この記事では「骨格筋シリーズ」として下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)についてのトレーニング・ストレッチングスを記載していく。

 

下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の基本情報

 

下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の基礎情報は以下となる。

 

筋名

起始

停止

作用

神経

腓腹筋

内側頭

⇒大腿骨の内側顆

 

外側頭

⇒外側顆

踵骨の踵骨隆起の後面

・足関節を底屈

・膝関節を屈曲

脛骨神経

ヒラメ筋

・脛骨の後面のヒラメ筋線と内側縁

・腓骨の腓骨頭

・ヒラメ筋腱弓

踵骨の踵骨隆起の後面

・足関節を底屈

脛骨神経

 

筋連結:

 

  • 腓腹筋
    ⇒ヒラメ筋(腱)、足底筋(腱)と連結

 

  • ヒラメ筋
    ⇒膝窩筋(腱膜)、腓腹筋(腱)、長腓骨筋(筋間中隔)、短腓骨筋(筋間中隔)、長趾屈筋(腱膜)、後脛骨筋(腱膜)、長母趾屈筋(筋間中隔)と連結

 

下腿三頭筋(腓腹筋)

下腿三頭筋(腓腹筋)

ヒラメ筋

下腿三頭筋(ヒラメ筋)

下腿三頭筋(腓腹筋+青色がヒラメ筋)

下腿三頭筋(腓腹筋+ヒラメ筋)

 

 

下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の筋力増強+バランス練習

 

下腿三頭筋の筋力増強練習としてはカーフレイズ(立位での踵上げ)が有名であり、これを反復することで筋力増強が期待できる。

 

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カーフレイズ(下腿三頭筋の運動)のポイント

 

カーフレイズのポイントは、以下の点となる。

 

  • 十分に足関節を底屈(しっかり踵を浮かす)
  • 浮かした踵をゆっくりと降ろす(遠心性収縮
  • 上記をバランスを崩すことなく反復する。

 

 

例えば、カーフレイズを「簡単だ」と言っている人の中には、足関節の底屈が不十分なケースも多い

 

※MMTでも「エンドレンジまでの底屈」は重要視されており、エンドレンジまでの底屈は難易度が高くなる(筋短縮位では筋出力が落ちる)ことを意味する

 

あるいは、踵を浮かせた状態から「スコーン」っと急落下させがちな人もいるが、重力に抗してゆっくりと踵を降ろせるかも重要となる。

 

そして、「エンドレンジまで踵を浮かす」⇒「その状態からゆっくりと戻す」というのはふらつき易かったりする

 

※踵が浮いた状態(つまり支持基底面がつま先だけ)は前後のバランス制御が強く求められるため「バランス練習」といった側面もある。

 

※『爪先立ち』が前後に不安定な姿勢なのに対して、『タンデム肢位』は左右に不安定な姿勢ということになる。

 

 

そして、カーフレイズを継続していくと、以下の様な変化が現れる。

 

  • 踵が十分浮くようになる。
  • 踵を浮かせた状態からゆっくりと床へ戻す(下腿三頭筋の遠心性収縮)ことが出来るようになる。
  • バランスを崩さずに反復できるようになる。

 

※ただし、踵が十分浮くためには、足部の機能障害(痛み・可動域の問題など)が無いことが前提となる。

 

高齢者におけるリハビリ(理学療法・作業療法)の目標が「活動と参加」にフォーカスされている場合においても、上記のようなベースラインを引いておくと、運動機能の向上が実感できて(長期目標に対する)モチベーションの向上につながりやすい。

 

その他の筋トレとしては、「前方重心でスクワットを実施する」という方法がある。

 

つま先に荷重して重心が前方に移動するようにスクワット動作を実施することで、ヒラメ筋や大殿筋の筋活動が増加しやすい。

 

※一方で、踵荷重(重心が後方へ移動)でスクワットを実施すると、大腿四頭筋の筋活動が増加しやすい。

 

この様な「重心によって変化する筋活動」については以下の記事でも述べているので合わせて観覧してみてほしい。

 

高齢者のスクワットを解説!

