この記事ではモノアミン神経の一つである「ノルアドレナリン神経」と、そこから分泌される神経伝達物質であるノルアドレナリンについて記載していく。

 

ノルアドレナリンとは

 

ノルアドレナリンはドーパミンと同様に興奮物質である。

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ただしドーパミンとは異なり、戦闘的だったり、怒りに関係するものと考えられている。

例えば私たちがイライラしたり、怒りを覚えたりする時にはノルアドレナリンが大量に作られている可能性がある。

 

あるいは、ノルアドレナリンは脳内のアラームシステムとして、内外環境からの突発的で不快な刺激を監視し、「覚醒・注意などの緊張状態」や「不安や恐怖等の情動性ストレス状態」を演出する役割も担っている。

 

そして、これらの刺激に対してノルアドレナリンが大量に放出され、不快な状態から抜け出すための体の動きに備え、心の準備をするために必要な働きをしてくれる。

 

これらのことから、ノルアドレナリンを伝達するノルアドレナリン神経は、脳内にある危機管理センターと言えるかも知れない。

 

重複するが、ノルアドレナリンは生命の危機や不快な状態と戦うための脳内物質である。

もし、ノルアドレナリンがなかったら、人間は危険な状況に置かれても、そこから逃げたり闘ったりするための力、つまり生命力が無くなってしまうこととなる。

 

この要素は、原始時代で狩りをしていた時代であればなおさら重要な要素と言える。

 

一方で、現代社会おいては「生命の危険が脅かされる事態に晒されること」は稀であり、(生命の危機とは違った意味でのストレス刺激を多く受けることで)ノルアドレナリンが過剰に分泌された結果、体に様々な不調をきたしてしまう(ストレス反応)ことが問題となっている。

 

※生命の危機によって起こるノルアドレナリンの分泌は、戦闘や逃走が終了すれば分泌が治まることになるが、現代社会の(生命の危機とは違った意味での)ストレス刺激は私たちにエンドレスなノルアドレナリンの分泌を余儀なくしている場合がある。

 

ノルアドレナリンもセロトニンと同様な『再度取り込み機能』によって再利用される仕組みになっている。

 

疼痛に関して、何らかの理由によりアドレナリンの分泌低下が疼痛につながっている可能性が(理屈上は)有り得るため、SNRI・三環系抗うつ薬といった薬剤を用いることで、『ノルアドレナリンの再度取り込み機能』をブロックし、鎮痛を図ることがある。

 

また、ノルアドレナリンに対する様々な受容体の中で、アドレナリンα2受容体が疼痛伝達の抑制に重要な役割を果ており、下降性疼痛抑制系においても脊髄後角にてノルアドレナリンがアドレナリンα2受容体に作用することでも鎮痛作用をもたらすこととなる。

 

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ノルアドレナリン神経について

 

ノルアドレナリンは、脳幹の中の青斑核という部分で作られ、ノルアドレナリン神経が大脳のほぼ全体にはりめぐらされて、ノルアドレナリンを運んでいる。

 

※ちなみにドーパミンの一部は、脳内でノルアドレナリンに変換されたりもする。

 

そして、ノルアドレナリン系神経であるA系列のA1~A7神経の中で、中脳のA7、橋の青斑核のA6、延髄吻側のA5は下行性疼痛抑制系の起始核であり、これらのニューロンの終末から放出されるノルアドレナリンが脊髄後角の侵害受容ニューロンを抑制して鎮痛に作用する。

 

また、ノルアドレナリンはアドレナリンとともに副腎髄質から分泌されるホルモンである一方で、交感神経から分泌される神経伝達物質でもある。

 

※ノルアドレナリン神経の主要な起始核である青斑核を破壊しても脳内自己刺激が消失しないことや、ノルアドレナリン再度取り込みを選択的に阻害する薬物には報酬効果がないことから、ノルアドレナリンは快中枢に関与しないことが分かっている。

 

 

ノルアドレナリンと病気・不調の関連性

 

ノルアドレナリンによって起こる病気は沢山ある。

 

興奮することで自分を守ろうとする脳内物質なため、前述したようにストレスでバランスを崩すと、興奮がコントロールできなくなり、不安神経症や強迫神経症、対人恐怖症、パニック発作、そう状態興奮して怒りがおさまらないなど、様々な症状が出てくる。

 

様々な症状の中には「うつ病」も含まれており、うつ病の治療としてノルアドレナリンをターゲットとした薬剤も存在する。

関連記事⇒『うつ病の薬剤

 

ノルアドレナリンのバランスが崩れるのは、器質的な問題の場合もあるが、主にストレスが原因と考えられている。

 

病気とはいかないまでも、ノルアドレナリンのバランスが崩れて、イライラして落ち着かない、すぐキレる、なぜか不安で仕方がない、などの心の問題を抱えている人もいたりする。

 

ノルアドレナリンのバランスを取るには、ストレスを回避することも大切だが、ストレスと対峙する能力(例えばレジリエンス)を備えたり、気分転換の手段を身に付けたり、セロトニン神経を強化したりなど、様々な手段が考えられる。