新人理学・作業療法士の皆さんの中には、一人職場で活躍している人達も存在するのではないだろうか?

 

この記事は、そんな「一人職場で活躍する新人理学・作業療法士」にフォーカスした内容となっている。

 

私は最初に入職した病院(っというか今も在籍している病院)は常勤理学療法士1人、非常勤理学療法士1人な職場であった。

 

つまりは、一人職場ではないのだが、(一人職場に近い境遇であった点や)諸々の意味で、タイトルを『一人職場の苦悩・・・辞めたい時の選択肢』とさせてもらった。

 

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新人時代のエピソード

 

まずは、私の新人時代のエピソードを記載していく。

 

そして、新人理学・作業療法士シリーズの前回記事「新人療法士はそろそろ辞めたい頃かも知れない」では、5月病で辞めたくなる理由の一つとして「理想と現実のギャップ」を挙げたが、私が新人な頃は、理学療法士のイメージ像と現実のギャップはほとんど無かった。

 

従って、「理学療法士を辞めたい」という事態には陥らなかった。

 

恐らくそれは、学生時代に病院でアルバイト(週末は夜勤・長期休みは平日にリハビリ補助として)をさせてもらったことが大きかったのではと感じる。

 

ただし入職して数か月目で「職場を変えたい(職場を辞めたい)」とは思った。

 

それは、就職面接の際には言われていなかった要求を突きつけられたからだ。

 

その要求とは「訪問リハビリ事業の立ち上げ」であった。

 

他にも数人の理学療法士が既に職場で働いていたのだが、なぜか私に白羽の矢が立った。

 

白羽の矢が立った理由は明確ではないが、私の立ち位置が「病棟・外来・デイケアでのリハビリ」という「何でも屋」な立ち位置であったことが関係していたのだと感じる。

※残念ながら、別に私が優秀だと思われていたからではないと思う。

 

私自身も「様々な立ち位置での理学療法を実施して経験を積みたい」という思いを持っており、その点においては病院側ともニーズが合致していた。

 

ただ単に「訪問リハビリ立ち上げ」が、私の想定を超えていたに過ぎない。

 

今でこそ訪問リハビリは浸透しているが、10年前の当時は周囲に訪問リハビリをしている知り合いはいなかった。

 

※学生時代の同級生でも、新人1年目から訪問リハビリに携わる者は居なかった。

※知り合いがいないどころか、(有名所な大病院を除いては)事業所すら極少数な有様だった。

 

つまり、同級生が就職して「自身が実施する理学療法」に思考する中、私だけが「理学療法とは違ったベクトルでの業務」に試行錯誤する日々が続くこととなり、それが新人となって数か月目で「職場を変えたい」と思った理由である。

 

ただし、(詳細な苦労話は割愛するが)今では良い思い出となっているし、あの様な努力をさせてくれた病院にも今は感謝していることは強調しておきたい。

 

 

一人職場の苦悩

 

話は新人時代より更に遡り、私が学生時代に実施していたアルバイトの話をしようと思う。

 

前述したように、私は病院でリハビリ補助のアルバイトをしていた。

 

そして、そのアルバイト先では新人理学療法士さんが一人でリハビリ室を切り盛りしていたが、新人理学療法士さんは数か月で病院を辞めてしまった。

 

理由は「他職種のリハビリに対する理解の無さ」であったと記憶している。

 

つまりは、「理学・作業療法士業界でよくある出来事」で辞めてしまったと言える。

 

そんな「現場」を目の当たりにして私は以下の点を学生時代に学んだ気がする。

 

『病院では多様な職種が働いており、理学療法士・作業療法士の掲げる「理想」を受け入れてもらえない場合も多々ある』

 

私たちリハビリ職種(理学療療法士・作業療法士など)は理想を受け入れてもらえない時、他職種を非難する気持ちを抱きやすい。

 

しかし、「理想」を掲げると同時に「現実」を知ると視野が広がる。

 

そんな意味で、リハビリ補助というアルバイトは「現実を知る」という良い機会を与えてもらったと感じる。

 

一例としてアルバイト時に遭遇したエピソードとしては以下のような例が挙げられる。

 

 

理学療法士・作業療法士としての理想:

 

「パーキンソン病患者で、5分くらいの時間をかけると一人でベッドから起き上がって靴の着脱が出来るようになった。残存機能を活用するためにも見守りでこれらの行為をしてもらって下さい」

 

ただし、「現場(病棟)」で働くものとしては、時間に追われてしまうことがあり、必ずしもこの「理想」を順守できない場合がある。

 

そして、この例においても広場への食事誘導として(歩行が自立している人、寝たきりな患者も含めて)20分の間に10人もの患者を誘導する必要がある場合、「いくら時間をかければ出来る行為であるから」といって、病院・施設のシステム的に無理がある場合もあったりする。

 

※その様な際は、理想と現実の摺合せ、あるいはシステム自体にフォーカスした対応が求められる。

 

 

自身に合わないと思うのであれば、さっさと辞めてしまうのもアリ!

