今まで「日本理学療法士協会全国学術研修会」という名称であった学会が、「日本理学療法学術研修大会」へと名称変更となる。

 

まぁ、同じような名称なのでわざわざ変更する必要が無い気もするが、理学療法士協会としては内容を心機一転大幅に変更する予定らしく、これを機に名称も変えて気合を入れたいのかもしれない。

 

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全研から日研へ! 何がどう変わるの??

 

「PTA NEWS 2017,8,No308」には

 

全研(日本理学療法士教会全国学術研修会)

日研(日本理学療法学術研修大会)

 

への変更に合わせて、以下の様な記述がある。

 

  1. 開催時期が秋から春へ変更
  2. 座学中心から実技中心の研修へ変更

 

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①開催時期が秋から春へ変更

 

いままでの学会(全研)は秋(10月)に開催されていたが、これが春(5月)へ変更されるらしい。

 

理由は書かれていないが何でだろう?

 

5月というのは比較的忙しい時期で、例えば来年で言えば医療・介護のダブル改訂によって皆が対応に追われている真っ只中だろう。

 

※部署移動なども起こる時期である。

 

あるいは新人で言えば、職場に慣れるために必死に仕事を覚えようとしている時期だろう(中には理想と現実の乖離や人間関係に悩んだりなどで5月病になってる人もいるかもしれない)。

 

っというか、学会参加しなくても、普通に臨床をまじめにこなすだけで成長出来る時期でもある。

 

なので、5月よりも10月のほうが余裕をもって研修に参加できるし、新人に関して言えば「学校の知識による限界」を感じるのも5月より10月だと思うので、10月のほうが様々な疑問点・目的意識を持って学会に臨めると思うのは私だけだろうか?

 

※「新人」とは2年目・3年目も含まれ、その人達にフォーカスするのであればこの限りではないが。。

 

なので、10月から5月にした意図は何だったのか気になるところである?(重複するが、理由は書かれていないので分からない)。

 

ただし、以下の様な記述はある。

 

これまでの新人や若手を重視した内容から、多世代・職域が参加できる研修大会として、参加された方々が理学療法固有の臨床技能、社会から求められている今必要な課題別臨床技能、多世代に応じた階層別臨床技能を習得および省察できる内容としました。

 

今までは、新人や若手を重視した内容であったらしい。

 

で、今後はもっと幅広い理学療法士に役立つ内容にするらしい。

 

※今までの学会も、別に若手ではなくとも参考になる内容も多かった気がするが。。。

 

 

②座学中心から実技中心の研修へ

 

「座学中心の研修」から「実技中心の研修」へ生まれ変わるらしい。

 

これが一番大きな変更点だろう。

 

なんと「全プログラムの5割以上は実技中心の形式」だそうだ。

 

個人的には「研修会にせっかく参加するなら、座学中心より実技中心なもの」のほうが臨床に活かせると感じているから、この変更には否定的ではない。

 

座学で得られる内容は、書籍などでも吸収可能だし、理学療法士協会であればe-ラーニングなどの動画配信サービスもあるし、今後は動画による学習は活況してくると思われる。

 

※ちなみに、H33年から生涯学習制度が変わるらしく、座学に関しては「わざわざ出向かなくても良いe-ラーニングも積極活用するようだ。

 

⇒『衝撃的!! 理学療法士の「生涯学習制度」がH33年より大幅に変わる件

 

 

なぜ「日本理学療法学術研修大会」に変わるのか?

 

なぜ日本理学療法学術研修大会へと変わる必要があったのか?

 

この点に関して、「PTA NEWS 2017,8,No308」では以下の様に記述されている。

 

理学療法士の臨床能力について医師や行政の一部から問題提起がなされています。

 

個別・単位制、疾患別リハビリテーション等に代表される保険診療内での理学療法の質を更に高め、また地域包括ケアシステム推進に理学療法が効果的に寄与するために、従来の卒後教育・研修を見直し、社会に求められている理学療法士の臨床技能を高める新たな研修が必要です。

 

学術大会は第53回大会より分科学会に移行し、より理学療法学を極める方向を目指し、学術研修大会を理学療法士の臨床能力を更に高める研修の指針を示す全国集合形式の大会へと変更します。

 

社会から認められ、理学療法士が輝ける未来を目指すために学術研修大会は生まれ変わる必要があるのです。

 

 

実技って何するのかな?

