この記事では『のび体操エロンゲーション運動)』の方法を解説している。

 

興味が出た方は、ぜひ以下の書籍も手に取ってみてほしい。

 

 

 

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のび体操(エロンゲーション運動)の目的

 

世の中には様々なエクササイズが存在するが、それらの目的は以下のいずれかに分類される。

 

  • 筋力増強⇒マシントレーニング・抵抗バンドを用いた運動など
  • 柔軟性改善⇒セルフストレッチング・施術によるストレッチングなど
  • バランス機能⇒ボールエクササイズ・不安定マットエクササイズなど

 

これらを「縦割り」・「部分的」に実施するのではなく、「複合的」・「全身的」に実践する体操が『のび体操(体全体を伸ばす体操=エロンゲーション運動)』である。

 

例えば、仰向けでの「背伸び」をイメージしてみてほしい。

 

すると、以下が起こることが容易に想像できるのではないだろうか?

 

  • 筋・筋膜が伸びている
  • 全身の筋肉が収縮している

 

※想像できないなら、実際にやってみてほしい。

 

当たり前と言ってしまえばそれまでなのだが、グーっと背伸びをするためには頭尾側へ体を十分伸ばすための筋収縮が必要であると同時に、エロンゲーションを阻害する因子があれば伸張される。

 

また、体幹のコア(インナーマッスル)を鍛える作用もあり、例えば十分にエロンゲーションを行うと腹圧がかかって(骨盤底筋)や腹横筋が収縮し、お腹が凹んだ状態になる。

 

つまり、エロンゲーションはヨガやピラティス同様にコアマッスルを賦活することが可能であり、尚且つ(本格的なヨガやピラティスに比べると)難易度が低いため高齢者にも実践し易いエクササイズと言える。

 

※転倒リスクが高い高齢者であっても安全に実施でき、だからこそセルフエクササイズとしても推奨し易い。

 

例えば、ヨガやピラティスにおけるエロンゲーションを抗重力位で実施しようとした場合、(構築学的ではなく機能的な)円背や関節痛によって実践できない場合であっても、臥位(非荷重位)であれば(機能的な)円背は解消され関節痛による影響も受けにくい環境下で目一杯のエロンゲーションを実践できる。

 

※円背が解消された姿勢のほうが、自然な呼吸が可能であり、運動効率も向上する。

 

※伸び体操は、「エロンゲーションを活用して全身を思いっきり伸ばす運動」なため、「背中や手足を真っすぐにする」ことにより、非荷重位によって抗重力筋を鍛えているといった側面もある。

 

※もちろん、ヨガもピラティスも非荷重位でのエクササイズはあるのだが、それらと同様なメリットがあるという意味。

 

 

※これも実際に思いっきりエロンゲーションすることでお腹の深部に力が入るかを実際に試して実感してみてほしい。

 

 

エロンゲーションで筋力増強するの??

 

のび体操で筋力増強と言われるとピンとこない人も多いと思う。

 

確かに、筋力増強を過負荷の法則にあてはめると負荷量としては物足りない側面もあるが、筋力増強は筋肥大によってのみもたらされるわけではない。

 

関連記事

⇒『過負荷の原則+特異性の原則

 

そして、のび体操における負荷は『本人の力加減によって自在に調整できる』といった側面をもっている。

 

例えば、軽い力で伸び体操を行えば負荷量としては物足りないかもしれないが、全身全霊の力を振り絞って伸び体操を行えば、全身いたる所の筋肉が収縮しているのが分かると思う。

 

※全身全霊で背伸びをすると、大殿筋や大腿四頭筋などがカチカチになっているのが実感できると思う。

 

※ただし、高齢者の中には腓腹筋痙攣を起こし易い人もいたりするので、あらかじめ起こし易い人か聞いておくのは負荷を設定する上でのリスク管理になったりする。

 

関連記事

⇒『腓腹筋痙攣とは?原因も解説

⇒『下腿三頭筋とは?トレーニング+ストレッチも解説

 

