人間同士が惹かれ合う感情を「恋愛」と言いうが、「あの人が好き」と「あの人を愛している」は、意味合いが違うのだろうか?

 

それとも違わないのだろうか?

 

厳密な定義があるわけではないが、

 

」とは激しく相手に惹かれて、ワクワクと相手のことを考え、『楽しく盛り上がるけれど、突然冷めることもあるもの』といった理解で良いのではないだろうか?

 

一方で「」とは、いつも相手のことを思いやり、絆を深めて互いに心地よくいらる『おだやかで永続的なもの』というのが一般的な理解となる。

 

従って「愛」の場合、家族や赤ちゃんに対する「愛情」も含まれます。

 

でもって、これら「恋」と「愛」の違いについては、「神経伝達物質(ホルモン)」の観点からも説明されることがある。

 

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『ドーパミン』と『オキシトシン』

 

神経伝達物質とは、脳の中の神経細胞同士の連絡に使われる化学物質である。

 

脳ではなく体の各器官で働く際には、『ホルモン』と呼ばれることもある。

 

でもって、この物質によって心や体の動きが生まれるわけだが、人が恋している状況と愛を感じている状況では、活発に働くホルモンに違いがあるようだ。

 

 

ドーパミンとは

 

人が恋をしているとき、脳内では『ドーパミン』というホルモンがたくさん放出される。

これは快楽物質とも呼ばれるホルモンで、放出されると快感や幸福を感じることができる。

この現象は実は恋愛に限ったことではなく、ほめられたり目的を達成したりしたときなどにも放出される。

 

また、ドーパミンは運動機能にも関連していて、体が徐々に動かなくなるパーキンソン病はドーパミンの分泌異常によって引き起こされる。

 

ドーパミンはパチンコやギャンブルでも大量に放出されるなど、依存性もあることで知られている。覚醒剤などはドーパミンと構造が似ているので、似たような幸福感を感じることができるのだ。

 

つまり、恋に落ちている状態とは『他のことが目に入らないほどの中毒的な快楽エネルギーが体に満ちている状態』と言い換えることが出来るのかもしれない。

 

「恋は盲目」というのは、あながち間違いではないのかもしれない。

 

 

オキシトシンとは

 

一方、愛をつかさどる神経伝達物質として注目されているのが『オキシトシン』だ。

 

オキシトシンはもともと、子宮を収縮させるホルモンとして産婦人科でも使われていたのだが、最近の研究では絆を強める作用があることも分かっている。

 

オキシトシンは別名、愛情ホルモンとも呼ばれており、共感と信頼を促進するといわれている。

 

※例えば、オキシトシンをかがせた既婚男性は、魅力的な女性を前にしても一定の距離を保つという実験が報告があったりする。

 

※あるいは、人とのふれあい、仲間との絆を感じたときや、母親が赤ちゃんを抱くときにも分泌される優しいホルモンである。

 

つまり愛を感じている状態では、おだやかな気持ちで絆を感じ、不安やストレスが軽減されるというわけだ。

 

実際は、様々なホルモンが関与しており、単純ではない

 

では、ドーパミンが出たら恋に落ちて、オキシトシンが足りないから愛が冷めるかというと、そんなに理屈通りにはいかず、単純な話ではなかったりする。

 

ドーパミンやオキシトシンの他にも、精神を安定させる『セロトニン』、緊急事態に働く『ノルアドレナリン』、脳内麻薬と呼ばれる『βエンドルフィン』など、何十種類もの物質が脳のさまざまな場所に働くことで、怖い・悲しい・楽しい・好きといった感情はつくられる。

 

なので、「恋する気持ち」や「愛情」も、多様な要素が組み合わされた一つの結果と言える。

 

 

タッチングで生じること

 

徒手的な「愛情を持った優しいタッチング」は相手にセロトニンやオキシトシンを出す効果があると言われている。

 

「手当」や「子供へのスキンシップ」として優しく触れることは、この様な効果ももたらしているのかもしれない。

 

また臨床においては、心理的負担に弱い人(の一部)は、負担に弱ければ弱いほど、タッチの刺激も弱いほうが楽になる(例えば恐怖感が強かったり、モチベーションが低い患者では、優しいタッチの方が効果的な場合が強い)と言われている。

 

 

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