 

先ほど日本理学療法学術研修大会として以下の様に生まれ変わる予定であると記載した。

 

  • 新人や若手を重視した内容から、多世代・職域が参加できる研修大会へ変更
  • 座学中心から実技中心の内容へ変更

 

これらの点も踏まえて「実技って何するのかな?」という疑問がわいた。

 

プログラム一例に関しては「PTA NEWS 2017,8,No308」に以下の様な記述がある。

 

基本的臨床技能研修:

理学療法スキルの再考ー関節可動域を守る運動療法回帰ー

部位別(肩・股・膝・足)に症例を提示し、講師によるデモンストレーションの後、参加者に実際の治療を実施していただき、ピットフォール(落とし穴)などを盛り込んでOJT形式にて講師に指導をいただきます。

 

 

参加型臨床技能研修:

臨床能力を高めるー患者診療の模擬実演(OSCE)ー

実際の臨床現場において、標準疾患者への診療場面をOSCEにより他者評価を受け、客観的に自身の臨床技能を振り返る機会として、協会の指導的立場にある理学療法士から助言や指導をいただきます。

 

ちなみに、上記のOJT・OSCEとは以下を指す。

 

OJTとは:

OJTとは、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対し具体的な仕事を与えて、その仕事を通して、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的計画的継続的に指導し、修得させることによって全体的な業務処理能力や力量を育成する活動である。

これに対し、職場を離れての訓練はOff-JT(Off the Job Training オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)と呼ばれる。

 

~『ウィキペディア:OJT』より引用~

 

OSCEとは:

OSCEとは「Objective Structured Clinical Examination」の頭文字を取ったもので、「客観的臨床能力試験」と訳されます。ペーパーテストによる知識重視の教育ではなく、判断力・技術力・マナーなど実際の現場で必要とされる臨床技能の習得を、適正に評価する方法として注目されています。

 

~『札幌市立大学』より引用~

 

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実技って何をするのかな?

 

OSCEを取り入れた研修というのは、いまいちピンとこない部分もあるので、もう少し詳細が分かるまで記述の使用が無い(前述した記述も踏まえて、参加者同士でディスカッションさせたりしてクリニカルリーズニング能力を養うなどが該当するのかもしれない)。

 

関連記事

⇒『クリニカルリーズニング(臨床推論)って何だ?

 

 

で、気になるのは実技のほう。

 

実技って何するのかな?

 

一例として「部位別(肩・股・膝・足)に症例を提示し、講師によるデモンストレーションの後、参加者に実際の治療を実施していただき、ピットフォール(落とし穴)などを盛り込んでOJT形式にて講師に指導してもらう」と記載されてはいるが。。。

 

一つのテーマで、どの程度時間を割いて実技をするのだろうか?

講義と実技では、必要となるスペースが大きく異なるが、どの程度本格的な実技を予定しているのだろうか?

 

 

利用者の全てが満足する集団体操を考えるのって難しい

 

話は少し変わるが、介護保険サービスである「通所リハビリ」や「通所介護」において集団体操が行われることがある。

 

でもって、要支援1(軽度)から要介護4・5(重度)な人たち全員が満足出来る(あるいは十分な効果が得られる)集団体操を考案するのは極めて難しい(っていうか無理)。

 

なぜなら、各々の運動機能・認知機能が大きく異なっているから。

 

更に言うなら、同じ介護度であっても必要な体操の要素は異なってくる。

 

なので集団リハではなく個別リハが重要となってくる。

 

 

で、話を日本理学療法学術研修大会に戻すと、「全研⇒日研」の変更点の一つに「新人や若手を重視した内容から、多世代・職域が参加できる研修大会へ変更」というのが挙げられていたと前述した。

 

ただし、「多くの世代・職域の人達が全員満足できる実技」というのを考えるのは相当難しいと感じる(各々の能力が異なっているのだから)。

 

もちろん、職域に関しては実技のテーマを細分化することで、いくらでも満足度を上げることは出来ると思うが、「多くの世代(っというか、その領域に精通している人と全く精通していない人)」が満足する実技というのは・・・・。

 

 

新人時代のコース系実技講習会

 

例えば個人的なエピソードだと、新人時代には「コース系の実技講習会」に参加しまくっていた。

 

でもって、コース系の実技講習会は新人には非常に向いていると感じた。

関連記事

⇒『コースで一つのコンセプトを学ぶことのメリットについて

 

