの検査項目がある。
- 尿の量や比重、pHのチェック
- たんぱくや糖、ビリルビン、ウロビリノーケン、細菌などが混じっていないかのチェック(沈殿物をチェックする尿沈査等など)
尿検査でわかる病気には、以下などが挙げられる。
- 腎炎やネフローゼ症候群、腎腫瘍などの腎疾患
- 尿路結石、尿路感染症など尿路の疾患
- 糖尿病などの代謝障害
- 肝機能障害
- 心不全
- 血液凝固異常
・・・・・・・・・など
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