※あるいは、関節可動域が制限されている場合(円背・肩関節屈曲制限など)は、目一杯に伸び体操を行おうとすることで疼痛が誘発されることもあり、その場合は工夫する必要がある(工夫の仕方は書籍を参照)。

 

 

「5秒間の等尺性収縮」×3セット

 

エロンゲーションエクササイズでは「5秒間の等尺性収縮を3セット実施する」が基本となる。

 

等尺性収縮

等尺性収縮により「阻血」を利用することで、加圧トレーニングやスロートレーニングと同じ原理を利用している。

この点に関しては、もう少し具体的に書籍で解説されているため、参考にしてみてほしい。

 

5秒間

等尺性収縮は血圧を高めてしまうといったデメリットもあり、それらも踏まえて計算しつくされた秒数が5秒らしい。

また、血圧上昇を抑制するため、「1・2・3・4・5」と5秒間数を数えることを推奨しているが、伸び体操に限らず、どの運動(特に等尺性収縮を取り入れた運動)でも便利な考えとなる。

 

3セット

最初の1回目よりも3回目のほうが強いエロンゲーションが起こし易い(伸張性の改善や運動単位の動員が促されるため)という理由から最低3回は実施したほうが良い。

ちなみに、セット数は慣れたら増やしても良いとのこと。

 

 

エロンゲーションによるコンディショニング効果

 

書籍に記載されている伸び体操の種類を一通りこなすと、有酸素運動の効果として汗ばんできたり、

 

単なる「筋力増強効果」だけでなく、エロンゲーションに必要な筋肉の運動学習を促進する作用もある。

 

この運動学習を非荷重位で促進させておくことで、荷重位でも使える筋肉にお膳立て出来るといった意味合いも持つ。

 

一度だけではスッキリ感、肩コリの解消程度の即時的効果しかないかもしれないが、継続することで徐々に運動学習の効果を実感できるようになってくる(つまり持続的な効果を実感できるようになる)。

 

その意味においても「続けやすい運動」である点は大きなアドバンテージになる。

 

そして、トレーニングに重要なのは「無理せず継続していくこと」であり、エロンゲーションのような運動は、この条件を満たしていると言える。

 

 

エロンゲーションとヨガ・ピラティス

 

エロンゲーションという運動は、有名なところではヨガの動きに通じるところがある。

 

また、ヨガと同様にピラティスも、もともとはドイツ人の従軍看護師が開発したリハビリのための運動だが、まさに「エロンゲーション」の動きを取り入れたものと言える。

 

このように、「のばす」という動きを取り入れた運動はいろいろあるのだが、ヨガにしろピラティスにしろ、運動習慣のない高齢者にとっては、非常にハードルが高いのも事実である。

 

様々なポーズや呼吸法を覚えないといけないことや、そもそも筋肉が弱いとポーズのバランスをとるのが難しいことなど、「私には無理」と尻込みしてしまう人が多い。

 

これらの運動は、信頼できる指導者のもととで正しい指導を受け、習慣として続けないと本来の効果を発揮できない。

 

また、高齢者の中には寝たきりの人も多くいる。

 

寝たままで体を動かすにはどうしたら良いか。

 

指導者がすぐそばにいなくとも正しく出来る、単純な動きはないか。

そうした考えから、子供でも高齢者でも出来る、安全で単純な「のびること」だけに特化したのが、のび体操となる。

 

 

継続することの重要性

 

伸び体操を始めたばかりのうちは、効果は一瞬で元に戻ってしまうが、続けるうちにお腹まわりが鍛えられ、体全体のふらつきなどが無くなり、安定していく実感が得られてくる。

 

高齢者の場合は、体幹と股関節のケアがとにかく大切だと覚えておこう。

 

関連記事

 

以下の記事でも伸び体操(エロンゲーション運動)について詳しく解説しているので、合わせて観覧してみてほしい。

 

⇒『エロンゲーションとは?「のび体操(書籍)」も紹介するよ