アバッキオ

「・・・・・そんなところで何してんだい?」

 

 

警官

「食事中すまないね・・・。

 

今、捜査中でね・・・。

指紋を探している。

 

犯人がここに何か捨てたって言うんで、
このビン捨て置き場に指紋があると思ってね・・・。」

 

 

アバッキオ

「・・・・・・・・そんな中から探す気かい?」

 

 

警察官

「仕事だからな」

 

 

アバッキオ

「ああ・・・その・・・なんだ・・」

 

 

警察官

「なにか?」

 

 

アバッキオ

「いや・・・その、参考までに聞きたいんだが・・。

ちょっとした好奇心なんだが・・。

 

もし見つからなかったらどうするんだい?

指紋なんてとれないかも・・・

 

いや・・・それよりも、見つけたとして

犯人がずる賢い弁護士とかつけて無罪になったとしたら?

 

あんたはどう思って、色んな苦労をしょい込んでいるんだい?」

 

 

警官

「そうだな・・・

 

私は『結果』だけを求めていない。

 

『結果』だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ・・・

 

近道をしたとき、真実を見失うかもしれない。

 

やる気も次第に失せていく。

 

大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている。

 

『向かおうとする意志』さえあれば、
例え今回は犯人が逃げたとしてもいつかはたどり着くだろう?

 

向かっている訳だからな。

 

違うかい?」

 

アバッキオ

「・・・・・・・・」

 

 

ジョジョの奇妙な冒険 第5部(ジョジョの奇妙な冒険58巻)

 

『アバッキオが死ぬ直前に夢でみた、昔自分が賄賂をもらって殉職させてしまった同僚警官との会話』より抜粋