この記事では、認知症ケアのポイントについて解説していく。

 

当たり前すぎる内容かもしれないが、リハビリ従事者(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)のみならず、看護師・介護士の皆さんにもぜひ観覧してみてほしい。

 

認知症ケアについて

 

認知症ケアの基本は、「生活障害を改善するために、その人らしく暮らせるような支援をすること」である。

 

でもって、この基本は認知症ケアの10原則に集約されている。

 

認知症ケアの10原則

 

認知症ケアの10原則は以下の通り。

 

 

  1. 言動を受け止めて理解すること
  2. 相手のペースに合わせること
  3. 楽しいと思えることをしてもらうこと
  4. 間違いを叱責、矯正しようとしないこと
  5. 行動をともにすること
  6. 孤独にしないこと
  7. 役割をもってもらうこと
  8. 情報は簡潔に、先のことは伝えない
  9. 環境を整える
  10. 感情にはたらきかける

 

 

でもって上記の様に、認知症を持つ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアを行おうとする認知症ケアを『Person centered care(人物中心ケア)』と呼んだりする。

 

Person Centered Care (英 Person Centred Care )は英国で生まれた認知症介護の概念で、ネットで検索したところ、この言葉は、認知症を持つ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアを行おうとする認知症ケアのことだと説明されていました。

日本語では「パーソン・センタード・ケア」というカタカナ語に訳されています。専門家にはおそらくそれで通じるのでしょうが、一般向けなら(人中心のケア)などと後ろに補っておいたほうがいいかもしれません。

~引用『http://eigoyasan.blog116.fc2.com/blog-entry-2664.html』より引用~

 

 

 

介助者への援助の原則

 

介助者には相当な負担が生じる場合がある。

 

従って、以下などに留意し、ストレスをため込まないようにする必要がある(特に②③が大切)。

 

  1. 認知症について理解を深められるように関わる
  2. 介護者の気分転換をはかれるようにする
  3. 介護者の相談相手、仲間、友人を作る

 

 

 現場における認知症ケアの基本を解説

 

前述した認知症ケアの5原則は、ケアマネージャーやリハビリ職種(理学療法士・作業療法士・言語療法士)が広い視野で認知症ケアを考える場面において活用すべき原則である。

 

でもって、ここから先は介護施設・通所サービス(デイケア・デイサービス)などの『現場』における認知症ケアの基本について解説する。

 

まず第一に押さえておきたい点は、認知症ケアの基本は以下だという点にある。

 

認知症における周辺症状に対する配慮

 

詳しくは『認知症を語る上で欠かせない基礎知識を総まとめ!!』を参照してほしいのだが、認知症の症状は以下の2つに大別される。

認知症の症状は以下の2つに大別される。

 

・中核症状

・周辺症状(BPSD)

 

でもって、中核症状は医師による薬物投与が中心となる(高次脳機能障害としてリハビリの対象になることもあるが)。

 

そして、認知症ケアで注目すべきは周辺症状(BPSD)である。

 

 

認知症の周辺症状(BPSD)は適切なケアで改善が可能

 

認知症は改善できるのか?

 

これは多くの人が抱える疑問だと思う。

 

でもって、中核症状に関しては薬剤などで進行を遅らせることが出来る事もあるが、ケアでの改善は難しいとされている。

 

しかし一方で(中核症状から派生する)周辺症状は、暮らしの中で生まれた症状が多いため、適切なケアによって改善が期待できる。

 

従って、「認知症は治るのか?治らなのか?」と問われた際は、中核症状と周辺症状を分けて解説する必要がある。

 

そうすると、例えば以下の様な表現が可能となる。

 

『記憶障害(中核症状)を治すことは難しいが、「盗られた』」と言い張る言動(周辺症状)は軽減できる可能性がある』

 

 

例えば「自宅に閉じこもりがちで認知症が発症し、周辺症状に悩まされている人」が通所サービス(デイケアやデイサービス)に通い始めたとたんに、周辺症状が落ち着いて、ご家族から感謝されたなどの例は、これらのサービスに携わっている人なら誰もが多かれ少なかれ経験したことがあるのではないだろうか?

