この記事では、認知症予防に効果があるとされる運動の一つとして『二重課題(デュアルタスク)』にフォーカスを当てて、コグニサイズを記載していく。
ただし、二重課題(デュアルタスク)がどの様なものかは端折っているので、「二重課題って何だ」といった所から知りたい方は以下を参照してもらいたい。
コグニサイズって何だ?
コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した『運動課題と認知課題を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語』である。
※『cognition (認知)』 と『exercise (運動)』 を組み合わせてcognicise(コグニサイズ)と呼ぶ。
二重課題(デュアルタスク)は必ずしも認知課題と運動課題の組み合わせだけを指ず、運動課題と運動課題の組み合わせも含まれる。
※例えば「コップの水をこぼさないようにする(運動課題)」と「階段を上る(運動課題)」の組み合わせなど。
一方でコグニサイズは(前述したように)「認知課題」と「運動課題」を組み合わせたトレーニングを指すことが多いようである。
コグニサイズを実施する際のポイント
認知課題と運動課題を組み合わせた二重課題(デュアルタスク)トレーニング全般に言えることでもあるが、コグニサイズを実施する際のポイントは以下となる。
運動課題:全身を使った中強度程度の負荷(軽く息がはずむ程度)がかかるもの
運動は局所の運動(単純な膝や肘の屈伸など)よりは全身運動(足踏みやウォーキングなど)の方が望ましいとされる。
※ボルグスケールにおける11~13程度と言ったところだろうか。
認知課題:運動の方法や認知課題自体をたまに間違えてしまう程度の負荷がかかっているか
運動と同時に実施する認知課題は、難しすぎるとやる気が失せるし、簡単すぎると効果が低いので、絶妙な難易度が要求される。
そういった意味では、集団ではなく個別に認知課題を与えたほうが良いということになる。
※ただし、コグニサイズに様なトレーニングは集団でワイワイと実施したほうが楽しめて長続きしやすいので、集団・個別どちらで実施するかは一長一短がある。
※なので、「能力別に小グループに分けて実施する」というのが現実的かも知れない。
ちなみにコグニサイズの目的は認知症予防(脳の活動を活発にする機会を増やすこと)である。
従って、(重複するが)少し失敗してしまうレベルでないと脳への負担が少ないことを意味し、コグニサイズとしての効果は乏しくなる。
※なので課題に慣れてきたら、別の課題に切り替えていく必要がある。
コグニサイズの動画を紹介
上記のポイントさえ押さえていれば無限のコグニサイズが存在する。
っとはいっても、取っ掛かりとしていくつかの具体例を知っておいた方がインスピレーションが湧きやすいため、動画を貼り付けておく。
以下の動画は、コグニサイズのポイントと、マーチでポン(足踏み+数字を数える⇒4の倍数で手を叩く)を解説している。
以下の動画は、足踏みをしながら、50音と数字を交互に声にだしていくというトレーニングとなる。
実際にやってみると、意外と難しかったので、ショックを受けてしまった・・・
以下は、コグニサイズを集団で実施している動画となる。
コグニサイズの注意点
以下の動画はコグニサイズの注意点を解説している。
一応、動画に掲載されている『コグニサイズ実施の10カ条』を抜粋しておく。
①体調に合わせて無理をしない
②運動の前にはストレッチを
③水分補給を忘れずに
④痛みを感じたら、運動は中止
⑤転倒には十分注意を
⑥短時間でもできるだけ毎日続けよう
⑦「ややきつい」と感じるくらいが適
⑧慣れてきたら次の課題に挑戦を
⑨複数の運動でバランスよく鍛えよう
⑩毎日続けられる工夫をしよう
ここまでに記載してきたコグニサイズ(集団体操の動画以外)は、読売新聞がユーチューブに収録したもので、一応リンク先を貼っておくので興味がある方は参考にしてみてほしい。
読売オンライン:コグニサイズまとめ(You Tube)
40のトレーニングが収録されているので、予防理学療法などを地域で展開し様としている人は、何らかのヒントが得られるかもしれない。
※延々と同じトレーニングをするのではなく、色々なトレーニングをしていく方が脳が活性化されるということを記載してきたが、そういった意味でも多くのトレーニングを知っておくことは大切となる。
コグニサイズを分かりやすく紹介したパンフレットも念のためリンクしておく。
認知症予防に向けたコグニサイズ(PDF)
コグニサイズの研修を受けたい方はこちらを参照
(外部リンク)コグニサイズの研修情報
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冒頭でも記載したように、コグニサイズはデュアルタスク(二重課題)トレーニングに該当する。
そして、デュアルタスクトレーニングは認知症予防のみならず転倒予防としても着目されたトレーニングとなる。
そんなデュアルタスクトレーニングに関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので合わせて観覧して理解を深めてもらいたい。
デュアルタスク(二重課題)トレーニングとは?!
また、認知症の理解を深めたいリハビリ職種や看護師・介護士には以下もオススメできる。
特に、『認知症の予防と治療!』は「認知症に対するリハビリ(運動)』という意味で共通する部分もあるので合わせて観覧すると理解が深まると思う。
ご家族も必見! 『認知症』を語る上で欠かせない基礎知識を総まとめ
認知症の予防と治療!リハビリ(運動)による可能性も語ります