この記事では『社会参加』にフォーカスを当てて、ICFの要素との因果関係を記載していく。
社会参加とは
ICFにおける『社会参加』とは、社会生活へ関わることである。
つまり、社会の一員として社会的出来事に関与したり、社会的役割を果たしたりすることである。
例えば、家庭で母親や主婦としての役割を果たすこと、学校で学生として学ぶこと、職場で職業人として働くこと、余暇活動へ参加すること、地域の自治会活動へ参加することなど種々の社会的組織の中で役割を果たすことがこれに含まれる。
社会参加と他要素との因果関係
ICFにおける機能障害や活動制限が参加制約に与える影響は一様ではなく、個人因子と環境因子によって左右される。
また、社会参加の状況は対象者のQOL(quality of life:生活・人生の質)に大いに関係するので、この面からの考慮も重要である。
ここから先は、以下の4つに関して記載していく。
- 社会参加と活動
- 社会参加と個人因子
- 社会参加と環境因子
- 社会参加とQOL
社会参加と活動
各種の機能障害は活動制限をもたらし、活動制限は社会参加を制約する。
活動は大きくわけると『基本的な日常生活活動』と『手段的日常生活活動』に分けられる。
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両方とも対象者が社会に参加し、社会的役割を果たすために重要な活動である。
そのためそれらの活動と制限の状況を十分に評価し、社会参加への影響を考えなければならない。
当然、活動自体も個人因子や環境因子の影響を受ける。
社会参加と個人因子
社会参加はその対象者の社会への関わりや役割で大いに異なる。
例えば同じ60歳の人でも男性と女性では家庭や社会での役割は相当異なるはずである。
また、同じ性でも20歳と80歳では社会的役割は当然異なる。
ここでいう個人因子とは、『個人の人生や生活の特別の背景』であり、その人の特徴と言える。
これには性別・年齢ライフスタイル・生活習慣・生育歴・教育歴・職業・社会的背景・性格などが含まれる。
社会参加と環境因子
社会参加は環境因子にも多いに影響される。
ここでいう環境とは、その人とを取り巻く身近な環境と社会的な環境である。
身近な環境とは、家屋、居住環境などの物質的環境や家族、介護者の有無などの人的環境をいう。
社会的環境とは、就労・就学環境、地域社会環境、法・制度、各種サービス(医療・福祉・教育など)、コミュニケーションや交通のサービス、さらに人々の態度や意識などを意味する。
関連記事⇒『ICFにおける個人因子と環境因子』
社会参加とQOL
世界保健機構(WHO)によればQOLとは「個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」とされ、主観的幸福観の程度がその人のQOLを決定するとしている。
人は社会的存在であるので、対象者の者紀傘下の状態がQOLに大きな影響を与えることは容易に理解できる。
関連記事⇒『QOLの意味を分かりやすく解説』
ICFと社会参加の関連記事
社会参加に関しては、以下の記事でも「参加」という用語にて解説してある。
活動と参加の因果関係を分かりやすく記載しているので、興味がある方は参考にしてもらいたい。
ICFにおける「活動と参加(+違い)」
その他、ICF関連のリストは以下を参照。