この記事では、株式投資の売買タイミングとして知っておいて損はない『アノマリー』について記載していきます。

 

目次

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アノマリーとは?

 

アノマリーとは以下のを指します。

 

株式市場に現れる周期性や季節性

 

もっとかみ砕くと「何月には株価の平均が上がり易くて、何月には下がり易い」といった株式市場にあらわれる癖のことを指します。

 

インターネットで「アノマリー」と検索すると、様々なアノマリーが調べられるので、興味のある人はチェックしてみてください。

 

ただし、アノマリーは現代投資理論では説明できないため、必ず当たるというわけではありません。

 

例えば「5月天井説(春は株高になり易いが、5月が天井でそれ以降は下落してしまう可能性が高い)」は有名です。

 

なので、週刊誌などには今年の5月になっていよいよ株価下落が始まりアベノミクスが終息を迎えるなど煽るものもありましたが、結局株価は下落しませんでした。

 

この数年は日銀が金融緩和をしており投資家が強気になっていることや、国自体が国民の年金などを株式市場に投入して下支えするといったいわゆる「官製相場(国によって造られた相場)」なので、少し下落しても投資家は「どうせ国が株を買い支えるであろう」と更に強気になっています。

 

なので、このような要因によって今までの様な「アノマリー」が通じず、常識であれば下落する局面であっても株が上昇するといった奇妙な現象が起きているのだと思われます。

ただ、大手企業の利益は出ているものの、国民の消費は低迷しており(8月17日に発表されるGDPはマイナスであると予想しているエコノミストが多い)、今の株価はややバブル気味な気がします。

 

なので、ちょっとした外部要因(例えば中国景気の問題や、アメリカの利上げ問題)に乗じてバブルがはじけて、ドッと売りが売りを呼ぶ展開になる可能性には注意が必要だと感じています。

 

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アノマリーで一番注目度の高い「秋口底説」

 

今年(2015年)の「5月天井説」は外れましたが、5月天井説と同等、あるいは更にメジャーなアノマリーとして「秋口底値説」があります。

 

「これは9月から11月に株価が底を打つことが多い」という説です。

 

底を打つ時期というのは毎年変わってくるし、銘柄によっても異なるものの、目安として10月前後に株価が低下する傾向にあるというのは覚えておいたほうが良いように思います。

 

※ただし、このアノマリーが通じるのは日経平均と連動しやすいメジャーな大型株になります。

 

※時価総額の小さかったりマイナーな株は対象外です。

 

ここまでのまとめとして、アノマリーのセオリーから言えば、

①秋に買って

②春に売り

③その後は秋まで売買はお休みする

 

というのが理想です(これまでの統計上もそうなっているようです)。

 

また、今後は秋にかけてアノマリー以外にも下落する要因があると個人的には思っています(下落しないにしてももみ合いになるだけで、日経平均21000円以上の上昇は期待できないと思っています)。

 

理由として第一に、(企業の成績はまずまずですが)個人消費が伸び悩んでいることです。

そして、個人消費に関しては8月17日にGDPが発表されるので、その結果次第では株価は大きく下落すると思われます。

 

第二に、日本に先駆けて金融緩和をしてきたアメリカの景気が比較的堅調であるということです。そのため、9月には金利を引き上げる可能性が高まっています。

金利が引き上げられるということは、わざわざリスクのある株式投資などせずに、元本保証されたアメリカ国債や貯金などにしたほうが良いと考える人が増えてしまいます。

そうなると、アメリカ国内のみならず、日本を含めて海外に撒かれていたアメリカのマネーが市場から引き揚げられてしまう可能性があります。

アメリカの金利の引き上げは円安要因となるため、長期的には輸出銘柄に恩恵がもたらされる可能性がありますが、短期的にはすべての銘柄において下落する局面が訪れてもおかしくないのではと考えています。

 

まぁ、予想が外れても保有している株価が上昇するのは良いことですし、予想が当たった場合は今まで利益確定して温存しているお金を下落局面で投入しようということで、当分は(よっぽど魅力的な銘柄が現れたり、優良銘柄が一時的に売り込まれたりしない限りは)投資を中断して経過を見守ろうと思います。

 

 

アノマリー『秋口底説』の補足

 

アノマリーには信頼性が低いものから高いものまで沢山あります。

 

その中で、「日経平均株価が秋口に底を打つ傾向がある」というアノマリーは比較的信頼性の高いものに分類されます。

 

もちろん、他の記事でも解説したように、現在の様な官製相場では今までの様な法則が通用しないことも多いですが、頭の中にとどめておいて損はないアノマリーと言えます。

 

このアノマリーの鍵を握るのはアメリカの株式市場や機関投資家になります。

 

日本の株式市場では海外投資家がかなりの割合を占めているため、「アメリカがくしゃみをすれば、日本も風邪をひいてしまう」などと皮肉られる有り様です。

 

そんなアメリカにおける下記の様なスケジュールが「秋口底値説」を生み出す一因となっています。

 

①アメリカの投資信託は12月と翌年の1月に決算が行われますが、税金などの損益通算は10月までの売り上げを基に計算されます(10月までに売ったり買ったりしたものに税金がかかるわけです)。損を出せばその分税金も少なくなるので、利益は当然ながら、損失もきちんと出してくる、それが10月の動きになります。

 

②投資信託だけでなくヘッジファンド(様々な手法を用いて利益を追求する投機的なファンド)の一部は11月に本決算を行う為、10月あたりから売りが入ってきます。
※ちなみに5月も中間決算として売りが入る為「5月のこいのぼり天井」というアノマリーを生み出す一因とされています。

 

③11月には年金の損益通算があります。また、個人の原資確定の締め切りが12月までで、翌年の確定申告の為にここで原資を出してくることも多少影響する場合があります。

 

 

この様に、様々な事情が秋には発生します。

 

損益確定するにはいったん株をすべて売って、現金にしなければなりません。その結果この時期には、どんどんお市場から資金が抜けていく(=株が売られて株価が下がっていく)傾向があると言われています。

 

※①~③は日本にもある程度投資しているのでアメリカのみらなず日本の株も売られます。

 

さらには、アメリカの四半期ごとの決算発表で、7月から9月気の決算発表が10月上旬から始まり、決算発表の前には「業績が良いか悪いか分からない」という不透明感から売り圧力が加わります。

 

(ただし、実際に発表が始まると、株価は元に戻る傾向にあるようです。これは悪い予想や、良い予想を発表直前までに「織り込んでしまう」ために、どんな結果であろうと「想定内」となり安心感が広がるからだとされています)

 

これらのアメリカの要因に引きずられるかのように、アメリカ市場を指標に売価している日本の機関投資家もアメリカの様子を見て売ってきます。

 

この様に、秋口は巨大な運用資金が連続的に売られるため、立場の弱い個人投資家がこの圧力に逆行するのは困難で、結果的に底値まで下落するという事になります。

 

※なんども言いますが、あくまでアノマリーであり、昨今の強気相場には通じない可能性もあります。