 

 

支持物を把持 or 片足立ちしての下腿三頭筋強化(カーフレイズ)

 

カーフレイズは下腿三頭筋の強化だけでなく、バランス練習になる点を前述した。

 

一方で、高齢者がカーフレイズを実施する際には「万が一の転倒」を考慮して、支持物を軽く把持してもらったほうが安全となる。

 

下腿三頭筋 椅子持って筋トレ

 

 

一方で、健常者で「負荷量を増やしたい」と思うのであれば「片足立ちでのカーフレイズ」でも良い。

 

健常者であっても、片足立ちでの「エンドレンジまで十分足関節を底屈させながらのカーフレイズ」は難しかったりする。

 

また(通常は、軽く支持物を把持して実施するのが一般的だが)、支持物無しで実施する場合は(単なるカーフレイズより更に支持基底面が狭くなるので)高度なバランス能力が要求される(もちろん、エンドレンジまでシッカリ動かす)。

 

※『片脚立位保持』自体が、バランス練習としては難易度の高い部類に入る

 

 

カーフレイズをわざわざ動画で観覧する必要はないかもしれないが、念のため貼り付けておく(通常のカーフレイズ・片脚カーフレイズの動画となる)。

 

 

 

(もはや、院内でのリハビリとは全く関係ない話になるが)負荷量を更に高めようと思った場合は、以下の動画の様に「背屈位からの踵上げ」といった方法もある。

 

 

※特に、55秒からは凄いことになってる。

 

※ここでは「筋トレ」として表現し易いカーフレイズを紹介てきたが「そもそも何で下腿三頭筋のトレーニングをしたいのか」と考えた場合には、もっと複合的な動作、あるいは「特異性の原則」に沿ったトレーニングの方が有用な可能性が高いという点は言うまでもない。

 

 

下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋) or ヒラメ筋単独

 

腓腹筋は二関節筋(膝・足の2つの関節を跨ぐ)のに対して、ヒラメ筋は単関節筋(足関節しか跨がない)である。

 

そのため、「膝関節を軽度屈曲させた状態」でのカーフレイズでは、「ヒラメ筋優位な筋力」を評価orトレーニングしていることになる。

 

以下のイラストは、膝を屈曲させての踵上げで腓腹筋の活動が抑制される事を示している。

~画像引用:運動療法のための 機能解剖学的触診技術 下肢・体幹第一版~

足関節底屈(膝屈曲・膝伸展位)

 

 

下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)のテーピング

 

下腿三頭筋は長時間の活動(例えば長時間の立ち仕事や、ランニングなどのスポーツ後など)で筋疲労を起こすことがある

 

そんな筋疲労の予防や回復に「ふくらはぎのテーピング」が用いられることもあり、知っておいて損は無いと思うので紹介する

 

テーピングの効果を実感するためにも同僚に練習がてら貼ってみても良いのではないだろうか?

 

 

もう少し凝ったテーピングとしては以下がある。

 

※腓腹筋にも十分な効果を出そうと思った場合は膝を跨いで起始付近まで張るのが理想だが、そうなると膝屈指の度に「剥がれやすくなる」「カブレ易くなる」といったことが起こるので、現実的な貼り方だと思われる。

 

 

上記のテーピングは、観覧してもらえばわかると思うがホワイトテープを用いた「固定」とは目的が異なる。

 

従って、テープを貼ることで「動かしやすくなった・力が入りやすくなった」⇒成功、「動かしくにくなった・窮屈に感じる」⇒失敗 ということになる。

 

※もちろん、伸縮性テーピングを用いる目的は様々だが『骨格筋にフォーカスを当てたテーピング』では、前者が重要視される場合が多い。

 

どの方法が良いかは、動作分析、あるいは患者の主観、筋力テストなどの変化で判断していくこととなる。

 

(患者が貼られていて違和感・不快感が無い、すぐに剥がれてしまわないとうのが前提条件となる。)

 

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下腿三頭筋のストレッチング

 

次に下腿三頭筋のストレッチングを記載していく。

 

下腿三頭筋のストレッチングは背臥位で療法士が徒手的に実施する場合もあるが、自分自身で実施してもらうことが望ましい。

 

理由は以下の通り。

 

  • 自重を利用できる(自身の重みで下腿三頭筋を伸張出来る)
  • ストレッチに特別な力は必要ないので長時間(数分間)の持続ストレッチも負担無く可能。
    ※療法士が他のアプローチに時間が割ける。
  • 頻回にストレッチが可能なため、効果が出やすい(得られた効果も維持しやすい)

 

