この記事では、生理学用語の一つである『シナプス後電位』について解説していく。
シナプス後電位とは
脊髄後角侵害受容ニューロンは、一次侵害受容ニューロンの脊髄側末端部から放出される伝達物質に反応する。
具体的には終末部にある電子依存性カルシウムイオンチャネルが活動電位によって生じる膜電位の上昇を感知し、カルシウムイオンチャネルが開いて、カルシウムイオンが細胞内に流入する。
細胞内のカルシウム濃度が上昇時、それがトリガーとなって、シナプス小胞が細胞膜に融合し、シナプス小胞の中に入っている神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。
放出された神経伝達物質はシナプス後ニューロンの膜表面にある受容体に結合する。
神経伝達物質は、その種類や受容体の型の違いによって、シナプス後ニューロンを興奮させたり、抑制させたりする。
一次求心性神経(シナプス前線維)から放出されるグルタミン酸やサブスタンスP、カルシトニン遺伝子関連ペプチドなどの興奮性の神経伝達物質は、脊髄後角の二次侵害受容ニューロン(シナプス後ニューロン)を脱分極させる。
逆に、抑制性介在ニューロンなどから放出されるγアミノ酸(GABA)やグリシン、セロトニン、ノルアドレナリン、オピオイドなどは、シナプス後ニューロンを過分極させる。
神経伝達物質によって引き起こされる、このようなシナプス後ニューロンの膜電位を「シナプス後電位」と言う。
グルタミン酸などによって引き起こされるシナプス後電位は脱分極性なので「興奮性シナプス後電位」となる。
一方、GABAなどによって引き起こされるシナプス後電位は過分極性なので「抑制性シナプス後電位」となる。
シナプス後電位と間違えやすい「活動電位」を解説
「シナプス後電位」と「活動電位」の違いが分かりにくいと思っている人も存在するようである。
※確かに字面は似ている気がする。
以下の記事では「活動電位」について解説しているので、違いが整理できていない人は合わせて観覧してみてほしい。