 

※通所サービスに通うい始めて、日時や曜日が正確に言えるようになったり、服装が変わり、表情も柔らかくなられたなど。

 

でもって、ここから先は認知症の周辺症状(BPSD)に対するケアの一例を紹介する。

 

ただし、周辺症状のケアは画一的なものは存在せず、その人の環境因子・個人因子も含めて評価し、『その人に合った正しいケア』を実施することで始めて改善される。

 

なので、ここに記載されている内容は、あくまで一例である点は了承してもらいたい。

 

認知症の周辺症状(BPSD)に対するケアの一例

 

認知症の周辺症状(BPSD)としては前述したイラストの様に様々なものが挙げられる。

 

・徘徊

・幻覚・妄想(実際に見えないものや聞こえないものが見えた、聞こえたと訴える)

・暴力行為

・不潔行為

・夜間の不眠

・失禁

・・・・・・・・・などなど。

 

そんなBPSDに対するケアの一例としては以下などが挙げられる。

 

徘徊に対するケア:

  • 症状:

    家の中や屋外を一人でさまよい歩く。帰り道がわからなくなる。

  • 対処方法:

    他の人にも連絡先がわかるように工夫する(徘徊して見失っても誰かが発見してくれる)。ご近所や交番などにあらかじめ本人の状況をよく説明し、一人でいるところを見かけたら連絡してもらうように協力をお願いする。また一緒に散歩すると落ち着く場合もある。

 

 

幻覚に対するケア:

  • 症状:

    現実にはないものを見たり、聞いたりと訴える。

  • 対処方法:

    本人には実際に見えたり聞こえたりしているので、否定せずに本人が安心するような受け答えを心がける。本人の言動に動揺せず、病気として受け止めることが大切となる。

 

 

妄想に対するケア:

  • 症状:

    実際にはなかったことを事実と思い込む。

  • 対処方法:

    間違いを正そうとして妄想を否定するとかえって興奮させてしまう。物盗られ妄想などは、一緒に探してあげるのも一つの考えとして(その結果、落ち着くことも)。

 

 

拒否に対するケア:

  • 症状:

    食事や入浴、介護のすべてに対して抵抗を示す。

  • 対処方法:

    その場は無理強いをするのではなく、本人の要求に耳を傾け可能であれば、その通りにしてあげる。本人が落ち着いたところで再び声かけを試みてみる(強引に矯正しようとすると逆に反発して逆効果になることも多い)。

 

あるいは以下の様に、その人に合った声掛けによって拒否が無くなることも多い。

 

パターン①:着替えを拒否する認知症の人に対して

 

 

 

パターン②:トイレ誘導を拒否する高齢者に対して

 

 

 

暴力行為・興奮に対するケア:

  • 症状:

    自分の行動を注意されたり、不快な出来事があると急に怒り出し、暴力に及ぶこともある。

  • 対処方法:

    慌てずに、落ち着いた対応が求められます。話題や状況を変えるなどしてみる。興奮状態が続くようであれば、医師に相談する必要がある。

 

 

不潔行動に対するケア:

  • 症状:

    不潔なものを食べる。便器以外の場所で排泄したり、自分の便をもてあそぶなど。

  • 対処方法:

    物の分別、失禁の後始末がわからないためにこのような行為をしてしまうと考えられている。常に身の周りを清潔に保ち、本人の排泄パターンを知っておくようにするのも一つの考えである。また、本人が排泄物に直接手を触れないような衣服の工夫も必要な場合がある。

 

 

夜間の不眠に対するケア:

  • 症状:

    昼間は居眠りしたりボーっとしているが、夜になると眠れなくなり、落ち着かなくなる(いわゆる昼夜逆転)。

  • 対処方法:

    昼間の居眠りや運動不足が原因になっていることもあるので、日中は体を動かすようにすると良い場合もある。それでも不眠が続くようであれば、医師に相談する必要があるかもしれない。

 

 

失禁に対するケア:

  • 症状:

    認知症が進むにつれ、トイレの場所がかわらなくなったり、尿意を感じなくなり尿失敗が頻繁になる。

  • 対処方法:

    トイレの場所がかわらない場合は、ドアに「トイレ」と書いた紙を貼るなどの工夫が必要。また、時間を決めてトイレに誘ったり、部屋にポータブルトイレを置くのも良い。誘うのであれば、排泄の周期を一定期間評価・観察するとパターン(法則性)が見つかる場合もあり、その様なケースでは効率的な誘導が可能となる。リハビリパンツ+パットの着用で失敗してもある程度は周囲への汚染が防げるような対策が必要な場合も。

 

 

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