 

前述した新人理学・作業療法士さんは、「自身が求めている理想が、この病院では達成できそうもない。もっと自分の理想を具現化できる環境へ転職したい」と思ったことが職場を辞めた理由かもしれない。

 

そして、苦悩したり、ストレスなどで相当悩んでいたように思う。

 

ただ、結果的に数か月で職場を辞めてしまったが、それはそれで正しい選択だったと思わる。

 

なぜなら、その理学療法士さんはその後、学会で数多くの研究を発表し、理学療法の有名雑誌でも記事が掲載されるほど有名になったからだ。

 

この事からも、人にはそれぞれ適した環境というのがあり、その「環境」を見つけるためには早めに見切りをつけるという選択肢も大切なのではと感じる。

 

そして、「一つの職場が合わなかった=理学療法士として適性がない・理学療法の現実は(どの環境でも)つまらないものなのだ」という方程式は当てはまらない事を、新人さんで悩みを抱えている人には是非分かっておいてほしいと思う。

 

ここでは「職場を辞めるパターン」を記載したが、最後に「職場を辞めないパターン」も記載して終わりにする。

 

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一人職場と影響の輪

 

話が前後しまくって申し訳ないのだが、再び私の新人時代に話を戻す。

 

私は「(理学療法の理想と現実の違いに直面して)理学療法士を辞めたい」とは思わなかったが、「(訪問リハビリ立ち上げを命じられて)職場を辞めたい」と思うったことはあったと前述した。

 

そんな私が「職場を辞める」という選択ではなく、「職場に踏みとどまる」と選択するきっかけとなったのは「7つの習慣 」に記載されている「影響の輪」という考え方である。

 

この考えは簡潔に表現すると以下の通り。

 

『他者をコントロールすることは出来ない。一方で、自身はコントロールすることができる。そして、自身をコントロールすることで行動に変化を起こすことは、他者への変化へとつながる可能性も秘めている。自身がコントロールできるのは自分自身だけである。影響を与えることのできない外部へ注意を向けるより、影響を与えることの出来る自身に注意を向ける方がより建設的である。』

 

 

当たり前のことを言っているにすぎないのが、非常に感銘を受けたし今でも「影響の輪」の考えは大切にしながら生きている。

 

訪問リハビリに関して言えば「何で自分がこんなことをしなければならないのだ!などの恨みつらみを言っても仕方がないので、自身を成長させる機会だと捉えなおして挑戦してみる」という風に思考をシフトするという訳だ。

 

そして、当初私が考えていた不満の一つに「自己研鑽の機会が与えられていない」という事があった。

 

しかし、この不満に関しても恨み辛みを言っても仕方がないので、影響の輪を広げることにした。

 

つまりは、「自分が頑張れること(普段の臨床も含めて、訪問リハビリその他諸々を成功させる)」に注力した。

 

すると結果的に、「新人として1年間で結果が残せたから」という理由で自己研鑽にたいする多額の研修費を用意してくれた。

 

これは、影響の輪の外にばかりに目を向けていたら達成出来なかったように思う。

 

もちろん全ての努力に結果がついてくるとは限らない。

 

しかし、結果に導くことが出来るのは自分だけであり、他者に原因・理由を求めていても何ら解決しない。

 

新人理学・作業療法士さんも、是非とも建設的な思考を身につけていただきたいと思う。

 

 

理学・作業療法士の苦悩

 

前述した私のエピソード「頑張ったら研修費を出してもらえた」というのは理学・作業療法士としての一般論とは多少ずれており、あまり共感が得られない可能性があるので、もう少し共感が得られそうなエピソードも記載しておく。

 

私がアルバイト時代に体験した新人理学療法士さんは「病棟では残存機能を活用するような介護をしてほしい」と望んでいたが、現実はそれが徹底されなかった。

 

そして、徹底されていないことが目についてフラストレーションが溜まったことが「職場を辞める」という選択につながった側面もあったのではと前述した。

 

そして、この「病棟がリハビリ職種の言うことを聞いてくれない」というのは私も新人時代に体験し、それに不満を持っていた時期もあったのだが、その際も「影響の輪」の考えは非常に役に立った。

 

つまりは「リハビリをしても病棟では寝たきり」「椅子へ移乗出来る能力を獲得したのに、今だにギャッジアップで食事をしている」「見守りをすればトイレまで歩いて行けるのに、未だにPトイレでの排泄」などなど、これらの原因は全て他職種の怠慢だという考えを脇におき、「影響の輪(自分のできる事)」の中だけに意識を集中することにするということだ。

 

私が実際にとった行動としては、「離床のメリット」「(ベッド上ではなく)椅子座位で食すことのメリット」「様々な介助方法」などの情報提供に加えて、「他職種が実践していなければ仕事の合間を縫って自ら実践する」などであった。

 

とくに「(可能な範囲で)自らも実践する」という行為は「結局相手はコントロールできない、コントロールできるのは自分の行動である」という「影響の輪の内に注意を向けること」を実践したことになる。

 

そして最終的には、私が実践しなくとも他職種がやってくれるようになった。

 

※何故他職種がやってくれるようになったかは、様々な理由があると思うが、個人的には「プライドが傷つけられた」という点が影響していたように思う。

 

※「プライドが傷つけられる」という点を深くは解説しないが、ピンときてもらえるなら嬉しい。

 

※これはあくまで私が実践した例である。実際問題として、かなり泥臭く、不器用な方法であったかもしれない。

 

※影響の輪を広げる方法は無限に存在し、自身が出来そうな広げ方が存在するので、これを実践するよう促しているわけでは無い点には注意してほしい。

 

 

理学・作業療法士の一人職場の苦悩

 

この記事では「一人職場の苦悩」と題して、新人の理学・作業療法士さんが抱える可能性のある苦悩に関して、私のアルバイト時代に目の当たりにした「一人職場の苦悩」や、新人時代のエピソードも踏まえて記事にしてみた。

 

そして、苦悩の解決方法として、「職場をさっさと辞めて新天地を目指す」のもアリだし、その職場に踏みとどまるのもアリだと記載した。

 

そして、踏みとどまるための考え方の一つとして「影響の輪」というものを紹介した。

 

新人時代には大なり小なり不安や悩みを抱えるものだが、上手く処理して良い将来を歩んでほしいと思っている。