この記事では、神経ダイナミックテストの一つであり、神経系モビライゼーションにも応用される「ULNT2b」について記載していく。

 

目次

閉じる

ULNT2bの適応

 

ULNT2bの適用は、橈骨神経やC6神経根領域の症状(肩後方痛、肘外側痛、職業的過用による前腕背側痛、回外筋管症候群、ドケルヴァン病など)である。

 

スポンサーリンク

 

ULNT2bの手順(テスト側が右と仮定して記載)

 

ULNT2bの手順(テスト側が右と仮定して記載)を以下に記載していく。

 

  1. 患者の開始肢位は肩甲帯の運動と肘関節伸展は正中神経のテストと同じである(すなわち以下の通り)

     

    PTは患者の右肩の位置に大腿内側がくるように立つ。患者の右肘を左手で保持し、右手は患者の右手部を保持する

     

    治療者の大腿で対象者の肩甲帯を下制(+/-前方突出・後退)する。

     

    そして、右肘関節を伸展する。

    ※もっと詳しくは「正中神経テスト②」を参照

     

  2. 患者の上肢全体を内旋する(すなわち肩関節を内旋し、前腕を回内する)

    ※この際に肘関節は伸展位が甘くなってしまうことがあるため、必ず伸展位を保持し続けながら行う

     

  3. 患者の手関節を掌屈・尺屈し、手指・母指を屈曲する。

     

  4. 患者の肩関節を外転させる。

     

  5. 患者の頚部を対側へ側屈する。

     

以下の様なイメージ

 

 

 

ULNT2bの組織鑑別

 

  • 近位症状:手関節屈曲の解放
  • 遠位症状:肩甲骨下制の解放
  • 感作運動:頸椎対側側屈

 

 

ULTN2bの正常反応

 

  • 18~30歳を対象に50名に類似したテストを実施したところ、前腕近位橈側に「強い伸張痛」を感じ(84%)、上腕外側(32%)、あるいは上腕二頭筋(14%0)や手背側(12%)にも伸張痛がしばしば出現した。

 

  • 最終検査肢位での肩甲上腕関節外転角度は40°であり、左右差や性差は認められなかった。

 

 

ULNT2bの備考

 

  • 肩甲骨下制によって頸椎神経根、脊髄神経、腕神経叢に機械的ストレスが加わる。
  • 橈骨神経は上腕骨まわりを螺旋状に走行するため、肩内旋によりストレスが加わる。
  • 前腕回内、手関節、手指運動により橈骨神経遠位部にストレスが加わる。

 

以下は橈骨神経に対するセルフモビライゼーションの一例

 

 

 

ULNT2bの関連記事

 

神経動力学検査の一覧表

 

神経動力学テストの実践

 

神経系モビライゼーションへの応用