現在、AKA博田法とドイツ徒手医学を同時に学んでいるので、疼痛に対するAKA博田法と関節モビライゼーションの違いを自分なりに解釈してみた。
AKA博田法について
①関節機能異常からの疼痛に対してアプローチしている。
②痛みに対する具体的なアプローチ方法としては副運動技術を使用していく。
これは「強(強く力を入れるというわけではないのだが)」で関節の動きを出したあとに「弱」でその関節包内運動範囲の中間位に整うように修正して終了する(「強」は使わない場合もあり)といった考え。
オステオパシーの一部でも言われている「関節の遊びの中の中間的な位置に整うように修正することで身体のバランスの所を保つ」といった考えに近いものを感じる。
その中でも疼痛は体幹の関節(特に仙腸関節)機能異常から生じるものが多く、仮に四肢に疼痛が出現したとしても仙腸関節からの関連痛の可能性を第一に考えてアプローチしていく。
ドイツ徒手医学
①関節機能異常からの疼痛も含めてアプローチしている
動きの悪い関節を特定して、「動きが悪いことで生じている疼痛」であるならば動きを良くするようなアプローチをしていく。
これはカイロプラクティックの一部でも言われている考えと同じだが、スラストのような高速低振幅な刺激ではなくジンワリとしたソフトな刺激を加えていく。
また、筋の収縮を利用して関節を動かすといった意味でまっするエナジーテクニックも使用する。筋の緊張が強い場合には軟部組織に対するテクニックも施行していく。
逆に「不安定で動きすぎることが原因で生じている疼痛」であるならば、その他の動きの悪い分節を見つけて動きを良くすることで、不安定な分節にかかるストレスを軽減させるといったアプローチをしていく。
また、「疼痛が生じていることで動かせない」のであれば、関節包内の代謝改善であったりゲートコントロール理論などの考えから「AKAでいう弱~中」の刺激を加えて鎮痛を図る。
不安定な分節へのアプローチに関してはその他に、スタビライゼーションエクササイズを施行する。
脊柱に関して、最終的には脊柱全体が協調しながらしなやかに動くような運動療法(例えばピラティスチックなものでもOK)を施行していく。
上記の考えは、海外における『マニュアルセラピー』のスタンダードな考えとなる。
②関連痛に関する考え方は「特定の関節に固執しない」
関連痛も考慮して実際に痛みが出現していない部位に対してもアプローチしていく。
ただし、AKA-Hのように一部の関節を特別重要視したりはしない(腰椎ではこの分節、頚椎ではこの分節に機能異常が生じやすい傾向などはあるが絶対ではない)。
※あくまでも、両方を学んで考えた主観です。モビライゼーションには色々な体系が存在しますが上記の特徴は大体同じと考えている(特にドイツ徒手医学・ノルディックシステム・パリスアプローチ)。
※関節機能異常(joint dysfunction)とは:
器質的病変の認められない正常関節において、関節面の動きという機能のみに異常が生じた状態
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