脳梗塞は早期に発見できれば、命を落とすことなく、後遺症も最小限に抑えることが可能になってきている。

 

なので、どのような症状や前触れが現れるのかを知っておき、見逃さないことが大切だ。

 

 

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脳梗塞の症状は多種多様

 

脳梗塞が発症した際の症状は以下の様に多様である。

 

  • 言語障害(言葉や文字が理解できない、話せない)
  • 肩だの片側の麻痺・痺れ
  • 意識が朦朧とする
  • 体がふらつく
  • 視覚の異常(視野狭窄)
  • 失認(物を認識できない)
  • 失行(物の使い方が分からなくなる)

・・・などなど。

 

ただし、これらは、こう梗塞以外の病気で現れるものもあるため、症状だけで素人が「脳梗塞が発症したかどうか」を判断するのは難しかったりする。

 

ただし、脳梗塞では共通して現れやすいサインがあり、それを知っておくことで、発症を見逃さず、早期発見のポイントとなる。

 

 

早期発見のポイント①FASTで症状をチェックし救急車を呼ぶ

 

「脳梗塞かもしれない」と感じた時に、チェックすべきポイントは4つあり、それぞれの頭文字をとって『FAST』と呼ぶ。

 

本人が気付いて確認できることもあるが、症状が重い場合などは、家族や周囲の人が確認する必要があるので覚えておいてほしい。

 

『F』とは?

『F』は、顔(Face)を指す。
「イー」と言ったときに、左右の口角が上がって笑顔がつくれるかどうかを確認する。

脳梗塞が起こっている場合、顔の片側半分に麻痺が起こる場合があり、顔面麻痺があるとうまく笑顔をつくることができない。また、顔の片側半分がゆがんでいる場合も、脳梗塞を疑う必要がある。

 

『A』とは?

『A』は、腕(Arm)を指す。

目を閉じて、手のひらを上に向け、両腕を前に伸ばす。すると麻痺がある場合、そちら側の腕がだんだん下がってきたり、手のひらが内側に回ってくる。

 

『S』とは?

『S』は、言葉(SpeeCh)を指す。

脳梗塞が起こると、口の筋肉が麻痺してろれつが回らなくなったり、言語が理解できなくなって話せなくなることがある。「きょうはいいお天気です」「パタカ・パタカ・パタカ」など、短い文を繰り返し言ってみて、うまく言うことができない場合は、脳梗塞が疑ってみる。

 

『T』とは?

『T』は、時刻(Time)を指す。

前述のサインが1つでもみられたら、時刻を確認してすぐに救急車を呼ぶようにする。

脳梗塞を起こして病院に搬送されると、いくつかの早期治療が検討されるが、発症から4時間半以内、8時間以内であれば治療が可能なので、発症した時刻を確認しておき、救急隊員や医師に伝えることが大切になる。

 

 

タクシーで行ったらダメなのか?

 

前述したように、脳梗塞の治療は一刻を争います(前述したように、発症からどの程度経過しているかで治療選択も異なってくる)。

 

なので、自家用車やタクシーでは到着までに時間がかかる場合があるため、ためらわずに救急車を呼んだほうが良い。

 

※搬送先の病院との連携も確実になる。

 

 

FASTの参考サイト

 

以下サイトでもFASTについて述べられているので興味がある方は参照してみてほしい。

 

⇒『(外部リンク)脳卒中の警告サインFASTで確認、ただちに受診を

 

⇒『(外部リンク)脳梗塞、サインは「FAST」 早期発見を

 

 

一過性脳虚血発作

 

手脚の麻痺やしびれ、ろれっが回らないなど、脳梗塞を疑う症状が現れても、しばらくすると自然に症状が消えてしまうケースがあり、これをTIA(一過性脳虚血発作)と呼ぶ。

 

※一時的な脳梗塞の発作が生じるという意味

 

TIAの恐ろしいところは、症状が消えて治ったようにみえても、そのあとに本格的な脳梗塞を発症する場合が多いことだ。

 

文献によっては以下のように言われることもある。

 

「TIA(一過性脳虚血発作)が起こった人のうち、6人に1人は3か月以内に脳梗塞を発症する。

 

さらにその半数の人は、TIAから48時間以内に脳梗塞を起こすとされている。

 

つまり、TIAは「脳梗塞の前触れ」と捉えることもできる。

 

TIAは、血管内にできた血栓のごく一部が剥がれて流れ、脳の血管が一時的に詰まることで生じる。

 

通常の脳梗塞に比べると血栓は小さく、すぐに溶けてしまうので、5〜15分間以内、長くても24時間以内には脳の血流が回復し、症状も消えてしまう。

 

そのため、「ちょっと疲れていたのだろう」「悪酔いしてしまったのだろう」などと考えて、そのままにしてしまうケースもあったりする。

 

しかし、TIAを引き起こした血栓が、大きな血栓の一部だった場合、その残りの大きな血栓が流れていって詰まると、重篤な脳梗塞を引き起こすのだ。

 

ちなみに、TIAで現れる症状は、脳梗塞の症状と同様(結局は血管が詰まるということなので)。

 

少しでも疑われる症状があれば、前述した「FAST」でチェックして、サインを見つけたら、ためらわずに救急車を呼んだ方が良い。

 

「自分は大丈夫」「寝れば治るはず」などと考えてそのままにしたり、症状が治まったからと安心せず、速やかに専門的な治療を受けることが、本格的な脳梗塞の予防につながる。

 

※医療機関でTIAと診断された場合には、脳梗塞の再発予防のための治療を行うことになる。

 

 

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⇒『脳卒中(片麻痺)の特徴・予防・評価・治療(リハビリ/理学療法/作業療法)を総まとめ