私の好きな番組の一つにNHKの『総合診療医ドクターG』がある。
この番組は過去に終了したり再開を繰り返しながら放送されており、
紹介しようと思っていた矢先に、残念ながら3月17日の放送をもって終了してしまったが、
いずれ放送が再開されると思うので以下のサイトを定期的にチェックしてみて欲しい。
外部リンク⇒『NHK:総合診療医ドクターG』
この番組の概要は、実際に指導医が診察したことのあるクライアントの再現VTR(10分程度)をゲストの研修医達(3人)に観せる所から始まる。
そして、その再現VTRの情報を元に、クライアントが有していた病気は何だったのかを、研修医達が指導医とともにディスカッションしていくことになる。
そして、議論が深まったところで、その内容を踏まえて二度目の再現VTR(一度目の続き)を観て、再びディスカッション⇒研修医達が最終診断を下す⇒指導医が答えを発表
・・・っというのが基本的な流れになる。
番組の見どころ
『患者の声に耳を傾け、体に問いかける。
総合診療医の武器は「問診」と「診察」だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか?
意外な手がかりを一つ一つ繋ぎ合わせて病気を探り当てる。
私たちは彼をドクターGと呼ぶ』
上記は、番組の冒頭でいつも流れるナレーションだ。
この言葉からもわかるように、番組の見どころは、
ズバリ「問診」
である。
もちろん理学療法士と医師で性質が異なる部分もあると思うが、『問診によって問題の本質のかなりの部分を知ることができる』という点では一致していると感じる。
また、問診によって得られた情報を、いかに診療推論に役立てていくかといった点でも、非常に見ごたえのある番組になっている。
もう少し見どころをかみ砕いて表現すると以下のような感じ。
①再現VTRを自分も見ながら、あ~でもない、こ~でもない、などと考えながら自分なりに病名を考えてみる。
②研修医たちのディスカッションを通して、「医師がVTRのどの部分に着目し、どの様に臨床推論を展開したのか」といった頭の中をのぞける。
番組の再現VTRは「クライアントの問診中に喋っている内容」が映像になっている体で進んでいく。
そして、私たち理学療法士も、クライアントから発せられる内容を吟味しながら、重要かどうかの選択を同時進行で思考していくことが求められるため、
「再現VTR(問診)⇒ディスカッション(臨床推論)⇒再現VTR(問診)⇒最終診断(理学療法士の場合は問診が終了した段階での自分なりの仮説??)」という流れは身に着けておく必要があり、非常に参考になる。
話は脱線するが、再現VTRの中には診断を下すうえで重要なポイントが出てくるのだが、一方で全く重要でない映像も多く流れる。
もちろん、「一見重要そうだが実は重要でない」といいったひっかけ?も流れることがある。
これは私たち理学療法士が問診の際にクライアントとするやり取りと非常に似ています。
クライアントは時として話が脱線してしまうこともあり、そうかと思えばその脱線話に臨床推論する際に重要なポイントが含まれてることもあり、そんな際は話の軌道修正を踏みとどまっておいて良かったなと思うこともある。
かと思えば、案の定あまり参考にならない話が続いてしまうこともあるといった具合だ。
そんな事も思いながら、問診における効率性の大切さと同時に、こんな些細なエピソードに大きなヒントが隠れていることもあるんだなと感じることもあり、問診の奥深さを感じさせられる。
関連記事
以下の記事は、理学・作業療法士ならば誰もが最初に実施する「問診」について、分かりやすく解説している。
この記事で、問診のコツを何となくでも掴んでもらえれば幸いだ。