一方で、コース系の「メリットでもありデメリットでもある点」は基礎から(応用まで)学べる点だと感じた。

 

コース系のセミナーは(有名どころでは)新人のもならずベテランも参加してたりしているのだが、ベテランの彼らからすると基礎(触診・基礎的な解剖運動学的知識など)は退屈な印象を受けた(早く応用へ進んでほしいと感じている印象を受けた)。

 

なので、触診の際にペアになっても、自身はサッサと終わらせて、私(新人)の実技時間を多く設けてくれていた(私への親切心というより、既に出来るからやらなくても良いといった感じ)。

 

 

で、話を日本理学療法学術研修大会に戻すと、先ほどの「集団体操」と同様に新人に実技内容を合わせるとベテランが退屈するし、ベテランに内容を合わせると新人が難しく感じるのではないだろうか?

 

例えば前述した「部位別(肩・股・膝・足)に症例を提示し、講師によるデモンストレーションの後、参加者に実際の治療を実施していただき、、、、」という内容で、満足できる理学療法士がいる一方で、満足できない理学療法士もいるのではと感じる。

 

 

その点、座学は万人受けしやすい。

 

座学は、一度に入ってくる情報量が多いので、基礎的な内容を多く含むものであったとしてもベテランも得るものが多い。

 

イベントなどで、その分野に精通している人達が壇上でディスカッションをしている内容なども非常に勉強になったりする。

 

※もちろん「受け身になり易い」というデメリットもあり「座学で学んだ内容で、後に覚えているのは全体の数パーセント(10%にも満たない)」とも言われている。

 

※なので目的意識を持って臨むことが大切だ(まぁ、無理やり参加させられている訳ではないので、ある程度知識として定着するとは思うが)。

 

※大切なのは、「話を聞くだけで満足するのではなく、自身で実践したり、他者に聴いた内容をアウトプットすること」が知識を定着させる何よりも重要な要素らしい。

 

 

補足

 

また、実技練習をするためのスペースをどの程度確保できるのだろうか?

 

多くの部屋で実技を実施するのであれば、会場を複数に分ける必要すら出てくるかもしれない(一会場に、治療ベッドも含めて、多くの人を収納できる部屋がいくつもあるとは考えにくい)。

 

あるいは、そんなに治療ベッドを用意しない(座ったまま、あるいは立ったまま簡単に出来るような実技、あるいは体験など)であれば、大した収穫は得られないのではと感じる。

 

もちろん「講師によるデモンストレーション」が間近で見れるというのは、価値のある事かもしれないし、実際に治療場面も見せてくれるなら「こういう理学療法士になりたい」などと普段の臨床に対するモチベーションもグッと高まるかもしれないので、良い面も多くあるとは思うが。

 

 

ベテランが実技プログラムへ参加する際のスタンス

 

前述したように、「その分野に精通している人」も「そうでない人」も含め全ての理学療法士を満足する実技講習というのは難しい。

 

なので、それこそ「臨床で絶対使える!膝OAには、まずはこれをやってみよう!」といった必殺技のようなかなりポイントを絞った、尚且つ覚えておいてすぐに臨床で活用できるようなものを紹介するといった手法ががとられるかもしれない。

 

あるいは、各コンセプトを紹介程度に実技させて「もっと知りたい方はセミナーへどうぞ」などと各種セミナー団体の紹介の場と化す可能性もある。

※別にそれが悪いとも言わないが。例えばPNFなど、1時間程度でこなせる様になれという方が無理な話なので。

 

でもって、恐らく「その分野に精通していない人」寄りに実技内容を合わせると思うので、その分野に精通している人は、あえて自身が精通していない分野に参加することで「自身の視野を広げる・ジェネラリストとなるための足掛かりにする」といったスタンスのほうが良いのかもしれない。

 

 

とりあえずは、第53回日本理学療法学術研修会 in 茨城2018

 

とりあえず、日本理学療法学術研修大会として、第一回目は茨城で開催されるようだ。

 

 

第53回日本理学療法学術研修会 in 茨城2018が開催予定

(自立を支援する 臨床技能を極める)

 

会期:2018年5月25日(金)26日(土)

   ・25日9:00~20:00

   ・26日8:30~17:00

 

会場:つくば国際会議場 他

 

最初は試行錯誤の連続だろうが、行ってみたいという興味が沸いてきたで、続報を楽しみに待とうと思う。