この記事では膝の関節水腫によって生じる『膝蓋跳動』について記載していく。

 

膝蓋跳動(floating patella)とは

 

膝蓋跳動(floating patella)とは、膝関節水腫の検査方法であり、具体的な方法は以下の通り。

 

膝伸展位で、検者が一方の手で膝蓋骨の上部を包み込むように軽く固定し、他方の手で膝蓋骨を下方へ軽く圧迫する波動あるいは浮遊感を触知することが出来る。

 

大腿部に当てた検者の手(左手)で関節液を膝蓋骨下に集めることで、反対手(右手)の指で膝蓋骨の浮上を評価しやすくなる。

 

 

 

具体的な膝蓋跳動の動画としては以下が分かり易い。

 

 

以下が関節水腫(+膝蓋跳動)になる。

 

 

ただ、(こんな記事を作成しておいてなんだが)触れれば関節水腫の有無は簡単に分かる。

 

 

関節水腫=炎症ではないが。。。

 

関節水腫の存在自体は炎症の存在を示唆するものではないが、膝関節水腫が存在すると筋出力低下や萎縮を引き起こしてしまう。

※大腿四頭筋に対して神経学的抑制回路が形成され、筋力低下や筋萎縮が引き起こされる。

Stokesらはこの抑制を『関節原性筋抑制』と呼んだ

 

関節液が多いほどこの抑制は大きくなる。

※これは関節内のメカノレセプターが、特に関節包伸張の隙にこの抑制に関与すると考えられている。

 

ちなみに『膝関節におけるエクステンションラグ』の要因の一つとして関節水腫が言われている。そんなエクステンションラグについては以下の記事を参照。

 

⇒『エクステンションラグ(extension lag)と内側広筋は関係ないよ

 

 

腫脹がある状態で最大筋力を発揮しようとすると、さらに関節内圧が高まり抑制が大きくなるため、関節の腫脹が減少してから(あるいは関節穿刺にて水腫を除去したあと)、筋力トレーニングを開始したほうが良い。

 

これらの理由から、膝関節水腫の有無を判断するために膝蓋跳動テストを行うことには意義がある。

 

また、膝蓋跳動テストが陽性だった場合は、前述した理由により、必要に応じて(医師と相談し)関節穿刺(関節液を抜く)などを検討する。

※水腫だけでなく、何らかの症状(違和感や疼痛)を訴える場合で、尚且つ顕著な水腫が認められる場合は関節穿刺が行われることも少なくない。

 

 

炎症の存在

 

先ほど、以下の様に前述した。

 

関節水腫の存在自体は炎症の存在を示唆するものではない

 

ただし、当然のことながら炎症徴候として腫脹が生じている場合もある。

 

でもって、炎症の存在を確認することは、リハビリ(理学療法)の適応範囲を見極めるのに重要となるため、以下の評価も合わせて行うことが大切となる。

  • 視診による発赤の有無
  • 触診による熱感の有無

 

 

上記によって炎症の存在が確認できれば、以下などの病態が推測される。

  • 急性関節炎(例えば変形性膝関節症の急性増悪)
  • 結晶沈着性膝関節炎
  • 化膿性膝関節炎

・・・・・・・・・・・など。

 

また、関節外の軟部組織(例えば鷲足・腸脛靭帯・膝蓋支帯・膝蓋下脂肪体周辺組織など)に限局して熱感が感じられることもある。

なので、関節外・関節内どちらの熱感なのかも評価しておく。

 

いずれにしても炎症が存在する場合は、リハビリ(理学療法)を積極的に行うことは禁忌となる。

 

※実施するとしても疼痛が誘発されないマイルドなリハビリが大原則となる(愛護的な関節可動域運動、グレードの低い関節離開モビライゼーション、疼痛が誘発されないのであればパテラセッティング・・・など)

 

⇒『関節可動域訓練(ROMエクササイズ)とは? リハビリ・看護

 

⇒『モビライゼーションとは!定義/適応・禁忌/方法を紹介

 

⇒『パテラセッティングとは?目的・効果・方法・工夫などを徹底解説!!

 

 

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変形性膝関節症のリハビリを総まとめ!

 

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