この記事では、私が基礎コースを受講した「AKA博田法(関節運動学的アプローチ博田法)について紹介していく。

 

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AKA博田法と博田 節夫医師

 

この技術は博田節夫という医師が中心となって開発したものである。

 

博田医師は約5年渡米して海外での医療を経験したり米国フィジカルメディスンアンドリハビリテーション(Physical Medicine & Rehabilitation))の専門医試験を最高点で合格するといった略歴も持っていたり、理学療法士にとって身近なところでは理学療法士国家試験の問題作成に何年も携わっていた医師である。

 

また、博田医師はFIMM(日本語では国際徒手医学会とか世界徒手医学会とか呼ばれたりする)という筋骨格系の疼痛を徒手的に治療する世界中の人たちが集まっている団体に入っていて、日本では博田先生の他数名のみが入会しているそうだ(ちなみにドイツ人は400人くらい)。

 

2004年にはFIMMの学会でワークショップを開催し、その反響により翌年にはドイツ徒手医学の専門雑誌Manuelle Medizinへ博田先生の論文が掲載されている。

 

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AKA博田法(関節運動学的アプローチ博田法)の起源

 

この技術の起こりは、教本によると理学療法士の宇都宮初夫先生が米国へ出張して関節モビライゼーションを学び、日本へ情報を持ち帰った所からとのこと。

 

ちなみに宇都宮PTは、後に関節ファシリテーション・英語名で「SJF(synovial joints facilitation)」を開発した人でもあるのだが、AKA第一版の教本には宇都宮先生がモデルをしている写真が載っていたりもする。

 

そこから博田先生を中心に凹凸の法則・関節の滑り・離開という米国から持ち帰った関節運動学の情報を基にこの手技の開発が進められ、紆余曲折の末に今の型が完成したらしい。

 

この技術は英語名で「Arthrokinematic approach-Hakata method」と呼ばれ、日本では「関節運動学的アプローチ 博田法(省略形でAKA-博田法)と呼ばれている。(ちなみにドイツでは「Arthrokinematishe approach -Hakata method」と訳されて紹介されたようだ)。

 

初めは日本で関節運動学的アプローチ(Arthrokinematic approach)、省略形でAKAと呼んでいたが、FIMMのworkshopにて会員医師にAKAを紹介したところ、「AKAなら知ってるよ。関節モビライゼーションのことでしょ?」と誤解されたとのことで、他のAKAとの違いを明確にするために語尾に「博田法」が付け加えられるようになったという経緯がある。

 

文献によると諸外国ではAKAとは関節包内運動を治療に用いたアプローチの総称であり徒手療法(manual therapy)と同意であるようだ(一部のオステオパシーやカイロプラクティック手技も含まれる)。

 

 

AKA博田法は医師・理学療法士・作業療法士に取り入れられている治療法

 

現在、AKA-Hの会員となり実技講習に参加出来るのは医師・理学療法士・作業療法士のみとなる。

 

しかし、インターネットでAKAと検索してみると柔道整復師(接骨院の先生)や整体師もAKAを取り入れていたりしている。

 

これは広義のAKA(関節モビライゼーションやカイロプラクティック)のことかなとホームページを読んでみると「日本の医師が開発した技術」と書かれてあったり、AKA博田法の教本の文章や図を引用しているものも多かったりする。

 

また、効果的なアプローチ方法が開発されたため現在は使用していない古い手技を文章で載せている方もおられる。

 

これらの方々は教本やDVDで独学された可能性が高いが、AKA博田法は何度も繰り返し指導者のもとで練習しなければ決して上達せず、上達してもそこから型が我流になって治療成績が落ちないように定期的に講習へ参加する必要があるくらい繊細な体の使い方や評価を要求される手技となる。

 

従って、きちんと指導された本当のAKA博田法(日本の医師が開発したAKA)を受けたいのであればAKA医学会ホームページよりAKA博田法を使っている近隣の医師を検索する必要がある(理学療法士・作業療法士の情報は載っていない)。

 

 

AKA博田法の認定療法士

 

AKA博田法会員になり一定の条件を満たせばAKA博田法認定療法士や指導者といった資格を取得することができる。

 

これらの資格は、心臓リハビリテーション指導士や呼吸療法認定士とならんで、取得奨励支援資格に位置づけられている病院もあるようだ。

 

これは博田先生が医師であり、理学療法士・作業療法士だけでなく医師にもAKA博田法が認知されていることが関係しているのだと思われる。

 

ただし、現在AKA博田法を認知しているのは一部の医師のみであり、取り分けAKA-Hの治療対象となる運動器疾患を取り扱うことの最も多い整形外科医は懐疑的な印象があるとのこと。

 

その理由としては柔整問題を抱える整形外科医にとって徒手療法の一つとみなされているAKA博田法はアレルギー対象となりやすいことや、卒後教育として関節運動学が認知されていないことなどが影響しているのではとのこと。

 

これ以外にもAKA博田法による改善の機序が仮説の域を出ていないことも関係しているものと思われる。