マニュアルセラピーでは対象者脊柱のどこに制限があるかを自動運動にて当たりをつける際、複合運動を考慮するとのことがある。
しかし、この複合運動は研究者によて意見が異なっているので、この点について記載していく。
腰椎側屈時の回旋組み合わせ運動(カップリングモーション)
脊柱の複合運動に関しては、
報告されている多くの文献がまとめられ、レビューとして紹介されている。
その論文では腰椎側屈時の複合運動について研究している21論文についてまとめられており、そのうち7論文はレベルにより複合運動が変化することを報告している。
2論文は、複合運動が存在しない、4論文は複合運動について定まりがない、6論文は反対側への回旋を伴い、2論文同側への回旋を伴うことを報告している。
<佐藤 智紀PTより>
例えば以下の通り。
Paris and Loubert
中間位での側屈時に反対側への回旋を伴う
Greenman
中間位・後屈位での側屈は反対側への回旋を伴う。前屈位での側屈は同側への回旋を伴う。
Kaltenborn
後屈位での側屈は反対側への回旋を伴う。前屈位での側屈は同側への回旋を伴う。
Kapandji
中間位での側屈は反対側への回旋を伴う。
Van der EL
中間位そして適度の後屈位の側屈は反対側への回旋を伴う。前屈位そして最大後屈位での側屈は同側への回旋を伴う。
上記のようにテキストによって見解が統一されていない。
Paris講習会なので腰椎は側屈時に反対側への回旋が起こるということで話を進めるものの、上記のことを踏まえてあくまで「あたりをつけるため」にcoupled motionsを利用する(その後他動運動検査にて細かく調べる)。
ちなみに頚椎では側屈時に同側回旋が起こると考えられている(統一した見解が得られている)。
頸椎複合運動については腰椎複合運動ほど多くの研究がされていないが、Paniabiらの
16遺体を使用した実験、Ishiiら の生体での実験から、C2-3以下では側屈時に同側への回旋が生じることで一致した見解が得られている。
~『パリス・アプローチ 腰,骨盤編―評価と適応』より引用~
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