「下腿三頭筋のトレーニング」でも述べたように、膝を屈曲・伸展位のどちらにするかで以下の違いがある。

腓腹筋ストレッチ1

膝伸展位での足関節背屈

⇒腓腹筋+ヒラメ筋のストレッチング

 

①左下肢を、踵が浮く程度まで後方へ引く

②膝を伸ばしたまま、踵を床に近づけるように下腿三頭筋をストレッチする

 

 

ヒラメ筋ストレッチ

膝屈曲位での足関節背屈

⇒(腓腹筋を緩めた状態での)ヒラメ筋のストレッチング

 

①左下肢を後方に引き「足関節背屈位+軽度膝屈曲位」にする。

 

②踵は床に接地させたまま、左膝を前方に動かすことで(膝屈曲位のままで)背屈角度を高めることでストレッチ

 

 

ストレッチング時の、つま先の向きについて

 

ストレッチング時は、つま先が外に向いたまま実施してしまいがちである。

 

しかし、「つま先が外に向きすぎている場合は下腿三頭筋に十分な伸張刺激が加わらない可能性がある」という点は、必要に応じて伝えてあげたほうが良い。

 

下腿三頭筋が硬い人は、上記のストレッチングを以下の2つで試してみて、自分自身でも体験してみてほしい。

 

①つま先を外向きにしてストレッチング

②つま先を(ある程度)正面に向けるように整えてストレッチング

 

伸張感を十分感じる事が出来るのは恐らく後者だと思われる。

 

もちろん一般論なので、「荷重のかけかかた」、「つま先の向き」などなど微調整しながら『自身にとって一番下腿三頭筋に伸張感を感じるポイントを探っていく』というのが大切となる。

 

ちなみに、腓腹筋内側頭のストレッチングには、足関節背屈に下腿内旋(つまり、つま先を内側に向ける)が有用であるとの文献もある(これも自身でストレッチングして検証してみると良いと思う)。

⇒『外部リンク:腓腹筋内側頭のストレッチング方法の検討

 

 

下腿三頭筋の徒手的ストレッチング

 

念のため、背臥位における下腿三頭筋の徒手的ストレッチングについても記載しておく。

 

前述したように『立位でのセルフストレッチング』では、つま先の向きによって伸張感に違いが出るのだが、上記2つを体感する際に床反力(床から跳ね返ってくる圧)を足底のどの部分に感じるかも確認してみてほしい

 

恐らく、前者よりも後者の方が『足底の外側部』に圧を感じるのではないだどうか?

 

これは、「足底の外側部に圧を感じる」ということは、足関節に外返し(背屈+外反)方向の力が加わると下腿三頭筋が伸張されやすい傾向であることを意味するので、徒手的に伸張する際のポイントは以下となる。

 

下腿三頭筋を伸長する際は、足関節を内外反中間位、あるいは若干外返し方向へ微調整した伸張刺激が有効な可能性がある。

 

※もちろん上記は一般論であり、実際には個人差がるためエンドフィールを感じながら操作する。

 

※っというか、画一的ではない微調整した手法が可能である点こそが徒手的伸張のメリットでもある。

 

その他のポイントとしては、下腿三頭筋の『ヒラメ筋』にフォーカスを当てたストレッチングの場合は、膝下に枕を敷くなどして腓腹筋の影響を除外しておくことだろうか。

 

※仮に足関節の背屈制限の改善を目的としてる場合は、必要に応じて関節副運動も評価する。

 

※その結果、関節モビライゼーションが適応となる場合もある。

 

 

後脛骨筋も一緒にストレッチング

 

重複するが、以下などの微調整をして、下腿三頭筋の伸張が得やすいポイントを探っていく。

 

『(やや)足底外側部に療法士の手(あるいは大腿)を当てた状態で、足関節背屈方向に可動するよう操作していく』

 

上記によって外返し(背屈+外反の複合運動)の刺激も入るため『後脛骨筋』が短縮している場合は、この筋も同時にストレッチングされる。

 

※後脛骨筋は内返し(底屈+内反の複合運動)作用を持つ筋であり、詳細は以下を参照。

 

後脛骨筋の重要性(+トレーニング)

 

 

関連記事

 

ちなみに、下腿三頭筋の麻痺によって生じる跛行としては『下腿三頭筋麻痺跛行』があり、詳しくは以下を参照。

 

決定版!跛行(異常歩行)の全種類を網羅する?

 

 

その他の関連記事としては以下を参照。

 

ストレッチング、ちゃんと知ってる?