副腎から分泌されるホルモンの中で、副腎皮質で生産・分泌されるのが『ステロイド(副腎皮質)ホルモン』である。

 

その中で特に重要なホルモンは『糖質コルチコイド(グルココルチコイド)』と呼ばれ、副腎皮質の束状帯で生産される。

 

そして、『コルチゾール(cortisol)』は、この糖質コルチコイドの一種であり、人が生きていくために必要不可欠なホルモンとされている。

 

コルチゾールの守備範囲は多岐にわたり、体の様々なメカニズムと対応しながら、ストレス刺激を受けるたびに血糖、血圧、免疫機能、脳の覚醒にかかわる神経作用、骨の代謝などが正常に働くように、その調整を行っている。

 

また、脂肪をエネルギーとして使えるようにするため、糖質を蓄え、体の回復や回復に必要なたんぱく質を使えるようにするという働きを担っている。さらに、体内の最も強力な抗炎症物質であるため、筋肉などの炎症や皮膚の腫れなども、このホルモンの働きで回復させる。

 

コルチゾールはいわば、ストレスから細胞を守るホルモンといえる。

 

コルチゾールは、一日を通して均一の量が分泌されるのではなく、時間ごとに生産量が変わっていく「日内変動」がある。

 

①コルチゾールは朝の目覚めを促す役割もあり、通常午前6時ごろから生産量が増える。

 

②午前8時ごろまでに生産量がピークを迎え、エネルギーをもっとも必要とする日中の活動期に備える。

 

③その後、午前11時から午後3時ごろにかけて急速に生産量が減り、それ以降、午前0時間前後にかけてはさらに生産量が低くなる。

 

④そして、深夜には最も低い量になりピーク時の10分の1しか生産されなくなる。

 

※この時間帯は、日中に多くのストレスを受けて働いていた副腎を休ませるためにあるとされている。

 

ただし、この日内変動には個人差があり、不規則な生活をしていたり、副腎が機能不全に陥っていると全く異なったパターンを示す可能性もある。