この記事では、漸増シャトルウォーキングテスト(Incremental shuttle walking test)について述べていく。
※漸増シャトルウォーキングテストは、単に「シャトルウォーキングテスト」と呼ばれてることもあり、以降の記事では後者の表現を用いて記載していく。
シャトルウォーキグテストは登録制なので、CDを購入して登録する必要がある点には注意して頂きたい。
※そして、購入したCDを流しながら実施するテストとなる。
シャトルウォーキグテストの特徴
シャトルウォーキングテストは、10m間隔で置いた目印の間を徐々にスピードを上げながら歩き続けるテストである。
テスト結果は体の運動能力を反映するため、リハビリ・トレーニングの効果判定をするために活用できる。
※あるいは、トレーニングの強度設定などにも活用できる。
特別な機械(エルゴメーターやトレッドミルなど)を必要としない。
あるいは、『6分間歩行試験』が30mの直線を必要とするのに対して、10mしか必要でない。
したがって、「特別な機会が必要でない(簡便にできる)」「広いスペースが必要でない」という点から、小規模な介護予防教室なども含めて多くの施設で実施可能である。
また、負荷を低レベルからゆっくりと増加する方法で安全にも配慮されているの点は、このテストの大きなメリットと言える。
シャトルウォーキングテストの基準値(カットオフ値)
シャトルウォーキングテストは、判定基準として何らかのカットオフ値が存在しているわけではない。
(前述したように)トレーニングによる効果判定に用いるため、各対象者の以下を記録し、その数値の変化(改善したか・悪化したか・変化がないのか)が判定基準となる。
シャトルウォーキングテストの手順
検査方法は簡単で9m間隔で離して置いたコーンの間(10m)を歩いてもらうテストになる。
※時速1.8㎞の低速歩行から開始し、毎分速度を速め、最終的には時速8.5㎞の速度で歩行してもらう。
CDの購入が必要
プロトコルは完全に標準化されており、実施に当たっては指定アニュアルに従って行わなければならない。
まずはCDを購入し、登録して使用する。
はじめに対象者に検査内容を説明し、さらにCDの説明を聞かせる。
十分理解できたことを確認の上、CDの信号に合わせてスタートする。
以後は信号速度に合わせて歩行速度を増すよう調節する。
検査は十分な間隔を開けて2度実施し、距離の長いほうを結果として採用する。
6分間歩行テストとの違いを知りたい方は以下も参照
シャトルウォーキングテストと類似した試験に『6分間歩行テスト』がある。
『シャトルウォーキングテスト』は10mの直線しか必要ないのに対して、『6分間歩行試験』は30mの直線を必要とする点はメリットと言える。
しかし一方で、6分間歩行試験はCDを購入する必要がない。
それらの違いも含めて興味がある方は参考にして頂きたい。
6分間歩行テストを動画で解説 カットオフ値/ガイドライン(やり方)/意義(目的)
ちなみに、6分間歩行テスト・シャトルウォーキングテストなどの『運動負荷試験』は心疾患への運動処方時のリスク管理にも活用される。
そんなリハビリのリスク管理(安全管理・中止基準)に関しては以下の記事でまとめているので、合わせて観覧すると理解が深まるかもしれない。
リハビリのリスク管理に『安全管理・中止基準のガイドライン』を知っておこう!
また、リハビリ(理学療法・作業療法)として一番馴染みのある『10m歩行テスト』に関しては、以下の記事にまとめているので興味があればどうぞ。