抑うつ状態にあるとき、クライアントは自分でほとんど意識しないまま、途切れることのない思考や心の中での一人語りをしていることがあるという。

 

この連続した思考は否定的に偏っており、本人はそれを決して疑うことがない。

 

このような思考を認知療法では『自動思考』と呼んでいる。

 

自動思考は即時にわき起こるコメントであり、その人の経験を的確に反映するものとして現れる。

 

うつ病ではこの自動思考は以下のような要素によって生み出されており、非常に特殊で否定的な傾向にある。

 

・自分自身

・自分を取り巻く世界

・未来に関連したスキーマ(中核的信念)

 

これら3つの要素は、うつ病の非適応認知の3徴と呼ばれており(Beck 1976)、抑うつ徴候として不可欠であると考えられている。

 

 

また、抑うつ状態における自動思考からは、下記のような様々な反応が表出されることとなる。
・行動としての反応:回避・不活動など
・身体反応:睡眠障害・食欲変化など
・意欲:興味の消失など
・感情:悲しみなど